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5.聖女様に謁見しよう-1

本日六話目の更新です。


 聖女様は、隣国ではないちょっと遠い、神聖王国にお住まいだ。神聖王国にお生まれになったのかどうかも知らん。王子様達は知ってるだろうけれど、俺みたいな奴隷が知っているべき情報ではないからだ。いや神聖王国の奴隷なら知ってるかもしれねえけどさ。

 聖女様に面会の申請をベランジュのジジイが出した後は、お返事が来るまで俺たちは神聖王国のお勉強だ。俺も王子様も魔王討伐のために旅はしているから、知らないわけじゃあねえけれど、おさらいは大事。って話だな。

 俺たちがこれから旅をする大陸は、この間食べたドーナツみたいな形をしている。うまかったからまた食べたい。で、真ん中の穴の部分に、魔王が封印されている島がある。その島から見て南にある大国が、俺たちと王子様の住む国アベラール。

 魔王の封印されている島から見て東に聖女様がいらっしゃる神聖王国バシュラール。


「あそこそんな国名だったのか」


 ずっと神聖王国としか皆も言わんから、そういう名前なんだと思っていた。多分聖女様や王子様は、知ってただろうけどさ。


「おさらいは必要でしたな」


 教師代わりのジジイが頷いている。でも別に殴られはしない。だって知らなくても通じるからな。

 さて別に神聖王国の歴史なんかを学ぶわけじゃない。いや王子様は学ぶんだろうけれど、俺は当日お側に立っていられるかどうかも微妙である。奴隷剣士はなかなかそういう場所に同行出来ねえのよ。まあ、今のところはまだジジイの方が俺より強いから、護衛としては問題がない。俺も同年代と比べりゃ強いが、そういう訓練を積んできた大人と比べりゃ弱いんだわ。

 アベラール王国から神聖王国へ行くには、隣のアルカン国を通る必要がある。ちょっと通してください、で済めばいいけれど、あちらさんとしても聖女様に会いに行く大国の王子様を素通りさせるわけにはいかなくて、という話。そりゃそうだ。

 アベラール王国内を移動するだけでも各地の領主の館に泊まる必要があって、それをアルカンでも繰り返す。結構な日程になりそうだった。


「殿下が馬に乗れたら、また違ったんですかね」

「まあもう少し、早く進めたでしょうな」

「今からでも乗馬練習を増やしてくれ」


 ちなみに騎士団の先輩方に聞いてみたところ、縮まる日程は二、三日だというから、単に王子様は自分の意思で乗馬の練習を増やしてしまっただけになる。楽しいからいいんじゃねえかな、乗馬。

 まあ、今回は無理でも、勇者様に会いに行くときには、足しになるだろうと。思うしかないわけだ。

 俺は馬車には乘らずに馬か徒歩なので、乗馬の練習が増えた。めちゃくちゃ増えた。前の人生を含めても今まで乗ったことはなかったから初めてだったけれど、王子様と比べれば体を動かすことには慣れているので、それほど苦戦はしなかった。馬の世話、ってのが一番大変だったな。まだ体が小せえから、ブラシをかけるのにも手が届かない場所があって、そうなると馬って連中はこっちをからかってくるんだよ。お前ら覚えとけよ、そのうち全身ブラッシングしてやるからな。

 そんな風に準備を進めている内に、神聖王国より返事が来た。面会を受け付ける、との事だ。


「だから言いましたでしょう」


 元よりアベラール王国の王子と神聖王国の聖女には関係があるから、望めば叶うのだという。ちなみにその関係っていうのは、魔王討伐軍のなんやかんやだそうだ。歴史って大事なんだな。

 王子様の難点はあれだな。なまじ自分一人で色んな事が出来ちゃうから、誰かを頼らない点だ。もうちょっと、俺やジジイを頼ることを覚えた方がいい。俺を見つけるのに、ジジイを頼ったように、だ。

 神聖王国への旅は順調だった。長雨で足止めされたり、橋が落ちていたり、山賊に襲われたり、そう言ったことは何もなかった。騎士団の先輩方が懸念していたことは何もなく、本当に何もなく、俺は平地以外での乗馬の訓練をさせて貰えた程だ。ありがたいけどさ。

 アベラール王国の王子様が通るのだから、アルカン国内でも街道の整備とまではいかなくても、総点検が行われたというのだから、まあいい事をしてるんじゃないかと俺は思うよ。街道の整備、するとなると年単位で予算とか組まないといけねえって、騎士団の先輩方に教えて貰った。だから今回はその前段階の総点検で、直す必要がある場所は王子様には迂回して貰って、今度直すんじゃねえかなって話らしい。

 お城を出て、大体三か月。行く先行く先の領主の屋敷で、お嬢様を紹介されてはそつなくかわしている王子様も、ようやっと神聖王国に到着だ。道中よりも、一夜の宿を借りる方が大変そうだった。俺? 俺は騎士団の下っ端だから、馬には乗れるわ、馬の世話は教わるわ、飯はちゃんと食えるわ、寝床ももらえるわで楽しい遠征だったぜ。


「まずはバシュラール国王にご挨拶されまして」


 聖女様はお城にはいない。神殿の方にいる。

 とはいえ、国という体裁をとっている以上、政治を行うものが必要で。それが国王、なのだとジジイが説明してくれる。なるほどなるほど。確実に王子様の授業じゃなくて俺の授業だよな。文句ないからふんふんと頷いておくけど。

評価ブクマいいねください。

こう。

いつもの私だと道中についてしっかり「こことここに道があって…ここをこう通るから何日かかって……ここで領主の館があって…」とか考えて書くんですが、今回は「とりあえず先に進める」を選んだ結果、その辺りの描写がごっそりなくなりました。

王子様の社交についても飛びました。いやどのみちバティストその場にいないからすっ飛ぶんですけど。

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