第六十二章・スタイリッシュ省吾くん!!<後編>
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第六十二章・スタイリッシュ省吾くん!!<後編>
二時間後、省吾くんはうちの前にやって来た。
うちは少し眠っていたようだ。
手に持っていたはずの雑誌が、床に落ちている。
それを拾うと、雑誌を戻して省吾くんの方を見た。
そこには王子様がいた!
髪が短くカットされていたけれど、どことなく品が良く、ワックスで固められた毛先が、よりヘアスタイルをカッコよく決めている。
着ている服装に合わせた髪型だ。
これなら本当に高校デビュー出来る姿で、女子はほっとかないだろう。
うちはちょっと不安になったけれど、でもこれが省吾くんの今のスタイルだ。
彼は磨けば光る原石だったのだと、うちは思った。
「ど、どうかな?」
省吾くんは照れながら訊いてくる。
「とても素敵です!」
うちは素直に感想を言った。
カット&シャンプー代はうちが払った。
え、男に払わせるべきですって?
今日はいいの。
うちのワガママに付き合わせちゃった分を、うちが出す。
それだけや。
「それじゃあ、行きましょうか」
「うん、海さん」
「映画でしたね?今から観れる作品を調べますから」
美容室を出たうちと省吾くんは、シネマ・コンプレックスの映画館がある商業施設へと移動した。
歩けば数十分で着く。
「え~と、もともと観たかったというか、観るはずだった『私のことを探して』は夕方の回に走れば間に合います。でも、これを逃したら、もう一つの候補の『ブラウン・ジャーニー』しか時間が合いません。どうしますか?」
うちはテキパキとスマホで上映時間の案内を調べた。
「どっちでもいい…って答えは反則だよね。もう一つの候補でいいよ」
「そうですか。うちは本当にどっちでも良かったんですけどね。でもそれは確かに反則ですから、うちももう一つの候補に賛成です。余裕持って入りたいですからね」
うちは省吾くんと、安心して並んで歩いた。
今日の省吾くんはカッコイイ。
まあ、うちがおせっかい焼いてプロデュースしたからですけど、それでもうちは大満足です。
こんなにスタイリッシュに決め込んじゃって、うちの彼氏にはもったいないくらいです。
うちは省吾くんと一緒に映画館にたどり着いた。
それじゃあ、券売機のところへ行くとしますか。
ここでもスマホでチケットが買えるから、便利な世の中になったもんやわぁ。
使い過ぎには注意しないとだけれど…。
えっと、『ブラウン・ジャーニー』ね。
省吾くんが券売機の前に立って、パネルを操作してくれる。
省吾くんのスマホは映画館のクーポンが使えるので、ポップコーンとドリンクが無料になるらしい。
どこでそんなクーポンが手に入るんでしょう?
そういえばこの映画、恋愛ものらしいから候補の一つに選んでいたのだけれど、内容までは把握してるわけじゃなかった。
当然、もともと観る予定だったのは、『私のことを探して』だったので、それ以外の映画の内容を、全然調べてはいなかったのだ。
そういう意味では、この映画がR-15指定であることも了承済みではなかった。
そもそもR-15指定に何の意味があるのかも分からないでいた。
うちは逆に、そういう映画も観てみたいと思っていたのだ。
もう高校一年生だし、ちょっとディープな内容でも観たい映画には変わりない。
うちだって背徳感のあるような映画も、いつかは分かるようになりたいので、ちょっと背伸びしようと思って期待する。
* * *
そうこうしているうちに、省吾くんはチケット二枚とポップコーン+ドリンク券を手に持っていた。
うちったら、考え事しちゃっててゴメンね。
「チケット買ったよ。ポップコーンとドリンクの券も一緒に出たから。でもこれは一人分だけだから、海さんの分は売店で買おうよ」
「なら、自分で買ってきますから、省吾くんはどこか、その辺りの椅子に座って、待っててください」
「いや、この券を売店に出さないと、ポップコーンもドリンクも手に入れたことにはならないから。一緒に並ぼう」
「はい!」
うちと省吾くんは売店の列に並んで、順番を待った。
五分後、うちはドリンクとポップコーンのSサイズを買い、省吾くんはMサイズを手にする。
「買えましたね」
「そうだね。じゃあどうしようか?もう劇場に入って指定席に座る?」
「ですね!別に取られるわけではありませんけど、ポップコーン持ってここで待ってるより、それがいいかも…」
「そっか。そうだね。じゃあ入ろう」
「はい!」
うちと省吾くんは、劇場の準備中のサインが入場に変わるのを待って、チケットを切ってもらうと、劇場の中へと入っていった。
映画を映画館で観るなんて久しぶりやわぁ。
読者の皆様に幸あれ!!




