009 第一のアイテム
敵の強さ早見表
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イーブル・デビル:特撮的戦闘兵
イーブル・アモン:特撮的怪人
デーモン・サタン:特撮的巨大化後怪人
ルシファー・サタン:特撮的敵幹部
慌てて声がした方へ走る。すると前方の空間が歪んでいるのが見えた。
蛇の鱗のような亀裂が走り、そこからイーブル・デビルがワラワラと湧いてきて。
―――オロチの世界侵食が進んでるってことか?
<<肯定する>>
カザオリは冷や汗をかく感覚に襲われた。
「何だこれ」
ビックリしてたたらを踏むアイギスの3人。
「オロチが世界を蝕んでるんだ」
「オロチウイルスの侵食早くね」
「はやく『天叢雲』手に入れないと」
「まずは目の前の敵を倒すぞ」
出現したばかりのイーブル・デビルを蹴散らしながら靖国通りに出る。
あちらこちらでプレイヤーとイーブル・デビルが戦闘を繰り広げていた。
4人はピンチに落ちっているプレイヤー達をヘルプして救い始めた。動揺して身動きが取れなくなっていたプレイヤー達も落ち着きを取り戻すにつれ、冷静に対処しだした。敵は定期的に湧いてくるが、所詮はいつもの雑魚敵だ。落ち着いて対処すればなんてことはない。
轟音が轟いた。
続いて、路地裏から女性プレイヤーが飛び出してきた。その後を追うように、ビルの谷間からデーモン・サタン:牛頭ヘラクレスが飛び出し、襲い掛かる。
「デーモン・サタンまで出るのかよ」
アルレスが驚いた様な声を上げた。
「ルシファー・サタンが出たくらいだからな」
ジュピテルは落ち着いて状況を分析し始める。
牛頭ヘラクレスの猛攻はすさまじく、女性プレイヤーは一瞬でも気を抜けばやられてしまいそうだった。全長5mはあるその巨体から繰り出される攻撃はうなりを上げて、いかにも勢いすさまじく、見ている人間たちに躊躇いを起こさせるには十分だった。しかも雑魚狩りを終えた近場のプレイヤー達は、火の粉が降りかかるのを恐れてか、その様子を遠巻きに眺めるだけで誰も助けようとはしなかった。
<<カザオリ、こんなことをしていても根本的な解決にはならないぞ>>
一歩踏み出そうとしたカザオリにW.Gが言った。
効率的に考えるのならば、さっさと3つのアイテムを探しに行った方がいい。所詮ゲームの世界なんだし。HPが0になっても死ぬことはないだろう・・・たぶん。 しかし、視覚的リアリティがそう割り切ることを拒んだ。
なんだか、HPが0になったら本当に死んでしまいそうな気がして。
牛頭ヘラクレスへ向かって羽手裏剣を投げながら飛び出すカザオリ。
腕を振って羽手裏剣を弾いたことにより、鳩尾にある弱点がむき出しになった。今まで通りならば、ここが弱点なのだが・・・
運を天にまかせて切りかかる。他の三人も後に続いた。
突然の男4人組の乱入により、なんとか一息つくことが出来たオリヅルは少し距離をとり、気を取り直すと追い打ちをかける隙を伺う。
やり合うこと数十回。5人の波状攻撃によりからくもデーモン・サタン:牛頭ヘラクレスを撃破することに成功した。
「大丈夫かい」
「ええ、どうもありがとう。せっかくレア武器を手に入れたからって調子にのちゃったみたい」
「レア武器?」
「ええ、駅の忘れ物預かり所で武器を取りに来たっていえば貰えるわよ」
オリヅルがかざした剣は蒼に彩られ、刀身からモクモクと白い煙を吐き出していていかにも威力ありげに見えた。星5武器の獄氷剣。彼女はそう言った。
これこそ天の助け。4人は顔を見合わせる。
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「エホバの落とし物を取りに来たんですけど」
緊張の一瞬。そして歓喜。
彼女に案内してもらい。忘れ物預かり所で『麹酵母』を見事ゲットすることに成功した一行。
間違いない、あの映画はヒントだ。カザオリはそう確信した。
オリズル 水属性 剣装備
一緒にプレイしていた仲間が見つかるまではと、彼女も行動を共にすることとなった。