第十九章・ヲタク大変身!
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第十九章・ヲタク大変身!
うちはつい出しゃばってしまった。
「先輩、痩せてください!あと眼鏡もコンタクトにしましょう!」
突然のうちの言動に、困惑気味の野毬先輩。
うちはどれだけ失礼な女子なのだろう?
「お、俺に突然…痩せろと?」
あ、怒られちゃうかな?
いきなりの言動だし。
うちは覚悟した。
悪いことを言ってしまった。
でももう時間は戻せない。
「俺が痩せたら、彼女でも出来るっていうのか君は?」
怒鳴るわけでもなく、普通の声で野毬先輩は言った。
「で、出来ますよ!体を鍛えてスポーツ万能になって、爽やかになれば、彼女の一人や二人…、いいえ、二人も三人もいたらダメですけど、人は変われば認めてもらえるんです!」
ああ、言っちゃった!
すみませんすみませんすみませんすみません!!
こんな失礼なことをうちったら…!!
うちは頭を何度も下げた。
「ごめんなさい。うちの率直な意見です。他意はありません」
そうは言っても、あんなことを言われたら、さすがに怒るだろうとうちは思った。
しかし、怒られずに逆に諭された。
「俺は文芸部だけど、柔道部の幽霊部員でもあるんだ。そこのマネージャーにカッコイイとか言われて頑張ってるんだよ。痩せるのも大事かもしれないけど、眼鏡がダサいのも悪いのかもしれないけど、俺は俺でいたいんだよ」
ヲタクだけど、言い回しがカッコよかった。
この先輩、実はホントは善い人かも……。
こういうのを器が違うと言うのかしら?
うちったら本当に出しゃばり!!
恥ずかしいわ。人として。
「まあまあ、そういうのは人それぞれってことで。さあ部活を始めようか。俺が好きな小説は時代物なんだ」
と、野毬先輩は言った。
「時代物ですか」
「ああ。俺はサムライが好きなんだ。武士道物はサイコーだよ」
心根はカッコイイんですね。
うちはそう思う。
顔もよくない、ヲタクくさい眼鏡、脂肪を気にしない太ったお腹。それを差っ引いても余りあるオーラを感じた。
うちにもこういう気質があればなぁ。
恋愛にタジタジすることもないやろうに。
うちは自分の座っていたパイプ椅子に戻り、開いた本を読み始める。
「おっ、君は恋愛小説が好きなんだな」
野毬先輩はうちの本を見ただけで、恋愛ものであることを言い当てた。
「うちはそうですね。ミステリや怪奇ものは読みません」
「そうか。ああ、まだ君の名前を聞いてなかったね」
「あ、うちは美羽野です。一年の美羽野海。隣にいる男子が渡辺省吾くんです。うちと省吾くんは一緒に文芸部に入りました。同じクラスなんですよ」
うちの言葉の嵐にもついてきてくれる野毬先輩。
「へ~、一緒に?ひょっとして君たちは恋人同士なの?」
うちと省吾くんはズッコケる。
「そ、そ、そ、そんなことは…。ただ一緒のクラスってだけです!」
うちはフォロー出来なくて、つい真逆のことを口にしてしまう。
あ、これは言っちゃいけなかった。
今日のうちは失言が多いなぁ。
雪枝先輩がうちの代わりに説明してきた。
「この二人はねぇ、ぱんつから始まる恋をしているのよ」
「雪枝先輩!」
うちはオタオタしてしまう。
省吾くんも慌てた。
「海さん、秋島先輩に言ったの?」
「そ、相談したの。ゴメン…」
もうめちゃくちゃ!!
うちは本を閉じた。
鞄に入れると、パイプ椅子から腰を離して部室を出た。
恥ずかしいったらありゃしないわ!
うちは、今日はそのまま家に帰った。
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