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鼻水びよよよ〜ん


 うーーん。どうしても名前が思い出せなかったり、ちょっと曖昧な部分が多い気もするけれど……とにかく死亡フラグが乱立しすぎ!攻略対象2に至っては、対象も死ぬんかい!って感じだし。


でも、これで良いエンドも見つけられた。

今のところ、攻略対象4の誰も死なないエンドが一番安全そう!

ヒロインにはぜひ攻略対象を4に絞ってもらって……っていうか、それ以外選べないでしょ。

だって、誰か分からないけど死ぬんだよ?バッタンバッタン死んでいくんだよ?

私が生き残れたとしても、とっても後味悪いよね。いや〜かなり嫌だわ。


だけど、ヒロインとの出会いは恐らく学院に入ってからなのよね。

それまでどうしよう……。まだ八歳っていうことは、あと八年もある!


 私は小さな脳みそをフル稼働させて必死に考えた。

そして、出た答えがコレ。とにかく周りにアメリアは良い子!っていう良い印象を与える。

死に値するようなエンドは、きっと周りからの人望も関係してくるはず!

それをできるだけ回避しよう、っていうのが当面の間の目標。


 でもって、攻略対象とは仲良くしておく。いざっていう時のため!

そして攻略対象4以外の対象達にはヒロインとの出会いを阻止していきたい……けれどこれはまだ無理だから、とにかくヒロイン以外との恋愛を成就させるための手引きをしなければ!


 と、ここまでメモしたところでようやく馬車が目的の地へ辿り着いた。



 「お嬢様、着きましたよ」



 サヤに手を引かれ馬車から降りると、そこにはにこやかな笑顔を湛えた立派な体格の男と、これまたにこやかな笑顔を湛えた華奢な女性、そして一人ぼんやりと鼻水を垂らしてこちらを不思議そうに見る坊やが立っていた。


 ……って、ちょっと待って。まさかとは思うけど、この鼻水垂れが私の婚約者……なわけないよね?



 「アメリア皇女様。本日はお越しいただきましてありがとうございます。私、シビメント王都の王、チャールズ・オズワルト・シビメントと申します。こちらが妻のオリアーナ、そして我が息子の第一王子アーサーです」



 はい!出ました!こちらの鼻水びよりん坊やが次期シビメント王だそうでーす!

でもって私の夫になるそうでーす!はい無理ー!


 心の中で拒否反応を示しつつ、私は必死に笑顔を作る。



 「私は、ユーサニア皇国第一皇女アメリア・リリアンヌ・ユーサニアですわ」



 ドレスのスカートの裾をつまんでちょこんっとお辞儀をする。



 「本日は皇都からお越しいただきありがとうございます。ゆっくりとお話のできる場をご用意致しました。こちらへどうぞ」



 挨拶もそこそこに私たちは中へと通された。

 案内されてついていくと、小さな家が見えてくる。

 レンガ造りで、周りには何もない。

もちろん外観は立派だけど、王族にしては小さいような気もする。



 「お客様をお通しするように作られた場所でございます」



 私の考えを見越したのか、チャールズ王は表情を変えずに言った。

ふぅん、なるほどねぇ。やっぱ金持ちだわ。

 


 「私共とのお話をご希望とのことでしたが、よろしければその前に少しアーサーとお話はいかがですか?アーサーったら、この日をとても楽しみにしていたのですよ」



 うふふ、とにこやかに笑う王妃。あぁ、うん。遠慮させていただくわ。



 「まぁ!それはとても光栄ですわ!お気遣いいただき感謝いたします。では、ぜひアーサー王子とお庭でお散歩がしたいです!」



 なんてね。まぁ本音は言えないので、仕方なく鼻水坊やを引き連れて客間を後にした。


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