第四十三章・水泳で競争?
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第四十三章・水泳で競争?
うちは犬かき泳ぎとバタフライなら得意だ。
普通の人レベルで。
でも競泳の種目はクロールで25メートル。
どっちの泳ぎ方も禁止されてる。
それでも勝負は勝負や。
そして勝って、認めてもらうんや。
クロールでも何でもいい。
うちは腹をくくった。
とうとう、うちと千百合さんの順番が来た。うちたちが最後だ。
飛び込み台に足を乗せる。
暑さで熱を持った飛び込み台に立つ、うちと千百合さん。
並んで号令というか、笛の合図が鳴るのを待った。
ピーというホイッスルとともに、うちと千百合さんは同時にプールの中に飛び込む。
いきなりだけど、うちは潜った瞬間、左足がつってしまった。
勝負どころではなくなった。
足がつっては泳ぐことはおろか、沈んでしまうだけや。つまりはピンチ!
うちがバタバタともがいてる最中に、クロールでの泳ぎに先へ進む千百合さん。
しかし、うちがまったくついて来てないことに気が付くと、千百合さんは急いで戻って来た。
「大丈夫?」
千百合さんは、うちの体を抱きかかえた。
「だ、大丈夫です」
それでもうちは、少し水を飲んで、ゲホゲホと咳をした。
「何で助けたんですか?」
うちはうちの体を持ち上げる千百合さんの顔を見た。
「当たり前でしょ!友人がパニックに陥ってるって時に…」
と、千百合さん。
友人?
この人はうちのことを友人だと…。
意外やわぁ。
「立てる?足がつったのね?もう大丈夫だから。安心して」
千百合さんはこんな人だったんや。
優しさが嬉しい。
でも、うちとの勝負が…。
「うちの負けですね」
「え、何言ってるの?」
「勝負のことですよ」
「いいえ、ノーカンよ、ノーカン。だから私はまだ、認めてないわよ!」
そう言うけど、顔はツンデレな表情をしていた。
これが千百合さんの人間性なんやと思った。
「助けてくれて、ありがとうございます」
「いいって!」
そう言ってくれる千百合さん。
うちは千百合さんをちょっと見直した。
それは絹代ちゃんも同じだった。
「海、大丈夫?」
絹代ちゃんがうちに声をかけてきた。
「平気です。千百合さんが助けてくれたから」
声を大きくして、うちは絹代ちゃんに言う。
手を伸ばしてくれる絹代ちゃんだった。
うちは絹代ちゃんの手を借りて、プールから上がると、
「ありがと!」
と言った。
うちに続いて、千百合さんもプールから上がった。
「まったく、世話を焼かせる子だわ。省吾もこんな子をよく好きになったわね」
相変わらずの毒舌だったけど、千百合さんは結構いい人なんやわぁ。
絹代ちゃんも同じ思いだったようだ。
「海を助けてくれて、ありがとう」
絹代ちゃんも千百合さんにお礼を言った。
「別に大したことしてないから。ちょっと正義感に燃えただけよ、栗林さん」
「あなたのことは好きじゃないけど、少し見直したわ。青川さん」
「私のことは千百合でいいって」
「じゃあ、千百合。これでいい?」
「いいわよ、絹代」
絹代ちゃんも千百合さんも、お互いに認め合ったようだ。
そんなこんなで、これで今日のプールの授業は終わり、うちたちは制服に着替えるために、更衣室へと入っていった。
とんだトラブルだったわぁ。
うちは結局、何も出来なかった。
読者の皆様に幸あれ!!




