第22話 あ~、こう来たかぁ・・・的な話
~運営~
「"笑う鍛冶師"がフェンリルに遭遇しました!」
「Lvは!?」
「まだ12です!」
「フェンリルと遭遇する条件に達してないじゃないか!」
「どうしますか?」
「どうも出来んだろう。不具合でも何でもないんだからな・・・。」
「そうですよね。・・・しかし”七舞衆”ばっかりよくこんなこと起こりますよね。」
「それだけ〈姫〉達に興味を持たれてるってことだろう。」
「本人達にとって、良いことなのか悪いことなのか。」
「まぁいい。引き続き監視を続けてくれ。」
「分かりました。」
いきなりフェンリルさんが戦って欲しいと言ってきた。正直意味が分からん。
「なんで戦わんといかんのです?今の話の流れでどうやってそう言う結論に至ったんか全く解らんのですけど。」
『いえ、こちらの勘違いから貴方にご迷惑をお掛けしたので、何かお詫びをしないといけないと思ったのですが、その前に貴方の強さを把握しておこうかと・・・。』
「ホンマのところは?」
『貴方を見て貴方の話を聞いて其れを確認した者の話を聞いて、こう・・・昔の感情が甦ってきたというか・・・。』
「・・・とりあえず、アンタが昔ヤンチャやったって言うんは解ったわ。」
なんか俺の知り合いに似た性格をしているようだ。若干疲れた声が出てしまった。
『・・・テヘッ。』
10mオーバーの純白のもふもふがテヘペロだと!?なにこれ可愛い!そのあまりの破壊力に俺は衝撃を受けた。
「ウヮフ・・・。」
あ、案内役の狼がフェンリルさんにジト目を向けている。驚いたりしていないところを見ると、普段からよくこんな姿を見ているのだろう。
『・・・んんっ!』
その視線に気が付いたフェンリルさんは、慌てて取り繕うように咳払いをした。案内役はジト目を向けたままだ。
「・・・お前さんも大変やなぁ。」
「・・・ウヮ~~~フ。」
案内役に同情の言葉をかけると、「分かってくれるか?」とでも言いそうな声を上げた。この上司のお守りは大変やろなぁ。
『そ・・そんなことはどうでもいいのです!是が非でも戦っていただきますからね!ウォ~~~~~ン!』
「ウォ~~~~~ン!」
フェンリルさんの遠吠えに併せて、案内役も遠吠えを重ねた。すると、広場全体が光に包まれた。
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光が収まり、目を開けて確認すると・・・広場の規模が大きく変わっていた。先ほどまでのざっと3倍程は有りそうだ。
『結界を張って、空間の拡張及び隔離を施しました。先ほどの広さでは狭すぎますからね。これで外部からの手出しもできませんし、戦闘が終了するまでこの空間から出ることもできません。』
先程まで醸し出していたユルい雰囲気は消え去り、王の如き威厳を纏った純白の巨狼が目の前に佇んでいる。ここに導かれた当初よりも、プレッシャーが増している。これこそが〈白狼フェンリル〉の真の姿なのだろう。
「はぁ・・・どうあっても見逃してくれへんのやろなぁ。」
無銘の鯉口を切り、柄に右手を添える。
『ええ。でも心配しないでください。貴方が勝っても負けてもここから解放しますし、報酬もお渡しします。勿論、勝利した方が良い物を手に入れられますよ?』
「しゃあないか。ほんならちっと頑張ってみよか。」
『では・・・行きます!』
〈白狼フェンリル〉との戦いの幕が上がった!
・・・俺まだLv12なんだけどなぁ・・・。
第22話、お届けします。
今回はちょっと短くなってしまいました。