第九十七章・合宿の目的って何?
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第九十七章・合宿の目的って何?
仲居の仕事と言えば、座りながらやる仕事はほとんどないという。
中には仕事に忙殺されて、腰や膝を痛めてしまう人もいるとか。
でも千百合さんの仕事の手順は完璧だった。
うちは感心する。
仕事ができる女の代表のように、テキパキテキパキと動いていた。
うちだったらこんなにスムーズには動けない。
千百合さんには敵わないと思った。
雪枝先輩と一緒の部屋のうちは、バス酔いの残った雪枝先輩を、部屋に寝かせた。
部屋は和室で、畳に布団。
これはおばあちゃんちに似ていた。
感心する前に、先に雪枝先輩だ。
「先輩、大丈夫ですか?」
「もうだいぶ回復したわよ。ご飯の時に呼んでね。それと、野毬に頼んでおいてるから、合宿の目的である小説書きはちゃんとやりなさいよ」
「はい。じゃあうちはこれで」
部屋の外へ出るうち。
隣の部屋が、省吾くんと野毬先輩の泊まる部屋だった。
うちは男子部屋にお邪魔する。
「美羽野海です。入ってもいいですか?」
ひと声かけてから中へと入るうちだった。
中から返事が返ってきたので、うちは男子部屋に入る。
「やあ、美羽野。秋島は寝てるかい?」
「はい、野毬先輩」
「これからここで小説書くから、俺のパソコン使っていいよ」
「うちの小説ですか?」
「ああ。今まで書いた分のデータ、保存してUSBに入れたの持って来てるだろ?」
「まあ、一応…」
うちはUSBをポケットに入れていた。
ここで続きを書くのか。
完成してない状態での小説は、他人には見せたくなかったので、うちはパソコンだけ借りて、テーブルの上に置くと、パチパチとタイプを始めた。
省吾くんも野毬先輩も自分のノートパソコンは持って来ている。
野毬先輩は二台持って来てたようだ。
重いのに。
さすが幽霊柔道部員。
その時、ふすまの奥から千百合さんの声がする。
「どうも~。入りますよー」
「はいはい。入れよ千百合」
と、省吾くんが言った。
ガラッとふすまが開く。
千百合さんは座ると、丁寧にお辞儀をした。
「ここと、隣の部屋の担当をさせていただきます、わたくし青川です。よろしくお願いいたします」
千百合さんは仲居姿も可憐だった。
それに比べてうちは…。
って、いちいち比べてたら、自分の自信のなさを露呈してしまうだけや。
もう考えるのはやめよう。
それより千百合さんや。
「あら、こちら素敵な人!お名前を教えてくださる?」
千百合さんは野毬先輩の方を見て言った。
「え、俺?」
野毬先輩が激しく反応する。
「そうです。あなたです」
「俺は文芸部の副部長、野毬勇太だ。お見知りおきを」
「まあ、素敵な男性ですね。ごめんなさい、ちょっと興味持っちゃったかも」
千百合さんに限って、失礼だけれど野毬先輩に好意を寄せる女子ではないと思うけど。
うちはパソコンのタイプを打つ手を止めた。
読者の皆様には感謝しかありません!!




