第十章・こんなところで、もう!
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第十章・こんなところで、もう!
ショッピングモールの下着売り場を出て、フードコートで何かおススメのスイーツでもと通路を歩いていたら、前からやって来たのは知ってる顔、渡辺省吾くんと知らない女子だった。
え?こんなところで、うちの知らない女子と二人で、省吾くんは何をしてるの?
うちは慌てた。
向こうも、うちと絹代ちゃんに気付く。
「や、やあ。美羽野さんに栗林さん。奇遇だね」
美羽野さん……。
うちのことまで名字で…。
ううん、分かってる。
うちとのことは、他人には内緒って言ったのは、うちの方だもんね。
「渡辺くん、その一緒にいる子は誰?紹介してよ」
そう言ったのは、絹代ちゃんだった。
「え、ああ。彼女は僕の幼馴染の青川千百合。同じ天拝高校の一年生だよ。クラスは違うけどね」
「青川でーす。一年B組よ。よろしく!美羽野さんに、えっと…栗林さん?私のことは千百合でいいよ」
チユリかぁ。
センスのある名だと思った。
「よろしくお願いします、千百合さん」
うちはオタオタとしながらも、挨拶をした。
「うん、よろしく!栗林さんもね」
「ええ。よろしくね…」
絹代ちゃんは何だか面白くないみたい。
そうか。絹代ちゃんもうちの立場を考えたらと思うと、千百合さんの第一印象は当然良くないのかも…。
でもうちは、省吾くんと付き合ってるってわけじゃないから、怒らないでほしい。
というか、うちは省吾くん以外の男子は少し苦手なのだ。
そういう意味では省吾くんは人畜無害な人だとうちは思った。
あ、人畜無害ってのも失礼な話かもしれない。
うちはいろいろとこんがらがる。
「渡辺くん、ちょっとだけいいかな?」
絹代ちゃんは省吾くんを呼んだ。
「えっと…、何かな、栗林さん?」
「いいからちょっとだけ来て!」
絹代ちゃんは強引なところがある…。でももし、うちのことで話があるなら、出来ればそっとしてほしい。
ぱんつも買ったところだし…。
「ちょっとあなた、海のことが好きなんでしょ?」
絹代ちゃん、声が大きいよ!
千百合って子を待たせて、そんな大声で…。
絶対にあの子に聞こえてるわ。
「なのに他の女子と、こんな人の多いところで一緒に歩いてるんじゃないわよ!」
「ええ~。でも千百合はただの幼馴染なんだし…」
「知ったことじゃありません!今ここで死ぬ?」
「ちょっと~、絹代ちゃん…」
聞こえてるよ。
うちは恥ずかしかった。
まるでうちの気持ちを代弁してるが如しである。
ううん。確かにうちも、面白くないかもしれないけど…。
だけど…。
「ねぇねぇ、そこのあなた!」
今度はうちが、千百合さんに呼ばれた。
「はい?」
「あなた、もしかして省吾の恋人だったりする?」
「ええ~?!」
うちは戸惑った。
そんな質問ずるいです~。
「うちは、その…。そうではありません…けど……」
何と言ってよいやら分かりません。
「まぁいいわ。もしそうだったらオモシロいなーって思っただけ。今日はお買い物?何買ったの?」
うちが持っていた紙袋を見る千百合さん。
「ん?これって『エリーゼ』のマークじゃない!ってことは下着買ったの?ねぇ、それひょっとして、ぱんつ?」
ギクリ!
それはこの場では言ってほしくなかった。
確かにそうだけど、女の子同士だけの時はいいけど、何も省吾くんもいる場で言わなくてもいいじゃないですか!
「ぱ、ぱんつで何が悪いんですか?ぱんつから始まる恋だってあるでしょう!」
「はあ?何を言ってるの、この子…?」
横から入ってくる絹代ちゃん。
「ちょっとちょっと!海が困ってるじゃないの。早く幼馴染の渡辺くんと、どっか行っちゃいなさいよ」
「あら、あなた何を怒ってるの?」
「男子の前で女子に下着の話させないでよっ!もう行こう、海」
そう言うと、絹代ちゃんはプイッとしてから行ってしまう。
「ああ~、待ってェ!絹代ちゃん」
うちは絹代ちゃんを追いかけた。
うちは、ひょっとして本当は、ぱんつから始まる恋なんてないの?と思ってしまった。
でも言い返せなかった。だってうちと省吾くんは付き合ってるわけじゃないし。
ごめんね、省吾くん。
帰り道に、うちは泣きそうになったことは、黙っておこう。
ぱんつから始まる恋…。それはうちの幻想だったのかも……。
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