第百十四章・帰る前に…。
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第百十四章・帰る前に…。
お風呂から上がると、浴衣をまた着て、部屋へ戻った。
うちと雪枝先輩の分の朝食が運ばれている最中だった。
それを担っていたのは、やはり千百合さんだ。
雪枝先輩が声をかける。
「ああ、おはよう!早いのね」
千百合さんは仲居の姿でうちたちを迎える。
「お帰りなさい。お風呂だったんですか?」
「まーね」
「今日の朝食はご飯とお味噌汁、それに鮭と生卵に海苔を用意させて頂きました」
千百合さんは昨日のことなど、どこ吹く風というように、仲居の仕事に没頭しているようにも見えた。
「ありがとね。わたしたちは今日の昼過ぎにはここを出るから」
「それじゃあ、お気をつけて帰ってください。バスの時間はお調べしましょうか?」
「そうして」
「では…えっと…」
千百合さんはスマホを出してバスの時間を調べた。
それくらいなら、うちたちにも出来るのだけれど…。
ま、いっか。
調べてくれるのならそれで。
「午後一時過ぎに一本、バスが来るみたいです。この時間でよろしいでしょうか?」
「それでいいわ。ありがと!」
雪枝先輩は丁寧に答えた。
「では私はこれで…」
立ち去ろうとする千百合さんに向かって、雪枝先輩が言う。
「バイト、頑張ってね。千百合ちゃん」
〝千百合ちゃん″とは雪枝先輩も穏やかな呼び方をするなぁ。
うちには真似出来ない。
千百合さんは雪枝先輩に一礼すると、静かな小走りで去っていく。
「また学校で会おうね!」
千百合さんの背中に向かって、雪枝先輩は叫んだ。
うちは雪枝先輩のことをすごい人だと思ってしまう。
いいえ、本当にすごい人なのは分かっていたのだけれど、ここまでコミュニケーション能力の高い人はそういないと、うちは思ったのだ。
「さあ、海。朝食食べようか」
「は、はい!」
うちも頑張らないとだなぁ。
雪枝先輩は尊敬に値する女性です!
うちと雪枝先輩は、片付けられた布団があった場所で、朝食を食べた。
新鮮な生卵で、玉子かけご飯を食するうち。
雪枝先輩は、海苔にご飯を巻いて食べていた。
お味噌汁の濃さもちょうど良かった。
美味しい朝食をありがとうと言いたい。
うちと雪枝先輩が食べ終えると、帰りに備えて準備をした。
夏合宿は良い思い出になったと思う。
うちにとって、高校一年生の夏は波乱だったかもしれないけれど、人生にとってこの時間は、本当に大切な時間だったと記憶に留めておくのだ。
書いてる小説は、残りの分は家に帰ってから書こう。
そう思って、うちは帰りの支度をした。
読者の皆様には感謝しかありません!!




