被害者製造機
真剣に私ではありません
浅里貝徒を三言で表すと
ゴミ カス クズ である。
学校に煙草酒は常に持って歩き、教科書より多くの鬼を滅する漫画を鞄に入れて通学する。趣味はマッチングアプリで寝る女を探しで在学中は事あるごとにトークアプリの履歴を見せられた。
後輩にウザ絡み、彼らの私物をヤニ臭くするまで居座る。
だが、自分のご機嫌は自分で取れる為、私とは不思議と不仲ではなかった。
――
「で、この車はどこに向かってんの?」
午前0時。
私は今、浅里の車に揺られている。
....行き場も知らされずに。
「....高校の頃、体育館の裏でタバコ吸ってたの。お前黙ってくれてたろ」
「....それがどうしたんだよ。」
コイツとの出会いは体育館だ。
今でも鮮明に思い出せる。
上級生がいなくなった三年の始業式、コイツに『共犯になれ』と吸わされ、そこからいろんないざこざに巻き込まれるようになった。
「それとこれとどう繋がるんだよ。」
「俺はお前のことが嫌いで、お前は俺のことが嫌い。
違うか?」
??? もっとわからなくなってきた。そうだけど
「俺は、お前のことが嫌いで同時に好きだぜ? 俺とお前は正反対な性格で、かつてのクラスの様子でよ〜くわかるほど真逆だった。お前には社交性があった。だから、うまくやれてた。正直嫉妬してたんだぜ? でも、今こうしてドライブするほど仲がいい。」
「おだてても金しか出ないぞ。」
「はっ、そりゃいい。」
俺は知っている。
こいつが真面目くさった話し方をする時、それは大体、碌でもないことへの前振りだ。
俺は身構える。
「それでも仲が良かった、そう振る舞えた理由。それは、根っこが一緒だからだ。外面なんてどうでもいい。俺もお前も、根っこはどっちかっつーと悪側の人間さ」
「大抵のやつ、そうだろうけど」
....いつしか街並みを外れ、田舎道。森っぽい場所まで来ている。
対向車は.......一台もいない
「在学中、悪さばっかしてきた。俺とお前の『共犯者』
ルールは簡単、責任は俺が取る。....だからお前は」
「はぁー、完璧に合わせる...だろ?」
浅里の口角が上がったのを、私は補助ミラー越しに確認した。
やっぱり....縁ってのは不思議だ。こいつとの縁は
切ろうとしても、切り得ない。
「で、今回は何をするんだ? 森に来たんだ、森林浴なら歓迎するけど」
「死体埋める」
...神様、僕は今日から犯罪者みたいです。
彼のモデルはいますが犯罪者ではありません