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ネオロエンサー  作者: 羇流遼
幽閉空間
12/17

011 都庁ロボ発進!!

 突如、どこからともなく飛来した光の粒子を吸収し、更に巨大化したデーモン・サタン:カウェナ。

やつが一声咆哮すると、襲い掛かってきた。

ジュピテル、ハートゥー、アルレスの3人はそれに怯むことなく、ますます攻撃の手を強める。アルレスのアナザーバーストが炸裂し、敵のHPがみるみる減ってゆく。それでも敵の動きが鈍ることはなかった。

「やられる前提の敵ってやっかいだな」

「敵さんには『命を大事に』コマンドないのかよ」

「しょうがない、もう一度アナザーバーストを使う!」

「HP大丈夫か」

「これで決めるさ」

 アルレスがアナザーバーストを発動しようとした瞬間だった、物陰から何かが突っ込んできた。それはイービル・アモン:ハヨロヒだった。奴は体を丸め全身から棘を噴き出し、棘球状態でアルレスに突進する。虚を突く弾丸攻撃にアルレスは回避行動が間に合わない。


 やられる


 そう思った瞬間、二人の間に何かが立ち塞がり、ハヨロヒを弾いた。ジュピテルが飛び出し、サイキック:円環障壁盾を展開したのだ。

「リーダー・・・」

 アルレスが全てを言い終わらないうちに、ハートゥーの怒声が飛ぶ。

「サタンの攻撃が来るッ」

 3人はサッと躍り上がると、その場から飛び退いた。ワンテンポ遅れてカウェナの巨大な拳が大地をえぐる。一息つく暇もなく、ジュピテルの背後からハヨロヒが襲い掛かってきた。それを盾でいなしつつ、2体の妖魔から距離を取る3人。

「あー鬱陶しいな、ちょこまかと」

 もう少しでカウェナを始末出来たのに、それをハヨロヒに邪魔されてアルレスは切れ気味に叫んだ。

 なだめるハートゥー。


「あのイービル・アモンじゃまだな」

「下手にあいつに集中すると、こんどは巨大デーモン・サタンにやられんぞ」

 焦る2人にジュピテルの檄がとぶ。

「俺たちはイージスの盾団アスピーダ・アイギスだ。忘れんな! 合言葉は」

「「ガード! ガード! 鉄壁のガード!! アーンド アタァーック!!」」


 ジュピテルが盾を真正面に構えた。腰を落とし大地をしっかりと踏みしめる。アルレスとハートゥーも武器を握りなおして構えを取った。

 イービル・アモン:ハヨロヒが1歩踏み出して攻撃態勢をとった瞬間、空を裂くサイキックのうなりが響いた。羽手裏剣が突き刺さる。バランスを崩したハヨロヒを獄氷剣の一閃が襲い掛かった。


 あと一撃


「あぶない! 跳べッ」

 オリヅルがトドメを刺そうとした刹那、カザオリの声が飛んだ。見れば、デーモン・サタンが、その巨体から特急列車の如き唸りを上げるアッパーパンチを繰り出しているところだった。ひらりと宙を舞ってそれを躱すオリヅル。唸りをあげる轟拳は、そのままイービル・アモン:ハヨロヒをぶっ飛ばしHPを0にした。図らずもフレンドファイアを誘発することによって、ハヨロヒ撃破に成功したのだった。

   

「やった!」

 5人が再会を喜ぶ暇もなく、倒されたイービル・アモン:ハヨロヒは光の粒子となり巨大デーモン・サタン:カウェナに吸収された。そして、カウェナは更に巨大化。その全長は、どう見ても200mを超えていた。


「ありえなくね?」

 息つく暇もなく、敵は火炎攻撃を繰り出した。

ジュピテルが盾を構え、サイキックを発動するも防ぎきれずにダメージを負う。

「リーダーの盾を貫通した?」

「どうするの?」

「・・・逃げろ!」

 5人は一目散に逃げだす。尻尾、蹴り、火炎、それらを組み合わせた猛攻を繰り出す超巨大デーモン・サタンの攻撃をかわしながらも逃げ戸惑う。


「敵さん、コッチには来ないぞ」

ジュピテルの呼びかけに応じて都庁の敷地内へ逃げ込む5人。デーモン・サタンの吐き出す炎が新宿中央公園と都庁の境界線で霧散した。どうやら東京都庁の敷地内はセーフティーゾーンになっているらしい。見えない壁に阻まれて空中で消える炎はなんだかシュールだった。

「なんか変な感じ」

ハートゥーが霧散する炎をまじまじと眺めながらいった。

「とにかく助かってよかった」

「ついでだし、都庁の中探検してみない? なんか手がかりとか、武器とかあるかもよ」


5人は東京都庁の中へと踏み込んだ。



案内板を見つけてつぶさに眺める。

「第一本庁舎の方にいろいろ集中してんな」

案内板をみながらアルレスが言った。

「まずは最上階の展望台で周りの状況を確認するべきじゃないか」

あごに手をあてながらジュピテルが言う。

「そうだな、お二人さんはどうよ?」

「それでいいんじゃない」

カザオリも同意しようとしたところで、アルレスが口を挟む。

「そうだ、ここに軍師いた。軍師、戦略をくれよ」

正確には軍師は俺じゃないんだけどな、などと思いながら、カザオリはW.Gに尋ねた。

―――どうすればいい

<<今考えなければならない事は3つ。すなわち、

1:聖米の場所

2:今後脅威になる超巨大デーモン・サタンの対処法

3:新宿エリア全体がどうなっているのかの確認 

の3項目だ>>

W.Gの言葉を伝える。

「そういえば、『清水』も見つけなきゃじゃね」

思い出したように言うアルレスに、オリヅルは『清水』を手に入れた顛末を語った。

感心したように聞き入る3人。

「なるほどね。太古の昔に湖だった場所か。気が付かなかったな」

感心したようにジュピテル。

「てことは『聖米』もそういう場所にあるのか」

「ぽいな」

「魑魅魍魎の魔境だろ」

「そういえば昔、この近くに犬の屠殺場ってか、火葬場なかったか?」

「それは中野区。新宿区じゃないね」

「新宿区内じゃないとダメなわけ?」

「そういえば、そうだな」

「池袋組とか渋谷組と合流出来るかも?」

「そういや国道20号線の向こう渋谷区だよな」

「20号線て?」

「甲州街道のこと」

「甲州街道?」

キョトンとした顔で尋ねるオリヅル。

「目の前の道、右にずっと行って突き当たったら建物一つ越えたとこ。すぐそこだよ」

「都庁の敷地出てすぐ渋谷区なんだな」

「渋谷ってそんなに近かったんだ」

「ただし、渋谷駅はずっと先だぜ」

「後で要確認だな、これは。」


「おいみてみろよ」

案内板を眺めていたハートゥーが言った

「知事の部屋って7階なんだな。てっきり最上階かと思った」

「へえ意外」

「災害対策本部ってのもあるんだ」

「ゴジラの映画でやってたアレか」

「見てみてーよな」



◇■◇■


5人は、まず周りの状況確認の為に最上階の展望室へ来ていた。 

彼方にはサンシャイン60が見えた。ひょっとしたら本当につながっているのかもしれないなとカザオリは思った。


驚声が響く。見下ろすと

あっちこちでデーモン・サタンが暴れていた。

こんなに出現しているのかと驚く5人。イービル系の敵は小さすぎて確認だきなかったが、その倍は出現していると考えてよさそうだ。


オリヅルが悲鳴をあげた。

慌ててそちらへ振り向くと、さっきの超巨大デーモン・サタンの顔が眼前に迫っていた。唸りをあげながらこちらを伺っているみたいだ。

「俺たちロックオンされてる感じ?」

「だな」


こんどはカザオリが大声をあげた。

「今度はどうした」

「あれ見て」

カザオリが指さす方をみると、ある一角が黒雲で覆われていた。その一角だけ大気が薄暗く、明らかに異質だ。

「リーダー、あそこって確か・・・」

「戸山公園じゃないか、確か」

「ひょっとしてパッピーが言ってた、うちの大学の近くにある、幽霊が出るって公園て」

「そうそう、あそこだよ」

「話が見えないんだけど」

勝手に盛り上がるアイギスの3人にオリヅルがクエスチョンを投げかける。

「あの薄暗くなってるところは戸山公園っていってね、昔、国立陸軍病院が建っていたんだよ」

「その病院てのがいわくつきでなぁ。なんでも戦時中、負傷して担ぎ込まれた兵隊さんたちを人体実験に使ってたんだと」

「だいぶ死んだらしいぞ、その人体実験で」

「ねえ、怖がらせようとしてない?」

オリヅルの言葉に悪乗りするアルレス。

「夜中になるとな、その怨霊が今でもでるんだよ、そりゃあもう魑魅魍魎の跋扈ばっこする魔境だ・・・」


沈黙


「あ、ひょっとしてみんな、同じこと考えちゃった系?」

「絶対アソコでしょ」

「条件に当てはまりすぎてるよな」

「ここですよって言ってるようなもんだよな」

「でもさ、でもさ、逆にトラップだったらどうする?」

「ぶち破るしかねーな」

「脳筋リーダー頼もしい」

「まかせろ」

「今の皮肉だよ」

「わかっとるっちゅーの」



◇■◇■


災害対策本部が映画とそっくりに再現されていたことに驚きつつ、5人は都知事室へ向かった。ミーハーなハートゥーがどうしても行ってみたいと言ったからだ。


「案外こじんまりしてんだな知事室って」

失望を滲ませるハートゥーに

「ここ、あくまでもバーチャルの中だからな。現実と同じとは限らないぞ」

アルレスがつっこんだ。

「だからこそじゃん。だからこそもっとゴテゴテでいいんじゃない?」

そう言いながら知事の椅子にふんぞり返る。


と、突然鳴り響くエマージェンシーコール。


「なにしたんだお前」

「しらねえよ」


室内がまばゆく光りだした。

「な、なんだ、地震か? どうなってんだ」

室内が揺れ始める。

「崩れるんじゃないのか?」

「ひょっとして自爆装置?」

そんなことを言っている間に、入り口の扉が消滅して四方の壁がディスプレイになった。外の様子を映し出す。

「お、おい。見ろよ」

都庁全体が轟音を立てて変形し始める。

「何が起こるんだ」

「都庁が変形してる???」

「うそでしょ」

気が付くと知事室はコックピットになっていた。



知事のデスクは操縦席に、その眼前にある空間には、管制制御機器が出現した。


そしてその全貌が明らかになる、

都庁は人型ロボットへと変形を完了した。


「天下無双ォ! トーチョーオー」

突然叫ぶハートゥー。

「ど、どうした」

「男の子なら叫ぶでしょ」

「いやいや」

「絶対無敵と2択で迷ったんだけどね、絶対無敵は言っちゃいけない気がした」

ハートゥーは、都庁がロボットに変形したことでやたらテンションが上がっていた。


「都庁ロボでよくないか」

「なんじゃそりゃ、お前の脳みそは乾球式かァァ」

「うるせぇ。テンション上がりすぎなんだよ。鬱陶しい」

「( ゜Д゜)ハァ? カザオリだったらなんて名前つける?」

 突然話を振られて戸惑う。

「イ〇オン、かな」

「ん? どうして」

「なんか、形似てない?」

「因果の彼方に飛ばされそうだな」

「つうか、それを言うならマク〇スだろぅ」


「ねえ、そんなことより、あいつコッチを睨みつけてるんだけど」

振り向くと、あの超巨大デーモン・サタンが境界線からこちらに来ようと暴れていた。


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