第三十一章・野毬先輩の勘
読者の皆様には感謝しかありません!!
第三十一章・野毬先輩の勘
うちが読んでいる小説は、読み進めていくと、だんだん性描写が入ってくる内容だった。
「彼女のこの、美しくも甘い密の味を、垂れてくるものも含めて、彼は全部飲み干すことになった」
なにこの描写?
抽象的でも何をどうしてるか分かり過ぎます。
うちはこんな下品な描写がある恋愛小説なんかには興味ないんですよ?
どうしてこんな本を選んでしまったのだろう。
この作品の読書感想文は書きません。
他の本…。
最初にこの文芸部に来た時の小説に切り替えよう。
恋愛小説は好きだけど、うちの好みもあるんだから仕方ない。
うちは今、えっちなことを考えるのは避けようとしているのだ。
そう思いながらも、心のどこかで省吾くんとの…、その…、えっちなことを意識しているのは自分でも分かる。
自分の心の中は自分には嘘が付けないのだ。
カマトトぶっていると言われてもいい。
うちはえっちな描写がある本をそっと閉じると、自分の鞄に入れた。
今後、これを読む機会はあるかもしれないから、自分の部屋の本棚に置いておこう。
「あれ、美羽野さん?本は読まないのかい?」
副部長の野毬先輩がうちに言った。
「はい。別のにしますから」
上手い言い訳も思いつかないので、うちは包み隠さず言う。
「本にケチが付いたワケか…」
そう言う野毬先輩だった。
本にケチが付いた…。
それは本当のことだ。
よく分かりましたね、うちがこの鞄にしまった本にケチを付けたことを。
心の中を言い当てるなんて、野毬先輩って人は…。
エスパーですか?と言いたくなる。
ヲタクは勘がいいのだろうか?
お世辞でもそう思いたくなる。
うちがこの本を鞄にしまったことは、省吾くんには分からないだろう。
それでいいと思う。
うちの心の中は知らない方がいい。
というより、女子が普段何を考え、何を妄想しているのか男子に知られでもしたら、もう生きてはいられないと思う。
それは、うちたち女子の秘め事なのだから……。
読者の皆様に幸あれ!!




