第百六章・温泉ブルース
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第百六章・温泉ブルース
うちと雪枝先輩は裸になると、タオルを巻いて温泉へのガラス扉を開ける。
横開きのガラス扉は湯気で曇っていた。
「うわ~。熱そうね」
雪枝先輩が石畳の上を、てくてくと歩く。
その後ろをついていくうち。
「露天風呂ですね。星空が見えます」
「ホントだ!空気が冷たいわー」
そのまま雪枝先輩は、湯舟に向かう。
「雪枝先輩、かけ湯を忘れてますよ」
うちはかけ湯用のお湯が左手にあるのを見てから言う。
「ああ、そうだったね。温泉なんて久しぶりだから忘れてたわ」
「もう。しっかりしてくださいよ」
うちは巻いていたタオルを取ると、かけ湯を竹で出来た桶を使って、バシャッとひとかけする。
雪枝先輩も同じようにした。
「あ、誰か入ってますね。奥に人影が…」
うちはボソッと言う。
そして温泉に入った。
熱い…。
足を入れただけで、その熱さが全身に伝わるようだ。
久々の温泉。
こんなに熱いなんて、家のお風呂とは全然違う。
肩まで浸かると汗がすごく出た。
新陳代謝がすごく良くなるようだ。
これは?せられる。
若いのにお肌の具合を気にするうちって、どうなの?
「あー、日頃の疲れが癒されるわぁ~」
湯船に浸かった雪枝先輩も、ご満悦のようだ。
それにしても人がいない。
どこかで太い声の話し声が聞こえるのは気にし過ぎかな?
その時、奥から人影が近付いて来た。
あれ、どこかで見た顔だと思ったら…。
その女性は何と、文芸部顧問のさっちゃん先生だった。
「あら、ようやく来たのね二人とも」
と、軽い一言でうちたちを驚かせるさっちゃん先生。
「先生?!なぜここに?」
雪枝先輩も知らなかったようだ。
「あら、わたしは文芸部の顧問よ。生徒たちの健全な行いを見守る役目は負ってるんだから」
「そうじゃなくて、なぜ今?」
「あなたたちが朝早くに出てから、ずっと追いかけてきたの。飛び入りでも宿は確保出来たから、この旅館の別の部屋に泊まってるのよ。驚いた?」
「いや、それならもっと早く言ってくれればいいのに…」
「昨日の夜、飲み過ぎちゃって、起きたら昼前だったのよ。でもこうして合流出来て良かったわ。で、どう?不純異性交遊は阻止出来た?」
ズッコケそうになるうち。
省吾くんと中庭でキスをしたことは黙っておこう。
それも不純異性交遊と言われかねないから。
「そういえば、さっきから隣の湯で話し声が聞こえたんだけど、この竹の壁の裏は男子風呂になってるみたいよ」
え、そうなの?
うちはひょっとして男子風呂に入ってるのは、省吾くんと野毬先輩ではと悟った。
「あちらもわたしたち同様、不純異性交遊の話でもしてるのかしらね」
ちょっと先生は黙っていてください!
うちは隣の男子風呂が気になって仕方がなくなった。
男子の裸…。
うちは妹がいるけど、家族で男の人と言えばお父さんくらいのもので、男性の裸を見る機会など、ほとんどなかった。
省吾くんが隣の湯で裸に…?
正直、野毬先輩の方はどうでも良かったけれど、省吾くんの裸には興味があった。
あれ?うちったら何を考えて…。
うちのえっち!!
読者の皆様には感謝しかありません!!




