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白金記序章・黎明編  作者: 富士見永人
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 高神に真犯人の捜査を約束してから、ヒヅルは人工全能の合同訓練に参加しなくなり、食事などの雑事当番も他の者たちに頼んでいた。

「別にいいけどよ。どうしたんだ、ヒヅル。最近お前何か変だぞ」

 旭に炊事当番の代行を頼んでみたものの、彼が訝しむのも無理はなかった。ヒヅルはいつものように笑い返す余裕はなく、どうアルマを守り抜くか、高神を出し抜くか、思考が堂々巡りしてしまい夜も満足に眠れず、眼の下にはクマができており、心なしか(やつ)れて見えた。

「最近少々体調が優れなくて。ほゝ、おほゝゝゝ」

「無理するなよ。お前やっぱり、アルマが失踪した件について何か隠してるんじゃないのか」

「どういう意味です」ヒヅルは動揺を悟られまいと、平静を装った。しかし高神に追いつめられ、タイムリミットも刻一刻と迫っていたため、焦りがあったというのが正直なところだろう。

「ちょっといいか」

 周囲の眼が気になったのか、旭はヒヅルを薄暗い物置部屋まで連れていった。監視カメラや盗聴器の存在を気にしていたのか、終始きょろきょろしていた。そして安全を確認できたのか、ふたたび口を開いた。

「俺だって、できればアルマを助けたい」

 ヒヅルにとって旭のその言葉は予想外で、しかし何よりも心強かった。

「もしお前がアルマを匿っているなら、俺はお前の味方だ。俺にも、アルマのために何かできることはないか。ひとりで全部抱えこもうとするな。相手はヘリオスだ。仲間が必要だろ。アルマはたしかにだめなやつだけど、だからって、何も殺すことないじゃないか。俺だって、今回の高神のやり方にはむかついてるんだ」

 ヒヅルには旭が嘘をついているようには見えなかった。歓喜したヒヅルは、いてもたってもいられず旭の手をとった。

「ありがとう。旭。正直、行き詰まっていました。私ひとりでアルマと……それから星二を助けるのは困難だと」

「星二って……朱井さんのことか。彼も、高神に捕まったのか」

「拷問部屋に監禁されているようです。高神からそう聞きました」

 ヒヅルは旭を信頼し、すべてを打ち明けた。高神からアルマを匿っていると疑われていること、星二が人質にとられていること、そして三日以内に手を打たねば星二が殺されるかもしれないこと。

「そうか。今までひとりでアルマのために戦ってたんだな。でも、たまには仲間を頼れよ。みんなお前が最近おかしいって、心配してるぞ。俺だけじゃない。陽とか月世とか、話せばみんな助けてくれるさ。一緒に戦おう。お前はひとりじゃない」

「旭」

 ヒヅルの眼から、(せき)を切ったように涙がぼろぼろと、溢れ出した。

 日頃の超然とした態度とのあまりのギャップに戸惑ったのか、旭はのけぞり気味に(かぶり)を振った。「お、おい。大丈夫か。どこか痛いのか」

「もう大丈夫ですよ、旭。あなたという弟がいて、本当によかった。あなたが、みんながいれば、百人力です」

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