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第14話 初ログアウト!・・・的な話

~某運営~


「なぁ、ビッグモールってLv1があんなに簡単に倒せる奴だっけ?」


「いえ、かなり苦戦・・・と言うかほぼこっちが瞬殺されるような強さだったような・・・。」


「流石”笑う鍛冶師”のPTって事か。」


「ええ。あの剣士も魔法使いもかなりの物ですね。どちらもβ経験者ですね。ランク10までには入っていませんがどちらもランク20以内です。」


「まぁ”七舞衆”は当然として、ほかにも面白い奴らはいるな。〈姫〉達がハシャぐわけだ」


「そうですね。」

初クエストを完了させてギルドに戻ってきた3人。扉を開けて中に入ると、相変わらず賑わっていた。


「まだ結構な人が居るな。」


「それはそうだろう。入れ替わり立ち替わりだろうからな。」


そんな事を話していると、ちょうど手の空いたリディアちゃんがこちらを見つけて話しかけてきた。


『それでは、お気をつけて行ってらっしゃいませ!・・・あ!サイハ様~!』


手をブンブカ振りながら呼びかけてくる。それに手を挙げて答えながらリディアちゃんの前まで進む。


「やほ~、リディアちゃん。クエ終わったから確認してくれへん?」


『はい!では確認証をお出しください。・・・はい、ありがとうございます。えっと、依頼者様の確認のサインもちゃんと有りますね。依頼者様はラッカ様・・・え!?ラッカさん!?と言うことは、農場のビッグモール討伐クエストを終了させたのですか!?受けたその日に!?』


「うん。行ったら運良く6匹出てきてな、いやぁラッキーやったわ。あ、これ討伐証明部位な。」


『いえいえいえ!ビッグモール6匹との戦闘なんて全然ラッキーじゃないですよ!?普通ならLv5位で何人かでパーティ組んで1匹相手にするくらいの魔獣ですよ!?・・・確かにビッグモールの討伐証明部位6つありますけども。』


「そやからラッキーやったんやろ。それに6匹全部といっぺんに戦った訳やないで?バラケて出てきてくれたし、うちには頼りになる脳筋と魔法使いがおったからな。」


「おいぃ!誰が脳筋だ!誰が!」


グランツがそんな事をほざいた。俺とカゲミツは「え?何言ってんの?コイツ。」って視線をグランツに向けながら


「「え?お前以外に誰が居んの(居るんだ)?」」


と、見事にハモッた。それを聞いたグランツは、それは見事なorzでしたとさ。


『あの!』「ん?」


それを見ていたリディアちゃんが声をかけてきた。


『有り難うございました!ラッカさんの農場を助けていただいて!』


「普通に依頼受けて、それをこなしただけやで?そんなお礼言われることや有らへんがな。」


『それでもです!私も被害を受けた農場を見せて貰ったことがあるんですが、本当にひどい状態でした。その時のラッカさんの悲痛な表情が忘れられなくて・・・。依頼が出された時から何名かの冒険者さんにお願いしたのですが、無理と断られたり、受けてくださった方も失敗したりと解決できなかったんです。ラッカさんも半分あきらめているような状態でした。次にきた冒険者さんが失敗したらもう農家を辞めようかとも・・・。』


「・・・そこまで追い詰められていたのか。」「なんとか間に合ったわけだ。」


カゲミツも、いつの間にか復活したグランツも、つぶやくように言葉を漏らした。


『ですから!冒険者ギルドの人間として!そして、ラッカさんの親友の1人として!改めて、有り難うございました!』


と深く頭を下げるリディアちゃん。


「ん。ほんならそのお礼はありがたく受け取っとくわ。」


『はい!』


頭を上げて、満面の笑みを浮かべながら返事を返してくれた。


~~~~~


その後、依頼の報酬を受け取り、貰った野菜の一部をリディアちゃんにあげたりしてギルドを後にした。


「しっかし・・・。」


「ん?」


「どないした?」


グランツが呟いたので聞いてみた。


「まさかクエ1つでこんなストーリーが有るとは思わなかったな。」


「それは言えてるな。もしかしたら、僕たちが失敗していたらあのラッカと言う人は廃業していたんだろうか。」


歩きながら、暫し考え込む3人。


「いやぁ、流石にそれはないんじゃねぇか?ゲームなんだしよ、1PTが失敗したからってそこまでのことは起こらないだろ。」


とグランツは言い


「そうだよな。」


とカゲミツが肯定しようとした。・・・が


「いや、もしかしたらホンマに農家辞めてたかもしれんで?・・・もしかしたらやないな、おそらく俺らが失敗してたら100%に近い確率でそうなってたやろな。」


そう言う俺に驚きの顔を向ける2人。


「何故そう言いきれるんだ?」


「あのクエが通常のクエやなくて”限定クエ”やったからや。」


「”限定クエ”?あれがか?」


「おう。依頼ボード確認したときあのクエ無かったからな。受付で直接受けんと出てけぇへんのやろうな。」


「でもよ、ほかにも受付から直接受けてる奴らも居ただろうしそのときに出ないっておかしくないか?」


グランツが、なかなか鋭いことを言ってきた。


「多分やけど、”一定以上、リディアちゃんの好感度があるPLないしPTが、直接リディアちゃんにクエを訪ねたら”発生する限定クエ、まぁ”シークレット”の類やろな。」


「”シークレットクエスト”か。噂では聞いたことがあるな。」


カゲミツは何となく知っていたようだ。


「”シークレットクエスト”?なんだそれ?」


グランツはやっぱり知らなかったようだ。


「”シークレットクエスト”と言うのは、通常では受けることが出来なくて、ある条件を満たして初めて出てくるクエストの事だ。主に受けられる回数が限定されていて、成功すれば多大な報酬を手に入れたり出来るが、失敗すればなにか不都合なことが起きたりするような、影響力の高いクエストの総称だな。モチロンそんな影響の無い物もあるだろうが。」


カゲミツが、懇切丁寧に説明してくれた。


「今回ので言うたら、成功すれば感謝されて農家続行。なんやフラグみたいなん言うてたから質のええ野菜が登場したりするんちゃうか?んで失敗したら、ラッカさんがやる気失って農家廃業と、野菜の流通が若干悪くなるとかのペナルティってとこちゃうか。」


「いや、それってむちゃくちゃ影響でかいんじゃねぇか?」


「そやから、そう言うてるやん。」


「そんなクエ、さらっと受けてたのかよ!?」


「グランツ。このゲームを今までの物と一緒に考えるのは止めた方がいい。リディア嬢にしても、ガラドのおっさんにしても、ラッカ嬢にしても。どう考えても普通のAIじゃない。プログラミングされた反応ではなく、個々で考えて反応している。今までのゲームのように、なんでも適当にしていればそのうち手痛いしっぺ返しを喰うことになると思う。」


「あ・・・あぁ。」


グランツの顔が若干ひきつっている。今のカゲミツの話が結構な脅しになったようだ。まぁ本当のことだろうから気をつけるに越したことはないけど。


「そやから言うてガチガチになる事はないよ。当たり前のことを当たり前にやってたらそんなしっぺ返し喰うような失敗なんぞ、そうそうせぇへんよ。気楽にやり気楽に。言うたかて、これはゲームなんやから楽しまな損やで?」


「そう・・・そうだよ、な。そうだよな!おっしゃ!これからは全力で楽しむぜ~!」


「そうそう。君にシリアスなんて似合わないんだからな。」


「そうそう。脳筋は脳筋らしくお気楽に行きや。」


「てめぇら!好き勝手言いやがって!」


ワイワイ騒ぎながら目的地を目指す3人。


~~~~~


「そう言えば何処に向かってるんだ?」


「お前・・・何処に行くのかわかってなかったのか・・・。」


「さすがにちょっと驚きやわ。」


抜けたことを言うグランツに2人してなま暖かい視線を向ける。


「な・・・なんだよ!ならカゲミツはわかってるのかよ!」


と、若干キレ気味に返事を返す。


「向かっているのは職人区。なら向かい先はサイハの工房以外考えられないだろうが。」


呆れの溜息を吐きながらカゲミツが答えを告げる。


「お・・・おお!そうだったのか!でも何でだ?なんか作ってくれんのか?」


「アホか。時間確認してみぃや。工房で落ちる(ログアウト)からに決まってるやろ。宿とか住居以外で落ちたら20秒ほど無防備なアバターが残るんや。」


「ほ~。なら宿でもいいんだろ?」


「・・・無料で安全にログアウトできる場所があるのに、わざわざ無駄に宿泊費払って宿に泊まりたいならそうすればいい。僕はサイハの工房を使わせて貰うから。」


「おお!そう言うことか!」


・・・コイツもβテスト参加者だったよな?なんでそんな初歩の初歩を知らないんだ?遂に脳味噌まで筋肉になり始めたのか。


「別に宿泊まりたいんやったら1人で行ってくれてええんやで?」


とてもいい笑顔でそう言ってやると


「スイマセンデシタ!コウボウヲオカシクダサイ!」


と、泣きながら土下座をした。


~~~~~


それから工房の居住エリアに入り、ログアウトした。

グランツ?勿論宿に・・・と思ったけど仕方なく部屋を貸してやった。泣いて喜んだので、部屋にあったスリッパで頭をはたいておいた。


こうして3人の〈Diva〉初日が終了した。





初日が終了しました。

ちょっとご都合主義な感じはするんですが許してください・・・。

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