増える登場人物
さて、私が登場人物の作品を書くにあたって色々決めようか
まずは目的だな。ストーリーを描くにあたって1番必要だ。かといって改めて劇的なことなど何もない過去をなぞった話なんぞつまらないし今から無限の大宇宙を旅するロマンを持っているわけでもない
いっそ仕事のことでも書くか? バカ言え、こんな片隅の作品読むようなやつがそんなの望んでるわけがない。創作くらい夢見させろ
輪ゴムで止めたポテトチップスの袋を開いて改めて自分を振り返る
髪ボサ襟元黄ばんだ限界22歳、おまけに口元におやつのカス。性別男、髪は切らず腰まである。根暗だな
恋してカッコよくなんてバイタリティはなく、エッセイを書ける人生観もなし
つくづく創作に向かねーなこいつ
諦めてベランダでタバコを手に取る。メンソ、高校からの相棒。夜の暗さに光るスマホでweb小説の執筆ページを開く
咥えたタバコが短くなるが、こいつの空白は埋まらない
「何書けばええねん」
燻る紫炎と斜め前の木に問いかけても返ってくるのはブルーライトのみ
山奥の民宿で働く冴えない存在には大自然で摂取するニコチンが何よりの快楽である
今日も書けなかった そんな事実に目を逸らし吸い終わった3本目のタバコを灰皿に落とし部屋に戻る
買ってきたビールは冷蔵庫の前で汗をかいていた
ーー
そんなこんなで、3日が経過した。
その間特に何もなかった。しかし、世界は回っている。何も起きていないことはない
一昨日は、アニソンを爆音で流す軽自動車が大通りで人を轢いてた。ベランダから見ていた。みんな引いてた。その日の晩御飯は挽肉をつかった。犯罪は身近にあるんだなと、ハンバーグを食べた。
昨日は、高校の同級生だった奴からメールが来た。
件名:ちょw俺犯罪者www
本文:一斉送信 お久しぶりです。元2組の浅里です。昨日、人を轢きました。TV局とかからインタビューきたら俺のことカッコよく言っといてくださいwww
ピーエス.変なこと言うなよ
世間は狭いみたいだ。カスが身近にいると知って私は鼻で笑った。コイツかよ
本名 浅里貝徒
同じ高校で一言で申せばヤンチャ
人に気を使わず我を通す。かといってカツアゲをするタイプでもないが迷惑はかける
「あ〜コイツも終わったな...」
特別仲が良かったわけではないが悪かったわけでもない
私に煙草を吸わせたのはコイツだし嫌いじゃなかったんだけどこればっかりは仕方ない
会おうとも思わない元同級生に思いを馳せ、ボンゴレパスタを作った。哀れなりっと
そして今日、なぜか俺の目の前にいる男、こいつは何食わぬ顔でこう言った
「久々だな、遊びに行こうぜ」
浅里は飄々と、週明けに登校する学生のような調子で喋りかけてくる。なんなんだこいつはまじで
私は至って冷静だった。だって、在学してる時と全く同じ台詞が言えたのだから
「なんなんだよ、お前マジで」