第百四章・恋は盲目。ラブ・イズ・ブラインド
読者の皆様に幸あれ!!
第百四章・恋は盲目。ラブ・イズ・ブラインド
うちと雪枝先輩が食事を終えた後、千百合さんが膳を下げに来た。
「はーい。またまた来ましたよ、千百合です!」
今度は清楚な仲居とは違い、ラフな態度を取る千百合さん。
「バイトの時間が終わったら、私もガールズトークに混ぜてよ」
ちょっとちょっと!
図々しいですね。
「まだ温泉に入ってないわよ、青川さん」
雪枝先輩が千百合さんに言った。
「ああ、じゃあ一緒に入りましょうよ。野毬さんのことについて詳しくお話しして!」
「え、野毬?」
「はい!彼は私のタイプです」
「嘘でしょ?!あいつは〝超″が付くくらいのヲタクなのよ?」
「私、ヲタクに興味があるんです。ヲタクの世界が知りたいんですよ」
「マジ?本気で言ってるの、青川さん?」
「そうですけど…?」
「そっかぁ~。野毬は文芸部員で副部長を務めているけど、柔道部の幽霊部員で大会にも出たことがある奴なのよ~」
「そうなんですか?あ、でもあの体格からして柔道部員というのも納得出来ます。あのダサい眼鏡も、ちょっとオシャレに目覚めれば、カッコイイ眼鏡男子になると思いますし。へなへなした省吾より、あの野毬先輩の方がいい男に見えますよ」
省吾くんを引き合いに出して、野毬先輩を立てるなんて、当て付けですか?
うちは省吾くんの方がいいと思いますよ。
確かに省吾くんと野毬先輩は対照的ですけど、省吾くんには省吾くんのいいところがいっぱいあると思うんです。
それは幼馴染の千百合さんにも分かっているはず。
うちは野毬先輩のことを否定したいわけじゃない。
だけど、言い方ってものがあるでしょ?
「省吾くんには興味ないって本当だったんですね」
うちは言い返すように千百合さんに言った。
「あ、怒っちゃった?ゴメンね、海っち」
「別にいいですけど…」
「省吾はどう?付き合い始めてから、もう何か月かにはなるでしょう?」
「言う必要はありません」
「あっそ。つまんない子ねぇ。こんなんじゃ、省吾も退屈でしょうに」
雪枝先輩がうちと千百合さんの間に入って来た。
「まあまあ、二人とも!ケンカしないの。ここはわたしに預からせて!」
雪枝先輩が言うなら…。
うちは冷静になる。
「それじゃあ、あとでまた温泉にでも入って続きを話そうか。青川さんは仕事があるだろうから除外ね。海はそれでいい?」
「はぁ。雪枝先輩がそう言うなら…」
「じゃあ決まりね!下着とタオルと浴衣を用意して。温泉に入りに行きましょう」
「はい」
そう言うとうちは、千百合さんの方を向いた。
会話を諦めたのか、膳を持って、その場から去っていく。
ああ、温泉ですか…。
ゆっくり出来るといいんですけれどね、ホント。
読者の皆様には感謝しかありません!!




