第七十章・夏休みの文芸部
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第七十章・夏休みの文芸部
うちは文芸部の部室に久々に来たのに、この光景には驚いた。
雪枝先輩も省吾くんも、机に突っ伏しているではありませんか!
「どうしたんです省吾くん、雪枝先輩?!」
二人の横には大量の本が山積みになっていた。
しかも分厚い本ばかりだ。
文芸部の部長とうちの彼氏が一緒になって机に顔をうずめているなんて、ただ事じゃないと思う。
「海さんか…。いや、秋島先輩と二人でトルストイやドフトエフスキーに挑戦してみて、あまりの疲労に耐えられなくなっただけだよ」
どんな頑張りを?
うちは本のラインナップを見てみた。
これはうちの根性でも、読破は無理だ。
なぜそういうことをするんだろう?
「海、アンタはやめておいた方がいいわよ」
と、突っ伏したままの雪枝先輩。
かろうじて生きてる。
当たり前か…。
その時、野毬先輩が、うちの前に来る。
本を手に取ると、まじまじと雪枝先輩や省吾くんの方を見た。
「これは俺が読んでみてって言って、貸した本だろ。やっぱ俄かには無理だったようだね」
「俄かってどういうことです?」
うちは野毬先輩の方を向いて言った。
「俺の愛読書さ。好きな人は好きな本ばかりだよ」
「この分厚い本がですか?」
「ああ。でもやっぱり素人にはダメだったね」
野毬先輩はこういう本を読むんだ。
ただのヲタクだと思ってたのに…。
「野毬ぃ~。よくもこんな作品読ませたわね!」
さっきまで突っ伏していた雪枝先輩が、顔を上げて言ってくる。
「議論できるかと思って貸しただけなんだけどな…」
「出来るわけないでしょ!こんな難解な本」
「まぁ、それを見越して貸したんだけれどね。渡辺も無理に読まなくて良かったのに」
省吾くんも顔を上げた。
「先輩、それを早く言ってくださいよ。僕、真面目に読んでいましたよ。おかげでドッと疲れが出て、倒れそうになったんですから」
うちはあ然としていた。
省吾くんは生真面目だろうから、この本を真摯に読もうと頑張ってたんだ。
尊敬すると同時に、少し可哀そうになってきた。
「とにかく野毬!わたしたちはこういうのは読まない。読むなら大学入ってからだ。それまではこういう本は出禁ね」
「相変わらず毒舌気味だねぇ」
野毬先輩は本の山を崩すと、片付けに入った。
「そうそう、野毬も聞いて。夏休みの課題は、全員小説を書いてくること。ラノベでも何でもいいから、一人につき一作品書いて、提出すること。いいわね?」
小説を書くのね。
うちはようやく自分のやりたいことを出来るようになると思った。
なんてったって、うちは小説家志望なのだから!
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