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親愛なる後輩くん  作者: さとう涼
(5)誰かの悪意

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 会社の最寄り駅に着いて電車を待っていると、蓮見くんがこちらに歩いてくるのが見えた。彼もわたしに気がついて視線が合う。


「お疲れ様です」


 蓮見くんがわたしの隣に並んだ。


「お疲れ様。今日は早いんだね」


「残業するとうるさいんで」


「最近いろいろ厳しいよね。なにかっていうと経費削減って言われる」


「ですね」


 あたり前のように会話をしているけれど。


「なんでこっちのホーム?」


 蓮見くんの家はわたしとは反対方向。用事でもあるのかな。


「帰り際にロビーで雨宮さんを見かけたんですが、元気がないような気がしたので」


「はい?」


「なにかありました?」


 あったけど、あまり話したくない。


「別になにもないけど」


「それならいいんですけど」


「でも心配してくれたんだよね。ありがとう」


 心配されるほどわかりやすい態度だったなんて油断していた。


 こんなにダメージを受けているのは柳橋さんにつらくあたられたことだけじゃないのはわかっている。失恋というべきなのか、思いきり引きずりまくっている。


 蓮見くんもそれをわかっているからこうやって声をかけてくれたのかな。


「あのふたりのこと広まっちゃったね」


「そうみたいですね」


「なんでバレたんだろう」


「なんででしょうね」


「今朝一緒に通勤してきたみたいだったし、やっぱり誰かに見られたのかな」


「さあ、どうなんでしょう」


 さっきから興味がなさそうな返事。


 蓮見くんは気にならないのかな。別れた彼女のことなのに。いまもまだ好きなひとなのに。


「家まで送ります」


「ねえ、なにか食べて帰ろうか。奢るよ」


「雨宮さんさえよければ僕が作りますよ」


 見かけによらず大胆だなあ。もちろん変な意味で提案しているんじゃないことはわかっている。


 うちでごはんかあ。蓮見くんって料理上手だし、そういうのもありかもね。


「変なことはしませんよ」


「わかってるよ!」


 こうして思いもかけず家に招くことになってしまった。


「蓮見くんはこういうことってよくあるの?」


「こういうこと?」


「彼女じゃない女のひとの家に行くこと」


「あるわけないです」


 あっさり否定する。


 そっかそっか。ないのか。じゃあなんで? と思ったけれどわたしたちの関係はちょっと不思議な関係だと思うので、常識はあてはまらないのかもしれない。そう思うことにした。


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