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戦場の奇跡  作者:
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17/41

伯父様? 陛下と呼ばせてください


サブタイトルが考え付かなかった結果、

こんな変なものになりました。



あ、これいい! っていうサブタイトルが

浮かんだら変更します。



 城につきました。まずは大公爵様に挨拶に行くようです。

 とりあえず、初めて来たお城は本当に広いです。ジーン様方から離れたら、間違いなく迷子になる自信あります。


「ウィルフィリア、手を繋ごうか? 離れたら、迷子になるからね」

「でしたら、是非私と!!」

「迷子になったら父様の名を出せば、すぐ戻れる」


 ギルトバード様、ここで手を繋ぐのはさすがに恥ずかしいので、勘弁してください。シルフィ様、同じく、お願いします。ジーン様、もし、迷子になったらそうします。

 それにしても、こう、やっぱり城ってすごいよね。ただの兵だった私にとって、こんな場所、足を踏み入れる機会なんてなかったはずだから、余計いろいろと見てしまう。


「本当に迷子になりそうで怖いな。ウィルフィリア、やっぱり手を繋ごうか」

「いえ、それはちょっと……」

「じゃあお姉様、私と手を繋ぎましょう!」

「いえいえ、それもちょっと……」


 不特定多数の目につくこの場所で、手を繋ぐのはちょっと辛いかなと。だから、ご容赦ください、ギルトバード様、シルフィ様。

 それに、そうしている間にいつの間にか、ジーン様が歩みを止め、ある部屋の扉の前に立っていたよ。


「ついたぞ。ウィルフィリア、心の準備はいいか?」

「………はい」


 一度深呼吸して、精神を落ち着かせて返事をする。それと同時に、ジーン様が扉を開いた。その先には、大公爵様がいらっしゃる。


「久しぶりだな、ギル、ウィルフィリア、シルフィ。元気にしていたか?」

「はい」

「特に、ウィルフィリア。調子は悪くないか?」

「はい、平気です」


 最近は発作も起こさないし、痛みに襲われることもない。それを考えれば、調子はかなりいいほうだと思いますよ、大公爵様。


「それはよかった、ところで、今日はどうしたんだい?」

「伯父様にお話したいことがあるんですよ」

「お兄様に? あぁ、パーティの件だな。―――ジーン、ギル、シルフィ。絶対にお兄様を止めろ。ウィルフィリアをほかの貴族に公表するなど、まだ早い」


 うわぉ、大公爵様も本気だよ、ちょっと。これはこれは。


「ですよね。よし、伯父様のところへ行こう。すぐに伯父様を止めよう」

「うむ、私も行こう。数で押して、お兄様を説得しよう」

「賛成。父様もやる気になってる間に、伯父様を止めましょう」


 ……………帰って、寝ていたい。



「おお、来ると思っていたぞ、ジーン、ギル、ウィルフィリア、シルフィ。ウォルフ、仕事は終わらせてきただろうな?」

「もちろん、終わらせてきましたとも。ところでお兄様、来ることを予想していたなら、言いたいことは分かりますよね?」

「ああ、もちろん分かっているし、中止するつもりもないな」

「お兄様! ウィルフィリアも嫌がっているんです!」


 頑張ってください、大公爵様。確かに、私はパーティは嫌です。今さら貴族として人前に出たくありません、私は庶民でいたい。


「そうですよ、伯父様。無理言い過ぎると、嫌われますよ?」

「うーむ、それは困るな。だが、パーティもやらなくては、な」

「何故ですか?」

「私も聞きたいです、伯父様、どうしてですか?」


 おお、ジーン様もギル様も、シルフィ様も引いてない。これはこれは、何てすごい。


「この辺で、ウィルフィリアの立場をしっかりさせておいたほうがいいだろう? ワイバーの奇跡、ウィン・ファリエルはウィルフィリアだと。ワイバーの奇跡を殺そうと考えている輩には、かなりの牽制になる」

「ウィルフィリアが嫌がっていてもですか?」

「当たり前だ。ここで、ウィルフィリアを失ってたまるか。ウォルフ、お前も失っていいのか? いくらアルガディア大公爵家と言えど、侵入する場所はある。それで、守りきれるのか?」


 陛下のそのお言葉に、大公爵様が言葉に詰まる。ていうか、大公爵家でも結構、侵入者とか入れるんだね。警備が万全で入れないと思ってたけど。

 そして、大公爵様もそれを分かっている。だから、陛下に何もお言葉を返されないのだと思う。


「分かったなら諦めろ。そして、ウィルフィリアとシルフィのドレスの採寸をさせろ」

「……ギル、シルフィ、ウィルフィリアを連れて帰りなさい」

「あ、こら、ウォルフ」

「ウィルフィリアとシルフィのドレスは、家で測り、作成します」

「おい! 姪にドレスくらい贈らせろ!」

「ギル、二人を連れて帰りなさい」

「分かりました」

「ジーン、お兄様をとめるから手伝いなさい」

「分かりました」


 そういうと同時に、私とシルフィ様は揃ってギル様に腕を引かれ、陛下の前から引き摺り、そして連れ帰らされる。陛下は私たちを帰すまいと必死のようだが、大公爵様とジーン様が必死で陛下を押さえつけていた。


「ギル! 急いで二人を連れて帰れ!」

「はい! ウィルフィリア、シルフィ、帰るよ」


 ちょっ! ギル様、歩くの早いです。シルフィ様が転びそうですから! 気づいてさしあげて下さい、ギルトバード様!!


「お、兄様、歩くのが早いですっ!」

「え? ……っああ、すまない、シルフィ、ウィルフィリア」

「もう少し、速度を落としてください。伯父様の執務室は出たのですから、もう大丈夫でしょう?」

「……そうだな。ついでだ、王都も少し見て行こうか」

「賛成です! お姉様、いいですよね?」

「は………はい」

「お姉様!」

「うん」


 ああ、シルフィ様の敬語に関する反応が素晴らしくなっていく。最初の頃は少しくらい、黙認してくださっていたのに。


「お姉様、妹に敬語は、ダメですからね?」

「………」


 厳しい、厳しすぎる。ギル様やジーン様は兄と言うことで、敬語を使っても問題がないのに、シルフィ様は妹だからと言うことで、敬語の許可が下りない。

 ああぁぁぁぁああぁぁぁ! シルフィ様の目が怖い! ギル様、助けてくださいお願いします! あぁぁああ! 生暖かい瞳で見ないでくださいギル様!!


「今日、帰ってドレスの採寸をした後で、いっぱいお話しましょうね」

「…………」

「お姉様?」

「そ……ソウダネ」


 いやん、シルフィ様超にっこり。シルフィ様、ひょっとして、楽しんでますか? ひょっとしなくても楽しんでますよね?

 いやああああ! ギルトバード様、お願いですから同席してくださいね、そのときは!


「シルフィ、手加減するんだぞ? あまり過激にすると、ウィルフィリアに嫌われるからな?」

「嫌われたくありません!」

「なら、ウィルフィリアに急激的な変化を強要しないように。いいな?」

「……はい」


 ありがとうございますギルトバード様!! そしてそのまま同席して、シルフィ様が行き過ぎたら諌めてくださいお願いします!

 ああ、どうしてシルフィ様もシャーリット様も、私の呼び方、話し方に厳しいのでしょう。さすが親子というべきでしょうか。


 でも、私の中では、私はまだ庶民で、あなた方は大貴族。

 身分が、違うんです。私は、あなた方にこうやって見られる資格すらない、ただの庶民。


 だから、放っておいてもらえると、本当に嬉しかったんですよ?

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