転生しちゃったてへぺろ☆あせあせ
夢を見たの。
見慣れた、だけど何故だか懐かしさの感じる狭い部屋に一人でぽつんと座っている。……私だ。
周りには敷きっぱなしの布団に、付けっぱなしのテレビ。そこから何が流れているのかなんて、全く気にならない。笑い声すら耳に届いてこない。閉じられたカーテンの隙間から溢れる日差しが、部屋の中の埃を巻き上げていた。
だけどそんなものには目もくれず、私はひたすらケータイと睨めっこ。
大好きな人が映る画面をただタップするだけの作業。
笑顔の貴方は唯一の癒しであり、世界だったなぁと改めて思う。
こんなつまらなくて鬱々とした世界で唯一人、私の心に生きる活力をくれる人。私が拝むことすら汚らわしいのではないかと思う程、神聖な存在。
あぁ……推しが尊い。昨日も尊かった。今日も尊い。きっと、いや絶対に明日も尊…………あれっ、でもこれは私の知っているアタシじゃない……?
「ママ……?」
掛けられた声に顔を向ける私は、目の下にクマが広がっている。なんて醜いのだろう。後ろで無造作に結われた髪は、目で見て分かるくらい痛んでいる。ほとんど手入れがされていない。
そして、いつの間にやってきたママと呼ぶその子ども。もじもじとしながらこちらを見つめる瞳は、とても綺麗で透き通っている。
きっとまだ5歳くらいの……いや、4歳だ。……この子は、私の……。
眉を下げる子どもが何者かを思い出すと同時に、その子どもが言った。
「どこにも行かないよ、ね?」
「………っ!」
何か言いかけた瞬間、私の夢は覚めた。
つぅ、と溢れて止まらない涙。思い出した。思い出してしまった。
――私は、転生してしまったんだ……
よりにもよって、私が愛してやまないゲームの世界に。