第六十五章・デートの帰りに。
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第六十五章・デートの帰りに。
夕方が過ぎて、夜になろうとしていた。
薄暗く空色が変わる。
そんな中で、うちと省吾くんはさっき観た官能映画のパンフレットをそれぞれ買い、お茶が出来るコーヒーショップでお茶をしながらパンフレットをお互いに読んでいた。
パンフレットが顔を隠してくれているので、表情を見られることは無い。
うちはあの映画のいろいろ行為に及んでいる場面を思い出しながら、恥ずかしさと興奮でいっぱいだった。
なぜ男女はああいうことをするのだろう?
うちには分からなかった。
省吾くんも望んでいることなのかな?
だとしたら、答えてあげられないと思う。
今は…。
うちはパンフレットを読むのではなく、顔を隠すために使っていた。
ちゃんと読んではいないのだ。
うちの家はお堅い家族だから、こんなパンフレットを見られたら、いろいろ問い詰められるかもしれない。
それでも捨てるにはもったいないので、机の奥深くに入れておこうと決心した。
男子のえっちな本じゃないけれど、男子がえっちな本を部屋のどこかに隠す気持ちが少しだけ分かったような気がする。
うちもふしだらな映画のパンフレットを手にしているのだから、悪くは言えないと思う。
無言のうちらの緊張を解いたのは、雪枝先輩だった。
雪枝先輩がうちらの前に現れる。
突然のことだったので、うちと省吾くんはビックリして、持っていた映画のパンフレットを落としそうになる。
「雪枝先輩!」
「あれ、二人ともデート?奇遇だね」
「先輩こそ!」
「わたしはショッピング。本とアクセサリーの調達だよ」
「そうなんですか」
「ええ。アンタたちは映画観て来たの?」
「はい…」
「面白かった?何観たの?」
「それが…。観たかったのとは違う映画を観て…」
「何それ?そのパンフレット、映画の?」
「はい。ちょっと買ってみたんですけど、内容がよく分からなかったもので…」
「ああ、これ『ブラウン・ジャーニー』じゃない!ルネ・カッセル監督の」
「知ってるんですか先輩?」
「有名な監督の映画よ。前作の『カウボーイ67』とか知らない?」
「知りません」
「とにかく男の心情を情緒的に不安げに、そしてエロティックに描いた傑作よ。わたしはまだこの映画は観てないけれど、あらすじは知ってる。面白い視点で描いてるでしょ?」
そうは言っても、うちはほとんど行為に及んでいる場面しか頭に残ってなかったので、そんなテーマで描かれていることには全然気が付かなかった。
あれ、こんなうちって、ひょっとしてムッツリ?
読者の皆様に幸あれ!!




