第百十六章・夏の終わりのホラー映画
読者の皆様に幸あれ!!
第百十六章・夏の終わりのホラー映画
八月三十一日。
夏休みの最後の日に、うちと省吾くんは映画を観る約束をした。
新学期が始まる前日だ。
うちは省吾くんが現れるまで、先に映画館の前に来て、待つことにする。
今日観るのはホラー映画『ブラッディ・サマー』。
なんでも超怖いと評判らしい。
うちは前回、省吾くんと観に行った官能映画『ブラウン・ジャーニー』とは違う映画をチョイスしていた。
今度は大丈夫。
恐怖シーンしかないだろうから。
程なくして、省吾くんが現れる。
「待った、海さん?」
「少しだけ。でも大丈夫ですよ。映画はまだ始まってませんから」
それはそうだ。
映画が始まるのはあと三十分後。
今回は早めに待ち合わせたのだ。
うちは緑色のワンピースを着て、今日のデートに臨んだ。
省吾くんも前に買い揃えたスタイリッシュな服装をバッチリ着て来た。
うちからすれば、省吾くんは服装次第でカッコイイ男子になり得る人だと思った。
「それで海さん、ホラー映画は好きなの?」
「え?」
省吾くんが確認するように訊いて来た。
うちが選んだ映画がそんなに気になるのでしょうか?
「だってホラ、遊園地に行った時、お化け屋敷にすごく怖がっていたじゃない?」
と、省吾くん。
ああ、そうか。
うちはその時のことを思い出した。
「うちはホラー映画、大嫌いですよ。全然好きじゃないです」
「はぁ?」
省吾くんは声にもならない声を出した。
「だって怖いじゃないですか」
「そりゃそうだけど…」
「うちは怖いの苦手なので、サポートしっかり頼みますよ、省吾くん」
まぁ、こういうことなのだ。
うちは怖いのを観ながら、省吾くんに引っ付きたいのだ。
こういう作戦も、案外いいのかもしれない。
でも、映画のタイトルは気になるけど…。
『ブラッディ・サマー』って、血の夏?
縁起でもないわぁ。
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