第十八章・部活の先輩はヲタクくん?
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第十八章・部活の先輩はヲタクくん?
雪枝先輩はうちに話題を振った。
「海はどんなの読みたい?」
「え、それじゃあ恋愛もので!」
即答するうち。
「そういうのはたくさんこの部室に置いてあるわよ。好きなの選びなさい」
雪枝先輩は読んでた本を机に置くと、パイプ椅子から立ち上がり、本が埋め尽くされている棚の方へ駆け寄った。
うちも立ち上がると、棚のところに足を運ぶ。
「古典的な恋愛小説から現代の駄作まで、ひと通り揃ってるから」
「はい」
うちは指先を伸ばして本を選ぶ。
それにしても現代の駄作とはひどいと思った。雪枝先輩は現代の恋愛ものは嫌いなのだ。
それも人の好みだろうけど。
「これにします」
うちが手に取ったのは、古過ぎず、新し過ぎずのエルマ・ファーニング著の中篇恋愛小説『ガーデニング・オーシャンズ』という本だった。
読んだこともなければ、聞いたこともない。
それでもうちは、何かの参考になるかと、読んでみることにした。
「そういえば、文芸部の副部長はまだ来てないわね」
そう呟く雪枝先輩。
「副部長って誰です?」
うちは本を胸に抱くと、雪枝先輩に訊いた。
「二年の男子なの。太ってて、ダサい眼鏡のヲタクよ」
一生恋愛や彼女(恋人)に縁のないキモいヲタクなのだなと、うちは思った。
そういう目で見ちゃいけないけど、そういう人もいるようだ。
「電車男っていう都市伝説がありましたよね?」
うちは思わずフォローに回る。
相手はどんな人なのかまでは分からないからだ。
ヲタクも変身出来ると思ううちだった。
「気を回すのはおススメしないなぁ。見たまんまヲタクだから」
「はぁ…」
うちは席に戻ると、本を開き始める。
その時、部室のドアが開き、噂をすれば影が差す通り、ヲタクの二年生副部長が入って来た。
「あ、一年生?」
その太った眼鏡のダサいヲタク副部長が、うちに挨拶してきた。
確かに体臭も臭いし、不良なんかよりもよっぽど、存在が罪の先輩男子だった。
「ああ、俺は野毬。野毬勇太。文芸部の副部長になったばかりの二年だよ」
「ノマリ…先輩?」
この人は、見てくれだけ見ると、最悪のヲタク面だけど、何だか雰囲気が省吾くんに似ていた。
この残念な容姿に男を感じさせない、残念なオーラが省吾くんと被っている。
省吾くんもどちらかと言うと、見た目は地味で、女子にモテなさそうな雰囲気が、この副部長とリンクしていることに気付いた。
うちは結構失礼な女なのかもしれない。
これは改めなければいけないかなとは思った。
でも生理的に受け付けないこともあるのだなと、うちは思い知ってしまった。
読者の皆様に幸あれ!!




