16.聖女様からの連絡を待つ間に、天馬を手に入れよう-2
大分短め
俺と南の賢者様とエメと、それから王子様とベランジュのジジイとでダンジョンに潜ることになった。出てくるのはサルのモンスターが三種類。階層は八階層。たまに騎士団が潜っているので今日明日溢れることはないだろうけれど、まあ間引いてくれるんならお願いしようかな。ということらしい。
ちなみに二日目以降南の賢者様と王子様とベランジュのジジイは不参加で、俺とエメだけで四日ばかりダンジョンに潜ることになった。いいけどよ。
「鍛錬よりきっつい!」
「そりゃ実践だからな」
エメの武器は普通の片手剣だから、猿を相手にするには向いていないのかもしれない。魔法を使え、魔法を。お前使えるだろう。
でもまあきつかったのは魔法使いである南の賢者様も王子様もいなかった二日目だけで、それを乗り越えた三日目と四日目は戦い方が分かってきたのでそれほどでもなかった。
大したもんが入手できなかった、という虚しさは別の話だ。いいもんを落とすなら、そりゃ、冒険者来るもんな。ちょっとの不便くらい、文句も言わねえわな。
それを皮切りに、まずは俺に忌避感を持っていない、近衛騎士団に所属している人の領地にあるダンジョン、陛下に仕えている……大臣とか? の領地にあるダンジョン、と、範囲を拡大していく。まあなんだ。どこかは必ず誰かの領地にあるわけで、そこに王子様が顔を出して社交のパーティを一席設けて、お嬢様を紹介されたりして。その翌日にはダンジョンに潜る、という日々が続いた。
俺が王子様の奴隷であることを知っていて、それでも特にどうとも思わない連中は、気にせずに俺たちにというか俺にというか王子様にというか、ダンジョンの間引きを依頼してきた。そうすると今度は俺が奴隷であるということを知らない貴族たちが喜んで迎え入れてくれる、というわけだ。そうなってくると、俺が奴隷であることを知っているから、頼みたくない連中も、理由を口に出して断りづらくなってくるという。何とも、貴族らしい理由で、俺たちは国中のダンジョンに挑めるようになったわけだ。
足に羽がある方の天馬が三頭、背中に羽がある方の天馬を二頭手に入れることが出来た頃、聖女様のところから真っ白な鳥が訪れた。
「女神さまから、神託が下られたそうだ。魔王復活の兆し、との事。さあ、作戦を始めよう」
背中に羽のある天馬を二頭手に入れたことによって、城には空を駆ける馬車が出来ていた。一台だけだけどな。南の賢者様が普通の馬車に手を入れて、馬車自体も空を飛べるようになったらしい。これだけじゃ飛ばなくて、天馬が必要なんだってさ。城にいる魔法使いたちが連日やってきては馬車の下の部分を覗き込んでいるから、そこに何かあるんだろう。そういうのを管理してるとこのおっさんが、邪魔だって愚痴ってた。俺に愚痴られてもなあって思ったけど、いや良く考えりゃ発端は俺だから、大変ですね、みてえなことを言っといた。
前に神聖王国に行った時とは所要時間が雲泥の差。王子様が馬に乗れるようになっていたから、馬車よりもさくさく進むうえに、天馬は荒れ地でもスピードが出る。勿論南の賢者様にスピードを合わせているから、それなりに時間はかかるんだけどさ。それでも、聖女様が驚くくらいにはすぐに神聖王国バシュラールに到着だ。
王子様と南の賢者様が王様に会って、聖女様と修道女のカリーヌさんを馬車に積み込む。流石に女性陣を馬に乗せるわけには。ちなみにカリーヌさんは天馬に乗りたい、とのことだったので、後程近隣で一頭調達した。
俺は知ってる。こっそり聖女様も馬に乗っていたことを。まあでもほら、イメージってもんがあるから、基本は馬車でお願いしたんだけど、人気のないところでなら、馬に乗って貰っても構わないって王子様が言ったら、嬉しそうだったな。カリーヌさんと乘ってた。まあそれなら心配ねえからいいか。楽しそうだったしな。俺は馬車はいいです。お気になさらず。いや本当に。
久しぶりにお会いした聖女様は、王子様を正面から見つめて微笑まれるようになっていた。神聖王国で貴族様とかを見るようになって、美形に慣れたんだろうか。最初の時と違って、俺にも微笑みかけて下さる。人間扱いして貰えて、普通に嬉しいよな。
天馬調達してきた時とか、お日様の光にその金の髪をキラキラさせながら、お褒めの言葉まで下さったからな。
天馬乗りたくない? 私は乗りたい。
どうにも私の作品には天馬出てくる率が高い。
好きです。




