だるまさんがころんだ
お風呂場で「だるまさんがころんだ」と唱えてはいけないと聞いたことはないだほうか。
風呂場は水場なため霊が集まりやすく、またそこにいることを「肯定」するとより寄ってくるという。
あまり気にしてはいなかったんだが、たまたまシャワー中にふとその事を思い出してしまった。
また悪いタチなもので独り言が多い。
ぽつりと呟いてしまった。「だるまさんがころんだ」
まあ別に何かある訳でもない。ふと正面の鏡を見ると何かが視界の端を瞬いた。
ああ。1度気になるとずっと気になって、特になんとも思わないこともそう感じてしまうんだよな。
するとまた頭の中に「だるまさんがころんだ」が出てきた。今回は声に出さず済んだ。
鏡を見上げると今度ははっきりと手が見えた。
混乱する脳内。あれは確実に手だ。
呼んだのか?あれのせいか?
シャワーの手が止まる。
そしてまた「だるまさんがころんだ」
今度は腕の関節部まで見えている。
少しづつ背中に近づいている
思うな!忘れろ。
これ以上進むのは良くない。
「だるまさんがころんだ」肩口までが見える。
考えるな考えるな考えるな!!!
シャワーを止めようとするが上手くてが動かない。
「だるまさんがころんだ」俯いた女だ。俯いた女。
顔が見えないのは不幸中の幸いか。ふと力が抜けた。
そして一定で頭に浮かんだあのワードが出なくなった。
よし。あとは振り向かずここから出よう。
まず出ないと進まない。
シャワーを止め足に力を入れた瞬間「だるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだだるまさんがころんだ」
最後に見たのは笑う女と振りかぶった刃物…