第百十一章・VS千百合さん
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第百十一章・VS千百合さん
千百合さんが野毬先輩に興味を持つとは思えない。
だって、千百合さんは省吾くんの幼馴染だし。
幼馴染がお互いに好意を持つのが普通とは言えないけれど、うちは千百合さんの好みやタイプは知らない。
単純に自分でコントロールが出来る相手を好きそうな感じさえしていた。
だから野毬先輩は、千百合さんとはお似合いではないと思っている。
これはうちが鈍感なだけなのでしょうか?
千百合さんはそう思ううちを裏切るかのように、四つん這いで野毬先輩に近付いて行った。
「野毬さんの書いた小説、私は読んでみたいです!」
そんな千百合さんが、甘い声で迫っていっても、野毬先輩は顔色一つ変えなかった。
「俺は君の好意が嬉しいよ。でも俺は君に応えることが出来ない。ゴメンな」
いきなり千百合さんを振った!
野毬先輩、カッコ良過ぎる!!
うちはア然とした。
ヲタクという者をうちは軽視していたのかもしれない。
なんて潔い人なの?
野毬先輩が素で言ってるのだから、千百合さんは言葉を失うしかなかった。
「そんな…」
千百合さんに120ポイントのダメージ。
「野毬さん、童貞でしょ?私が初えっちの相手になりましょうか?」
さらに畳みかけるように言う千百合さん。
野毬先輩が童貞かはともかく、千百合さんも引き下がらないなぁ。
初えっちとか言わないでほしい。
「俺はそれでもいいんだ。君とえっちなことするのは間に合ってるよ」
「そ、そんな…」
千百合さんにさらに150ポイントのダメージ。
残るHPはどのくらい?
もう残り少ないと思いますけど。
心の中で、うちはそう思っていた。
もうキッパリ振られてください。
省吾くんにも野毬先輩にも。
「この私とセックスする機会を棒に振るなんて、男じゃないわ!」
キレる千百合さん。
「据え膳食わぬは男の恥ってこういうことなのね」
と、付け足す。
もう気の毒になってきた。
「俺はそんな男じゃないから。俺は漢だ。漢字の〝漢″と書いて、オトコと読む」
野毬先輩はちょっとイタい。
でも、らしく思えた。
漢らしい!!
「この私のような美人のバージンを美味しく頂かないなんて、それこそダメな男ですね。玉付いてるんですか?」
いきなりお下品な発言。
それでも野毬先輩はちゃんと、千百合さんの挑発を見抜いていたようだ。
てか千百合さん、耳年増ですか?
ちゃっかり処女だったんですね。
うちはてっきり…。
敢えてそれは言わないでおこう。
怒ったような顔で、野毬先輩を見つめる千百合さんだった。
これで少しは懲りたでしょう。
「これは血気盛んな男子たちじゃないわね。私は失望したわ。省吾もそうでしょ?違う?」
「僕は今のままでも構わない。海さんが許すまでは…」
省吾くんもカッコよく言ってくれる。
さすがはうちの惚れた男子。
まあ、ぱんつの件がなかったら、うちと省吾くんは今の関係にはなかっただろうけど…。
「文芸部って変な人が多いですよね!」
雪枝先輩が反応する。
「それ、わたしも入ってるの?」
雪枝先輩は怒ってはなかったけれど、変な人扱いにちょっとショックを受けていた様子だ。
何と言っても、雪枝先輩と千百合さんは、この旅館に泊まれるように頼むために、友達になっていたのだから。
千百合さんは無言のまま、静かにこの部屋を出て行った。
ようやく嵐は収まったようで、みんな安心する。
「あの子、すごいね」
呆れ顔で野毬先輩は言った。
「あれでも、うちの友達のようなものですから…」
うちはフォローだけはしておこうと思い、野毬先輩にそう告げる。
「ふ~ん。でも面白い子だよね。俺は別に嫌いじゃない」
野毬先輩には一定の評価は得られたようだ。
千百合さんも本望でしょう。
うちは緊張状態が解けて、体から力が抜けたのを感じた。
文芸部の勝利や…。
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