第百十二章・夏の夜
読者の皆様に幸あれ!!
第百十二章・夏の夜
うちたちは夜の十二時頃に解散して、それぞれの部屋で寝る準備をした。
今まで書いた内容は、全部USBに保存して、鞄の中に入れておく。
うちが書いた内容は、まだ内緒や。
省吾くんにも教えてない。
お題が『ぱんつから始まる恋』なので、いろいろと考えてから書いているのだ。
正直、上手く書けてるとは思わない。
でも精いっぱいのアイデアで完成させるつもりだ。
それがうちに出来る小説の書き方やから。
うちと雪枝先輩は照明を落とすと、真っ暗い中で浴衣のまま布団に入った。
この布団は千百合さんが用意してくれた旅館の布団だ。
なんだかんだ言って、ちゃんと仲居の仕事をしているようだ。
感心はする。
「海、朝は何時に朝食頼んであるの?」
雪枝先輩がウトウトしながら訊いて来た。
「朝の九時に千百合さんが用意して持って来てくれるはずです」
うちは千百合さんからそう聞いた。
さっき教えてもらっていたのだ。
勘違いされると困るから正直に言うと、うちと千百合さんには、別にわだかまりはないのだ。
うちと絹代ちゃんと千百合さんの三人は、みんな友達だと思っているのだから。
千百合さんはどうも、省吾くんに彼女がいることが面白くない様子だった。
それってうちのことだけど…。
でも邪魔はするつもりはないんだなと思ううち。
省吾くんにそこまで気があるのかも怪しいし。
幼馴染にもいろいろいるけど、千百合さんはいつまでも省吾くんが近くにいる存在だと思っていたら、急に現れたうちに取られて、嫉妬しているだけなのかもしれない。
まあ、それが悔しいだけなのだろうけど、それはしょうがない。
うちは省吾くんの彼女やから。
「雪枝先輩」
うちは背を向けて寝ている雪枝先輩に声をかける。
まだ眠ってはいないようだった。
「なぁに?」
と、返事が返ってくる。
「先輩は恋のライバルっています?」
うちはそっと訊いた。
別に変なことを訊いてるのではないけれど…。
「恋のライバル?海にとっての、あの青川さんみたいな?ああ、でも違うか。彼女はどうも所在の分からない立ち位置にいるようだし」
「先輩もそう思いますか」
「まぁね。ちょっと変わってるっていうか、いきなり渡辺くんを取られて、逆ギレしてるだけでしょ?」
当たってる。
さすが雪枝先輩。
「そうね…。わたしは年下と付き合ってるから、自分がちゃんとしないとね」
「はぁ…、そうなんですね」
「ま、好きだから付き合ってるワケだけど、もし恋のライバルがいるとしたら…。わたしには分かんないや。ゴメン」
「そんな、謝らないでくださいよ」
「あはははは。わたしたちは恋に恋してるJKだから、まだそこまで恋愛に対して向き合う姿勢って出来てないんだと思うよ。これからはだんだん変わっていくかもしれないけれど…。今は…ね」
「そうですね。うちも同じ思いです」
「海の小説、楽しみだわぁ。完成したら文芸部に提出よ」
「そんなに期待しないでください」
「いいえ、期待させてもらうから。渡辺くんのもね」
「先輩の意地悪!」
うちは喋ってると、急に睡魔に襲われた。
疲れが出たのだろう。
いつの間にか、深い眠りにつくうちと雪枝先輩だった。
静かな夜が訪れる…。
もうすぐ夏は終わる。
夏合宿も明日で終わるのだった。
読者の皆様には感謝しかありません!!




