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第3話  彼と婚前旅行(私の中で)♡

その後、お父様の鶴の一声(?)で、国内でのわりと遠い地域(ミター地方)へと視察に行くことになった。

東の方の国によるとオンセンなるものが出ているらしい。なんか、地面からお湯が出ているという話で、そのお湯にはいろんな効能があるらしい。とりあえず、共通しているのは疲労回復。

そもそも、疲労回復ならそんな遠くで出てこなくてもいいじゃない?行くだけで疲れるんだから。行くだけで疲れて、オンセンで疲労回復。帰ってくるのでまた疲れる。じゃあ、行かない方がいいじゃない?って話になる。疲労回復+αの効能を確かめるのが今回の視察の目的。

と、いう事は。私はそのオンセンとやらに入るのかな?

カミール様と一緒かしら……。って鼻血出ちゃう~~!!オンセンが血の海に!!


カミール様は私の体でドキドキしてくれるんだろうか?私は鼻血出るけど?前述のとおりちっぱいだし……。いや世の中は広い。ちっぱいが好きな殿方もいるだろうけど。どうだろう?



 ミター地方までは馬車で3日間かかる。

 馬車の中で二人っきり♡と思ったのに、アテが外れた。彼は‘専属’護衛騎士だから同じ馬車で移動だと思ったのに。馬車の周囲を騎馬で護衛するようだ。他にも護衛騎士はいるんだけどさぁ。なーんかガッカリ~。


*****



「よう、お前は王女殿下のお気に入りみたいだな」


 このような言葉を護衛騎士に任命されてからというもの他の護衛騎士から何度も言われる。だから何だというのだろう?


 今度視察でミター地方へと行くことになった。目的はミター地方で出てきたお湯(東の方の国だとオンセンというらしい)の効能の調査。

 お湯に効能があるのだろうか?


長期に王都を離れるので亡き妻の墓にも報告をした。俺はちょくちょく報告に来る。病弱と言われていたが、亡くなるのが早すぎだと思う。しかしこればっかりは……。あーせめて子供でもいたらと思うが、病弱な妻に無理をさせられない。


そんなことを考えながら、騎馬で護衛し、3日間かけてミター地方を目指す。


ミター地方では、王女殿下がはしゃいでいた。ああ、俺の子がいたら王女殿下くらいの年だろうか?そう思ってしまう。


「カミール!見て本当にお湯が出てくるわ。なんだかヌルヌルしている気がする……」

「いけません!お湯から速やかに離れて下さい。危険です。今、調査をします!」


護衛騎士なので当然盾を所持している。ヌルヌルしている液体…液体に盾を浸した。盾についていた汚れがとれて、ピッカピカの盾となった。


「どういうことだ??」

「肌もヌルヌルになったんですよね?では、汚れが溶かされたという仮説はどうでしょうか?全身をこの液体につけるのは、ちょっと大変そうですね。薄めてオンセンとすればいいのではないでしょうか?」


液体については、要検査だな。今ここで結論を出すのは無理だろう。


「オンセンとしては、私は潔癖ではありませんが、ルールがあった方がいいですね。体等洗ったあとに入る事!とか。そういうのも陛下に奏上しましょう♪」


 やはり王女殿下はしっかりされている。

 今回の視察でオンセンに入れなかったのは残念ではあるが、あのヌルヌルにつかるのはちょっと……。王女殿下と一緒にオンセンなどと不埒な事は決して考えていない!決して!

 私は亡き妻一筋だ!


*****


 うーん、このヌルヌルに全身を浸かるのは嫌だなぁ。盾がピッカピカになったから、お肌もピッカピカに!……なればいいなぁ。と思ったのに。そしたらカミール様も私の事を少しは想ってくれるかな?

 いや、亡き奥様に一途なところも魅力なんだけど。乙女心は難しいですね……。


 

私はきちんと仕事もしますよ。

オンセンの効能は今のところ疲労回復と美肌効果(仮)でしょうか?

 ‘(仮)’がポイントです。本当にそうだったら、王都から貴族がミター地方にぞくぞくと通うでしょうね。一大観光地として栄えるのでは?

 今まで日の目を見なかった地方ですからそのように栄えることは、国にとって良いことです。

 ミター地方の領主は誰でしたっけ?どっかの男爵でしたっけ?ホクホクとなるでしょうね。国王としては陞爵も視野に入れて考えるべき案件となりますね。忙しくなりそうです。



*****


 カミール様は護衛騎士でありながらも、騎士団長でもあるので王宮騎士団をまとめる仕事もしている。忙しいのだ。四六時中私の側にいるわけではない。

 

「なんだと?ちょっと護衛の任務に出て、出張任務していただけでこんなに書類がたまっているのか?騎士団の副団長は何をしていたのだ?」




 その時団員の心は一つになった。『副団長は女性と遊んでいました』




「簡単な決裁書類なんかもあるじゃないか?あぁ、これでは鍛錬している暇があるのか?俺は護衛の任務もあるというのに。ケリー副団長!」


 ケリー副団長は女性にモテそうな、まぁ所謂細マッチョですね。銀髪を後ろで束ね、瞳の色は茶色。カミール様ほどではないにしても、身長も高く女性に人気なのでしょうね。副団長というポストもいいのでしょう。


「俺は鍛錬をしないと弱くなってしまうではないか!護衛として弱くてはいけない。鍛錬も欠かさずにしたいと思ってる。それなのに、何だ?この書類の山は!鍛錬をする時間がなくなってしまう。弱い護衛騎士など、役立たずだろう」

「昨日から今日にかけてできたものですね、書類の山」ケリー副団長はしらっと言った。

「…ケリー。俺を失望させないでくれ。目を通すことはしたが、数週間前の物。つまり、俺が殿下に護衛としてミター地方に行ってすぐの物からある。これは俺がいないと書類決済もできないと申告しているようなものだが、反論はあるか?」


 俺はやむを得ずケリーを降格した。

 副団長には平民からたたき上げの男を推薦した。名前はギル。

 これには、貴族出身の騎士達が猛反発。

「こういうのは実力で黙らせろ」と俺はギルに伝えた。


「団長!俺らは平民の指示を仰ぐことになるのですか?」

「平民ではない。副団長だ。お前らのうち誰かギルよりも強くて、事務仕事ができるやついるか?いるならそいつを副団長に推薦してくれ。俺が判断する」

「「「……」」」



ギルが副団長になってからというもの、俺は護衛騎士として仕事をでき、尚且つ、騎士団長としても書類仕事を片付け、鍛錬をすることができた。ついでに亡き妻の墓参りをすることもできた。騎士団の方はとりあえず安泰かなぁ。と思う。


 ギルは挑んでくる貴族出身の騎士をバッタバッタと倒すほど腕を上げていた。なんでも、実家に給金の一部を送っているから、少しでも実家の役に立つために強くなりたかったらしい。

 おかげでギルに苦情を言う騎士団員は減った。それでも選民思想をもった団員はいるわけで、俺は直に話している。身分とか些末なことを気にするようなやつは、器が小さい。と。結局騎士として大事なのは、主への忠誠心と騎士としての度量だからなぁ。最近じゃ女性の騎士も増えているようだし、身分とかマジで些末だろう。

 身分で差別するのは騎士として狭量すぎるだろう。



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