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超能力学園へようこそ!  作者: ザトウクジラ
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決戦の時

今回は…タイトルの通りですね。

 ~超能力学園 地下空間~

「ほう…なかなかやりますね…たった二日でここまで上達するなんて…」

「だろ?もしかして俺って才能ある?」

 芹音はシンヤの上達スピードに驚いていた。

 覇瞳は通常ならば習得に数年間かかるが、シンヤはその基礎を初日で習得してしまった。

 ここからは再び彼の目線で話を進めよう。

「才能があるのは確かですが、それにはそれなりのルーツが存在します。今度家族構成を教えてもらってもよろしいでしょうか?」

「サイン貰うんだったら今の内だぜ?俺は将来大物になるからな!」

「自分で言うことではないです。それに、あなたの覇瞳はまだデモンストレーションのレベルでしかないですよ。能力の方は十分ですが、体術に関してはチンピラ拳法。剣術を学ぶにしても今のあなたにできるのは振り回す程度です。」

 酷いこと言うなぁ…俺だって頑張ってるんだぞ…

「努力は認めましょう。では今度は格闘術についてですね。お姉さまの体術は皮膚の硬性と剛性を強化することによって、あたかも金属の様な防御力を実現します。この能力、『硬剛装甲(メタルスキン)』は単発の攻撃であれば日本刀の一撃でさえ防ぐほどです。しかし、この能力にも弱点はあります。硬剛装甲は水面が固まる現象と似た原理で発生します。つまり、ある程度以上圧がかかった状態では無効化されるのです。ほぼ同時の同箇所に対する二段攻撃。これが硬剛装甲を破る一番の近道です。」

 ほぼ同時の同箇所に対する二段攻撃…その上で内部にまでダメージを与えなきゃいけないのか…

「っていうことは俺に『発勁(はっけい)』を使えっていうのか?武術の究極と言われる技だぞ?」

「知識は十分なようですね。あとは実行だけです。覚悟は決めたはずですよね?」

「まぁやるしかないよな。それしか方法が無いんだからな…」

 俺は発勁の構えを取る。

「ちゃんと両足に体重がかかるようにしてください。重心も体の外に置くイメージです。」

 それに対して訂正を加えるようにして数分後。ようやく発勁を撃つ構えが整った。

「私の発勁は少し特殊です。発動の際に行う踏み込みは抜刀術のものを利用します。それによって発勁の弱点であるスピードを補い、ほぼ同時の二段攻撃が可能になるのです。」

 さらっと言ったけどこれ相当難しいよね…元が拳法の究極なのに、そこに上乗せで抜刀術の畢竟を加えるのはねぇ…

「前にした左脚を脱力してそれと同時に右脚を引き抜く。」

 先にセリネがお手本を見せてくれたが、ハッキリ言って見えない。

 まるで瞬間移動のように、視界から一瞬で姿を消した。

「これが抜刀術の踏み込みです。」

「まぁ手取り足取り教えてくれよ。」

 その時だった。突然巨大な揺れが起き、立っているのも精一杯だ。

「何があったんだ⁉」

「この揺れ…震源は生徒会室ですかね…こんな高威力の能力なんて閃光以外考えられないです…もうそんなに激しい戦いだなんて…あ!シンヤさん!どこ行くんですか⁉」

 閃光…噂には聞いたことがある…前会長の能力で、その威力は超能力学園を囲む厚さ500mの防壁を一撃で貫通する…

 そんな能力を使うほどの戦況になるだなんて…絶対にヤバい!

 俺は走っていた。走らずにはいられなかった。

 今地上がどんな状況なのかは分からない。だけど行かなきゃいけないと思った。

 タワーを出て、防壁を抜けたところでリナと出会った。

「リナ⁉何でここに?」

「セリネって子から電話があったのよ。心配だから迎えに行けって。それで?どこに向かってるの?」

「生徒会室に連れて行ってくれ!そこで何かヤバいことが起こってる!」

 ~生徒会室~

「チッ!何で当たらねぇんだよ!」

「時間を逆行する能力…何て手強い能力なの…」

 禅は  (スペース)の攻撃を次々と回避し、真木の手刀も全く見当違いの場所を引き裂く。

 鎌の連撃は全てが空を切り、足刀は狙いさえも定まらない。

「クソッ!イライラすんなぁ!」

「全ての攻撃を狙う段階から回避する…」

「言ったはずです。時間軸の上に立っている以上勝つことは不可能だと。」

 勝ちを確信し、禅は喜びの笑みを浮かべる。

 真木はその時を待っていた。禅の精神の油断を。

 瞬間、鋭い貫手が禅を貫いた。

「何…故…だ…何故避けられなかった…」

「あなたの実力が能力によるものだからよ…能力に頼っている以上、私に勝つことは不可能よ。」

 その直後、零乃とレツ、カオルが生徒会室に到着した。

「遅かったのね…既にノワールホールは敗北…」

「これはヤバいですよ会長。」

「姉様。これはどういうことでしょうか?」

 真木は腕を引き抜くと零乃の方を向いてニヤリと笑った。

「元気そうじゃない。待ってたのよ?」

 そう言うと右腕を引き左手を前に突き出す、正拳突きの構えを取る。

 そして一気に距離を詰めた。

「もうその攻撃は見飽きたわよ!」

 零乃は左腕を掴み腕を絡み付け、関節を逆方向に曲げる。

「関節技⁉」

「確かこれには硬剛装甲が効かないんだったかしら?」

 零乃が腕に力を入れると真木の関節がミシミシと痛々しい音を立てる。

 とっさに真木は腕を軸に、全身を回転させて技を解いた。

 その勢いを利用して足刀の連撃を加えるが、回転によっていなされてしまう。

 零乃は回し蹴りを打ち込み、その足を掴まれるともう片方の足で攻撃し、重力によって捕縛から抜け出す。

 真木の両腕は弾かれ、ガードが無くなったところに零乃は力を込めた拳を叩き込んだ。

 その威力は凄まじく、硬剛装甲越しにもダメージが入るほどに強力だ。

「中々の威力ね…だけど、力押しだけじゃ私に勝てないことぐらいわかっているでしょう?」

「もちろん、力押しだけなわけないでしょう。」

 そう言うと零乃は右腕を左回転させ、全身の筋肉のスイッチを入れる。

 その瞬間、真木の体が後方に吹き飛んだ。

「発勁よ。あなたを倒すためだけに磨いた技。」

「会長カッコイイですよ!」

「発勁なんていつの間に覚えたんですか?」

「全部我流です。今度カオルさんにも教えましょうか?」

 すると突然、壁が赤く染まった。

 真木の腕が零乃の体を貫通したのだ。

「フフフ…油断したわね…」

「そんな…確かに発動したはず…」

「あら?私の特技を忘れたの?超高速の背部への踏み込み。あなたの発勁じゃ追いきれないスピードよ?」

 真木は腕を引き抜き、零乃は床に落ちる。

 シンヤとリナが生徒会室に着いたのはその瞬間だった。

「なっ…畜生…」

「そんな…酷い…」

 シンヤの内部から何かが沸き上がってきた。

「絶対に…許さない…お前だけは…」

 怒りを超えた何かが。

「絶対に許さないッ!はぁぁぁぁぁっ!」

 教室にいる人間全てが凄まじい覇気を感じた。

 体を芯から揺らすような波動。

 真木もその迫力に押され、硬剛装甲が無効化される。

 そう。これこそが覇瞳(はどう)だ。

 シンヤはそこに一撃の拳を叩き込んだ。

 腕をクロスしてそれをガードするが、それさえもミシミシと音を立てている。

「どらぁぁぁぁっ!」

 そのまま壁まで突き飛ばし、そこに巨大なヒビが入った。

「ハァ…ハァ…」

 シンヤは息を切らし、真木は倒れたまま動かない。

「やったのか…?」

 恐る恐る意識の有無を確認する。

 その時だった。

「アハハ~ごめんねぇ~」

 一発の弾丸がシンヤに向けて放たれた。

一応次回でこの五つ巴戦争は終結させるつもりです。

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