第十二章・保健室のバラード
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第十二章・保健室のバラード
保健室の椅子にまで運ばれた省吾くんは、保健の先生に頭部の傷の手当てをしてもらっていた。
うちは様子を見に来る。
「省吾くん、大丈夫だった?」
うちは恥ずかしさを隠して、保健室に入っていった。
「あら、美羽野さん。渡辺くんの手当ては終わったから、ちょっと付き添いで私が戻るまでここにいてくれない?少し用があるのよ」
「は、はい」
うちが保健の先生と入れ違いに保健室の省吾くんを看ることになった。
「海さん…」
「省吾くん、頭大丈夫?」
「まあ、アホじゃないかな」
笑えない冗談を言っている場合じゃない!
「あんなに血が出て…」
「心配ないよ。縫う程ではないし。絆創膏と包帯で十分だよ」
「そう…」
うちは少し安心した。
「省吾くん、さっきまた見たわよね?」
「え?」
「ぱんつ…」
「ああ…」
気まずい雰囲気になるうちたち。
「見てないよ」
と、省吾くんが言う。
「嘘!絶対に見ました。ちゃんと分かってますから」
「見てないってば」
「昨日買ったばかりのうちのぱんつを…」
「ああ、昨日の買い物でね。じゃあ新しいの?」
「ホントは見たんですよね?」
「はい。見ました…。ゴメン…」
「もうっ!」
彼はうちが、今まで男子にはぱんつを見られたことがないと自慢出来る信条を、いとも簡単にぶち壊してくれた男子。
いや、人のせいにはしないでおこう。うちの不注意なのだから。
うちはまた恥ずかしくなり、手を赤くなった顔に当てて、省吾くんに見られないようにした。
うちの女性性をまた見られた。これからまた、人生で何度か、こういうことがあるでしょう。
でもうちはもう、省吾くん以外に男子は考えられない。そう思ってしまった。
省吾くんになら、また偶然にでも、ぱんつを見られてもいい。
とっても恥ずかしいけど、ぱんつから始まる恋はあるのだと思いたい。
「省吾くん、ホントはうちは、男子というものが怖くて苦手で…。でも本当は好きになりたくて、でも勇気が無くて…」
「いいんだよ。実は僕も、女子っていう存在が不思議に思えて、同じ人間なのにどこか異質で、強くて怖くて、ガラスのように脆い…、そんな感じでどう接していいか分からないくらいなんだ…。ゴメン」
「ううん、いいの。省吾くんがそう思うのなら、うちは省吾くんに応えます。だから…うちのことを嫌いにはならないで」
「嫌いになんてならないよ。むしろ僕は…」
「はい」
「君のことが…」
「うちのことが?」
「君の…ぱんつも……」
「えっ?!」
またぱんつ?
「あっ、ゴメン。違う。君のことが…」
「台無しです!それ以上言わないでください。もうっ!」
うちはたまらなくなって、保健室を出た。
もう恥ずかしい!
でも、昨日買ったぱんつを見てくれて、少しだけ嬉しかったかも。
そんな複雑な想いを抱いたまま、うちは放課後の廊下を走った。
読者の皆様に幸あれ!!




