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超能力学園へようこそ!  作者: ザトウクジラ
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高貴なる刃 霧崎兆華

投稿遅れてすいません!

 ~特別寮~

 今、この部屋には人が四人いる。

 俺と会長、ギルに霧崎兆華だ。

 ギルが俺担当、兆華が会長担当だ。

「同じ場所だと戦いづらいわね…場所を変えましょう。」

「その必要はないわ。すぐに決着がつく。」

 会長が左の手のひらを前に突き出す。

 その手の平に真空空間が発生し、そこに向かって物が吸い寄せられる。

 そして兆華もそれに引き寄せられ…

「シュヴァルツ・ゼルストルン!」

 会長の貫手がその体を貫く!

 はずだった。

 その手は兆華に届かず、いつの間にか抜かれていたレイピアは左手を貫通し、首筋に突き刺さっていた。

「レイピアの特徴は相手との間合いを一定以上に保つこと…徒手空拳で対応することは至難の業ですよ。」

「その間合いを削り取るのが私の能力のはずなんだけど…どうやら能力の相性も悪いみたいね…」

「手で触れた物を破壊する能力…といったところでしょうか?確かにそれは私の『貫通(ストレート)』との相性は最悪ですね。ですけど、手加減はしませんよ…」

 レイピアを引き抜き、その隙に会長は間合いを取る。

 よく見ると会長の手にギリギリレイピアが通るぐらいの穴が開いている。

 これが相手の能力だとしたら武器との相性が良すぎる…

「もちろん、この能力も無限というわけではありません。貫通する際、一時的に消失する部分の質量は10gが限界。ですが、人体に対しては十分すぎる量でしょう。」

 10g…少ないように感じるけど人体は水と同じぐらいの密度。体積に換算して約10㎤、手の平は余裕で貫通できる。それどころか表皮を貫通して内臓の内部に直接ダメージを与えることだって可能だ。

「会長!その能力シャレにならないぐらいヤバいですよ!」

「分かってるわよ。だけどちょっとばかしスピードが足りないみたいね。」

 次の瞬間、強力な一撃で兆華が窓の外に吹き飛んだ。

「スピードが売りの剣術が徒手空拳に負けてどうするの?」

 さすがは会長…体当たりとはいえ一瞬で…

 ていうかここ確か3Fだった気が…

(いった)いですね!死んだらどうするんですか!」

「待ってなさい。コンボはまだ続いているのよ?」

 ~特別寮入口付近~

 二人の戦いはかなりの長期戦となった。

 零乃が攻撃を入れるために間合いを詰めようとすると、兆華が細かい刺突で突進力を奪う。

 それをかれこれ5分間は繰り返している。

「コンボと言いましたか?残念ながらハメ技のようですね。」

「こんな痛み…腕で貫かれたのに比べれば大したことないわよ…」

 ここまでの戦いを総括するならば圧倒的に兆華の有利だ。

 そう。『ここまで』の戦いならば。

「レイピアって思ってたよりも厄介なのね…」

(何かいい方法は…転機をきかせてグッドなアイディアが浮かばないとヤバイわ…)

 零乃は深呼吸をした。これが落ち着くのに最も手っ取り早い方法だ。

 落ち着けばすぐにグッドで『バッド』なアイディアは見つかった。

(これぐらいしか…無いわよね…?)

「『肉を切らせて骨を断つ』って言葉…知ってるかしら?」

「知ってますよ。恐れずに気合を入れろってことです。」

「分かってるならいいわ。今から私がお手本を見せてあげる…」

 零乃は今までと変わらず一気に踏み込んで距離を詰めようとする。

「結局ワンパターン…肉を切らせるだけなら完璧なお手本ですね…」

 無慈悲な(ツルギ)が放たれた瞬間、零乃は足の裏でその先端を蹴った。(これを一般的にヤクザキックと呼ぶ)

 そして…

(ツウ)ゥ…これは効くわね…意識が飛ばないから余計辛い…」

 零乃の履いている靴は安全靴であり、底の部分にかなり分厚い(約4mm)鉄板が入っている。

 その部分を貫通する際に出力のほとんどを使い切ってしまったため、今のレイピアは直接突き刺さっている状態にある。

 そこに零乃の脚力が上乗せされ、貫通した状態で固定されてしまっている。

「これが肉を切らせる手本…そしてこれがっ!」

 体を上手く回転させ、もう片方の脚の蹴り技でレイピアをへし折ってしまう。

「骨を断つ手本よ!」

「そんな…単純な蹴り技で負けるだなんて…」

 兆華は武器を失い、戦意を喪失している。

 剣士とは脆いもので、武器を失うと戦う術がない。その言葉を否定するために、多くの剣術流派では刀を使わない武術や、暗器を使った武術を並行して習うことが多い。

 しかしそれが兆華には無かった。その剣術はレイピア以上に脆いといえる。

「あなたは武器と能力に頼りすぎてたのよ。私は能力も武器も使わずにあなたを破ってみせたわ。どうせ武器と能力の相性のことしか考えて無かったんでしょ?」

「くっ…分かったように…」

「ならば今のあなたに戦う手段が残っているの?」

「それは…」

 声が出てこない。認めたくない事実を無言で肯定してしまう。

「今ので即答できなきゃダメね。さっきあなたの口から聞いたわよ。」

「気合を入れろ…ですか?」

「なんだ、分かってるじゃない。結局最後に試されるのは気合なのよ。」

 ~中央ホール~

「やっぱりよぉ~大したことねぇじゃねぇかよぉ!もうズタズタのボロボロじゃねぇかぁ!なぁ?まだまだマダマダマダマダ楽しませてくれよ!」

「なんて奴だ…こいつには弾道が見えているのか?」

「いえ、動きを見る限り本能的な反射神経で動いてるらしいです…こんな形状の剣を反射神経で操れるだなんて本物の化け物ですね…」

 二人を相手にしてもなお無傷で圧倒する実力。

 彼のそれは兆華のように、武器に頼っているわけでも能力に依存しているわけでもない。

 その二つと本人の経験が全て最高レベルまで洗練されているからこその芸当である。

「さぁ…本当の地獄はこれからだ!」

最近安全靴を買ったんですが、あれって普通に武装として成り立ってますね。今後重宝されそうな…結構登場しそうな…

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