第百二十章・叱られる省吾くん。
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第百二十章・叱られる省吾くん。
絹代ちゃんは、カフェに一人で来ていた。
絹代ちゃんが一人でいるなんて…。
「海、久しぶり!アレ、デートの邪魔だったかな?」
邪魔ではないですけれど…。
うちも省吾くんも自問自答していた矢先だったので、気まずい。
「どうしたの?デートにしてはお通夜みたいじゃない」
絹代ちゃんは心配そうに、うちらを見守る。
「ちょっとだけ、良くないことがありまして…。でももう解決しました」
本当に解決で良かったのでしょうか?
うちと省吾くんは、その場で打ち解けてはいなかったように思えた。
その辺を絹代ちゃんは見抜いていたのだと思う。
「二人に何があったのか教えなさいよ」
グイグイ来る絹代ちゃんだった。
しまいには、うちたちのテーブルに強引に割り込んで座る。
省吾くんの隣に席に腰を下ろした絹代ちゃんは、手を挙げると、
「注文!」
と叫んだ。
そんなことしなくても、テーブルチャイムを鳴らせば、店員の人は来ると思うのですが…。
すぐにステンレスのお盆を持った、若いウエイトレスが、うちらのテーブルに来る。
「すみません、お待たせしました」
と、ウエイトレス。
全然待ってないんですけれど…。
うちのツッコみは無言で終わった。
「パンケーキのMセットでドリンクはアイスコーヒーを食事の後に。それだけでいいです」
さすが絹代ちゃん。
まとめて言うのが速い。
うちは感心する。
でも、ここで食べるのですか?
うちたちは少々、気が張り詰めているんですけれど…。
まあいいでしょう。
うちは今日あった出来事を絹代ちゃんに伝えた。
かくかくしかじかと…。
「というわけで、うちは省吾くんがひどいと思ったワケです。でも…」
ここまで言うと、完全に省吾くんだけが悪者になってしまう。
そこでうちは、自分の今の気持ちを理解してもらえるよう、反省点も語り尽くす。
かくかくしかじか。
「なるほどねー。うん、渡辺くん!」
「何だい?」
黙ってうちに言わせておいた省吾くんが、腕を組んで見せる。
「あなた、そんなんで海を守れるの?」
「え…、いやその…」
「海がどうしてこんな顔をしてるか分かってる?」
「う、うん」
「なら、デートに失敗した今日という日を、胸に留めておいてね」
「うん。ゴメン」
「わたしじゃなくて、海にちゃんと謝りなさいよ!」
「ごめん、海さん」
絹代ちゃん、そんなに言わなくても…。
とは言えない。
入っていけないうちだった。
「あと、もし海に断りもなく手を出すようなことがあったら、わたしがちょん切ってやるから!」
何を?!
うちは絹代ちゃんならやりかねないと、ちょっとだけ思ってしまう。
そこまでしなくていいです!
そう言おうとした時、絹代ちゃんが注文したパンケーキのセットが運ばれてきた。
「あっ、美味しそう!」
絹代ちゃんの興味が食べ物に向く。
こんなタジタジな省吾くんを見たくはなかったけれど、絹代ちゃんにコッテリ絞られた省吾くんは、生気を失っていた。
デートでこんな風に不穏なムードが流れ始めると、うちも省吾くんも暗くなる。
「それじゃあ、絹代ちゃん。うちたちはもう済ませたから、行きますね」
これ以上はうちたちも勘弁という雰囲気だったので、うちと省吾くんはカフェを出ることにした。
そこはうちと省吾くんの阿吽の呼吸で、同時に席を立つ。
「あれ、行っちゃうの?」
「はい。なんて言ったって、うちたちは今、デート中ですから」
デート中とはどこの中学校だ?と、うちは心の中で思ったけれど、ギャグにしては寒いので、言うのはやめた。
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