レッドゾーン
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こちらでも更新のお知らせをします。
~超能力学園 空港 特別棟~
あれから数日後。
ついにこの日が来た。
「レッドゾーン…一体どんなところなんですかね…」
「俺は知らないよ。会長は知ってますか?」
「いや、私も初めてよ。」
情報はセリネの『治安が悪い』以外はほとんど無い。
ますますヤな予感がするぞ…
「それはそうと真矢、左腕見せてみ!メカニックの義手なんてロマンだからなぁ…」
「見た目は普通の腕ですよ?ただちょっとしたギミックがありまして…」
義手の一部が展開し、噴射口が姿を現す。
「おお!中々かっこいいじゃないか!」
「だけど実用性はあまりないんですよ…反動で一回転しちゃうんで…」
「まぁいいんじゃないの?カッコイイじゃない。それ。あ、そろそろフライトみたい。早く乗らないと。」
それから数時間のフライトが続き、ついに北海分校に到着した。
~超能力学園北海分校 高校第一校舎 正門前~
「はいようこそ我が学園へ!僕の名前は酩帝龍雅。今年入りたての1年生だよ!」
何だか早速めんどくさそうなのに絡まれたな…
ギラギラしたベルトしてるし…どう見たってヤバい奴だろ…
「悪いが、俺達はお前に構ってる暇は無いんだ。ちゃんとした代表者を出してくれ。」
「ッ…その態度はさぁ…酷いんじゃないの?」
次の瞬間、放射状の斬撃が俺たちの体を切り裂いた。
「さすがに抜刀じゃあ仕留めきれないかな…いや、殺さなくてよかったってところかな?改めて自己紹介。五光代表の酩帝龍雅だよ!よろしくね!」
一体今の斬撃は何だったのか。抜刀ってことはやっぱり武器なのか…だけど1m以上は間違いなく離れていた。それだけの長さがある得物を片手で目に映らないスピードで振るなんて不可能に近い。
「皆『?』?みたいな顔してるね…やっぱりこの武器ってマイナーなのか…ちょっとしょんぼりだよ…」
どう考えてもおかしい。この距離でも届く上に片手で振り回せるほど軽く更にこの切れ味…
しかもあの瞬間反射的に左腕でガードしたはずなのに体が切れた。
傷はあまり深くなかったから良かったが頭の中にはずっと武器についての疑問が浮かんでいた。
「酩帝。勝手なことをするな。お前は五光じゃないはずだぞ。」
「チッ!めんどくさい奴が来たよ…」
紺の軍服に赤いの髪の毛。メカニカルな刀を帯刀している一人の少年が現れた。
「これはどうも。本校から生徒会の方が来ると聞いていた。どうぞこちらへ。」
「おいおいおいおいオイオイオイオイォィォィォィォィォィォィォィォィ!クレナイ君!雑魚のくせしてその態度は酷いんじゃないの?」
「その言葉使いはなんだ?確かに私は身長が低いがお前よりも年上だ。礼儀をわきまえろ。」
「年上ならさぁ、五光長いんでしょ?だったら実力に応じて入れ替わるっていうのも知らないってことは無いよねぇ?本来だったら五光の席全部ブチ空けてもいいところを別の席作ってあげてんだかさらぁ…ね?クレナイ君の方こそ敬意が足りないんじゃないのかなぁ?」
「今に見ていろ。貴様など風前の塵に過ぎない。」
「まぁまぁまぁ二人とも落ち着いてください。ケンカしたっていいことないですよ。」
右崎先輩ナイス!
一触即発ってところだったよ…
さっきの居合(?)といいやっぱり酩帝龍雅ってやつは(色んな意味で)ヤバい奴なのかな?
その後俺達はちょっとしたホールに案内された。
~北海分校 高校第一校舎 中央ホール~
丸いテーブルの周りには背もたれの長いイスが五つ並べられており、それぞれに五光と思わしき男女が座っている。
「ではまずは自己紹介をさせていただきたい。我々もその辺りはきちんとしておこうと思う。私の名は紅令。五光の代表をやらせてもらっている。五光での私の席は『松に鶴』だ。」
ここに俺たちを案内してくれた人だ。
軍服って…この学校には校則っていうもんが無いのか?
まぁ帯刀してる時点でお察しだけど…
「じゃあ次は私の番ですわね!」
白い髪の毛に白い肌。目は赤いから恐らくアルビノなんだろう。
そして武器の方だが、背中にロングソードを背負っている。
「私の名はゾフィア・ルミナスライト ブラン ホワイト ヴァイス アルブス ビエールイですわ!五光での席は『桜に幕』。よろしくお願いしますわ!」
長い!とにかく長い!
少なくとも7つには区切れたぞ!
「ゾフィーちゃんは名前を省略するってことを覚えなよ。」
「ゾフィーって呼ばないでくれません?私の名はゾフィア・ルミナスライト ブラン ホワイト ヴァイス アルブス ビエールイ!勝手に省略することは許さないですわ!」
「はいはい分かった。あ、俺の名前は蒼月弾。五光では『芒に月』の席にいるよ。まぁ話すことはこのぐらいかな?じゃあ次どうぞ~」
態度はチャラチャラしてるけど、約束はちゃんと守りそうな信用できるタイプだ…
言葉に闇が全く感じられない。
「私の名前はギル・ヴァルヴァリオだ。もっとも、日本以外の血は入っていないがな。」
次に声を出したのは赤い雰囲気を放つ男子生徒。
制服は返り血で赤く染まり、背中には巨大な鋸を背負っている。
さっきの見えない斬撃の奴よりもやばい感じがする…
「お客さんを驚かせたら駄目でしょう?あ、私の名前は霧崎兆華。五光での席は桐に鳳凰。自分で言うのもあれですけどこの中では私が一番まとも。何かあったらすぐに知らせてくださいね。」
まとも…ねぇ…
武器を背中に背負ってる時点で普通じゃない気がするけど…
それを言ったら能力の時点で普通じゃないか。
「じゃあ自己紹介も終わったことだ。要件を話していただこう。」
「さすがは実力で彼らをまとめてるだけありますね。全てお見通しですか。」
そして会長がつくしに関する一連のことを話した。
その目的、被害など。そしてあの能力も。
「他の存在を侵食する能力…確かにそれは厄介だ…我々も力を貸そう。」
「そんな!私は反対ですわ!危険すぎます!」
「貴様らのために力を貸すわけがないだろう。」
「ゾフィアさんの言う通り。私たちが命を張る義理なんてありません。」
「ちょっ!みんな⁉ヒーローになるチャンスだよ⁉ノリ悪いなぁ…」
「まぁ蒼月、別に強制ってわけじゃない。好きにさせろ。」
結局協力してくれるのは二人だけ…か…
「はぁ…これじゃあなぁ…」
「そう肩を落とすな。あいつらだって君たちを見殺しにするほど残忍な性格は持ち合わせていない。ただ…実力も分からないような人間に力を貸すのが嫌なんだろう。彼らの力を借りるには君たちの実力を示さなければならない。要するに…」
「彼らを破ってみせろってことですね?」
「ああ。その通りだ。だがな…あいつらは強いぞ…」
「大丈夫ですよ。人間かどうか怪しいレベルの奴らがうちの学校には沢山いるんで。」
「人間かどうか怪しいか…人間か…どうか…酩帝もそんな感じだったな…」
「さっきの奴ですか?」
「ああ。あいつは躊躇せず人を切り裂く。涙と血が混ざってもその肉を刻み続ける。人間というよりは…人の皮を着た鬼畜といったものだ。」
あの見えない斬撃に加えてそんな性格…今まで会ってきた中で五本の指に入る程の脅威と考えて大丈夫だろうな…
「言い忘れていた。明日は何があってもこのホールに近づかないでくれ。」
「何でですか?」
「命の保証ができないからだ。」
次回は激戦の予感…




