第百七章・それはセクハラですよ?!
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第百七章・それはセクハラですよ?!
突然現れたさっちゃん先生に、うちも雪枝先輩も戸惑っていた。
さっちゃん先生は二十代後半に見えるけれど…、うちたちとは若干、世代が違うと思う。
「あなたたち、隣の湯舟の声が聞こえる?」
さっちゃん先生はうちたちを挑発するように、そう言った。
「聞こえてますよ。男子の声でしょ?」
雪枝先輩が、気だるい感じでさっちゃん先生に言う。
「向こうも貸し切り状態みたいね」
そう言ってくるさっちゃん先生は、意地悪に感じた。
「で、美羽野海さん、渡辺くんと付き合ってるでしょう?彼から何かされなかった?」
「え?」
うちに矛先を向けるとは、侮り難し、さっちゃん先生。
まあ、キスはしましたけどね。
それは言わないようにした。
この先生なら、キスも不純異性交遊だとか言い兼ねないからだ。
さっちゃん先生は大声で、男子風呂の方へ声をかける。
「おおい!男子もお風呂にいるんでしょ?返事しなさいよ」
しばらくして、野毬先輩の声が返ってきた。
「誰?!」
向こうからはこっちが見えないから、声を聴いても誰もさっちゃん先生だとは気付かないらしい。
まあ、こっちの様子が分かっちゃ困るけど…。
「中江幸子よ!あなたたちの顧問」
さっちゃん先生は再び、大きな声で言い返した。
「な…なんで先生が?」
野毬先輩の疑問の声が聞こえた。
「実は先生も合宿の引率をしようと思って、追いかけてきたのよ!」
引率って言うけど、どうして今になって現れたのかと、ツッコみたいです。
さっちゃん先生は温泉目当てで来たとしか思えなかったですよ。
「そっちも貸し切り状態なの、野毬くん?」
「そうですよー。人いませんね。あ、渡辺は一緒です!」
野毬先輩も律義に返事しなくても良いのでは?
さっちゃん先生の声につられるなんて。
うちは野毬先輩も、先生の声を聴きながら、こちらの湯の妄想でもしてるんじゃないかと思う程に、疑ってしまう。
というより、さっちゃん先生が積極的に話しかけているのに、ちょっとだけ恥ずかしさを感じたのは、言うまでもない。
省吾くんもいるんですよね?
裸で温泉に浸かっている省吾くんが。
「男子のあなたたち、あなたたちも誰かと不純異性交遊はしてないわよね?」
さらに突っ込んで訊くさっちゃん先生。
男子に向かって不純異性交遊とは、思い切った質問だ。
省吾くんはうちとのキスのことをバラしちゃわないですよね?
省吾くんを信じましょう。
うちは心からそう願っていた。
「実はね、さっきガラス張りの中庭の茂みに隠れて、破廉恥なことをしているカップルを見かけたの。それってあなたたちのうちの誰かじゃないかって思ってね」
あの時、さっちゃん先生はそれを見ていたんだ。
うちはさっき、省吾くんと破廉恥なことをしていました。
でもそれは、純情な気持ちであって…。
でもキスはしたことにはなるわけだ。
言い逃れしたくてたまらなかった…。
「渡辺は違うと言ってますよ、さっちゃん先生」
野毬先輩がそう言ってくれた。
ヲタクっていう人間は、実に紳士な人だと思う。
ありがとうございます、野毬先輩!
「そうなの?じゃあ疑って悪かったわ。それにしても…」
さっちゃん先生はうちの方を見る。
「渡辺くんも一緒でしょ?美羽野海さんの乳首の色、教えてあげようか?」
勝手にうちの裸の情報を省吾くんに伝えないでほしい。
まだ見せたことのない部分のことを。
ぱんつだって、うちの女性性なのだから。
「美羽野海さん、あなたの下の方もどうなってるのか、渡辺くんに教えちゃおうか?」
さっちゃん先生はうちの体の構造の全部を、省吾くんに教えるつもりなんでしょうか?
「せ、先生!セクハラです」
うちは黙っていられず、強く抗議した。
「男子にとっては、そういう情報も必要なのよ?出さなきゃ溜まる体を持ってるんだから」
どこの保健体育ですか?
うちは体を手で隠した。
全裸だというのに、さっちゃん先生は失礼過ぎる!
うちは静かに湯舟に体を沈めた。
読者の皆様に幸あれ!!




