生徒会へようこそ!
新シリーズです!(最近別のシリーズを始めたばっかなのに…)
数百年後の未来。
ある一人の子供が生まれた。
彼はある特技があった。
スプーン曲げ、フォーク曲げなどのマジックだ。
ここまでなら全くおかしいところは無い。
ではなぜわざわざ彼の説明をしているのか。
それは、そのマジックにタネが無いからだ。
俗にいう『超能力者』である。
彼の超能力は世間を騒がせ、テレビでも引っ張りだこだった。
ホントかインチキかで論争も起こり、毎日一回は彼のニュースが流れた。
学者たちもそれを珍しがって研究しようとしたが人体実験はまずいと言われ、止められたらしい。
しかしこれは序章に過ぎなかった。
翌年から超能力者が増え始め、今では新生児の一割が超能力者だ。
そしてその超能力の中にはもちろん危険なものもある。
それが軍事利用されるのを防ぐために国連はある組織を結成した。
それがこの物語の舞台、『超能力学園』だ。
小学校から大学まであり、外部とは完全に遮断されている。
とても広い空中要塞で、学園というよりは国に近い。
そして今日は新学期。この物語が動き始める。
~高等部正門~
「ついに俺も高校生か!」
彼の名は『八纏真矢』。
熱エネルギーの絶対量を変化させる超能力『灼熱』を持っている。
「ったく…なんであんたはテンション高いの?」
彼女の名は『眺斗利奈』。
『転移』。名からわかる通り空間転移をすることができる。
もちろんこれらの能力を自由に使っていいわけではなく、ある程度制限がかけられている。
シンヤはエネルギーを500℃以上変化させてはいけない。
リナは半径10m以内のみに限って許可されている。
制限を破っていいのは人命にかかわる緊急の場合のみだという。
ここからは彼の目線で話を進めよう。
「おい!お前一年か?」
「はい。そうですけど?」
見るからに不良の先輩に話しかけられた。
周りには取り巻きも5,6人いる。
「『はい。そうですけど?』じゃねぇよ!てめぇ俺が誰だか分かってんのか?」
「すいません。この学校に来たのは初めてで…」
「知らなかったじゃ済まされねぇんだよ!通行料10000円!さっさと払え!」
通行料とかお前何様だよ!
前テレビでこういう時の対処法が出てたっけな…
「すいません。今財布持ってないんですよ。」
「じゃあお前のカバンからはみ出してるそれは何だ?」
ふとカバンを見る。
ゲッ!急いで入れたからうまく収まってない!
「毎月初めに5万円支給されるからなぁ…持ってるはずだよなぁ?」
先輩が拳をバキバキ鳴らしてくる。
痛くないのかな?
「てめぇ聞いてんのか?十秒以内に出さなかったら俺の『切断』で切り裂くぞ!」
『切断』、知らないが恐らくすごく痛そうだ。
制限破ってそうだけどそれを言ったら殺されるな。
出そう。さっきからリナも出せ出せ言ってるし。
そう思った時だった。
「そこの三年生達。何やってるの?」
声がした方を向くと黒髪ロングでスタイル抜群の美少女が立っていた。
何というかお姉さんって感じの。
「ゲッ!生徒会長だ!」
「後輩に対するカツアゲは校則違反です。しかも能力を使ってとなるとかなり罰は厳しいですよ?」
この学園では生徒会の権力が異常だ。
生徒会が生徒を支配していると言っても過言ではない。
「ちょっとぐらい自由にしてもいいだろ!高校生なんだから!」
「私が生徒会長である限りあなた達に自由はありません。大人しく出頭しなさい。そうすれば少しは罪を軽くしてあげます。もしくは、さっき「俺の『切断』で切り裂くぞ」とか言ってましたね?そこまで自分の能力に自信があるのなら私を倒してみなさい。」
「チッ!分かったよ!行くぞ!」
生徒会長さんあなたの方が能力を過信しすぎているのではないですか?聞いてますか?
なんて言ったらぶっ殺されそうだから言わないでおく。
小中でも生徒会による束縛はかなり厳しかったがまさか「自由は無い」って言いきるとは…
「あなた達大丈夫だった?」
「はい。大丈夫です。リナは?」
「私も大丈夫よ。シンヤこそ本当に大丈夫なの?」
俺の名前を呼んだ瞬間生徒会長がピクリと反応する。
「あなたがヤマト・シンヤさんですね?突然ですがこれは我々の決定です。あなたを生徒会へ入会させます。」
「は⁉ふざけ…」
俺がそう言いかけたら生徒会長は微笑み、
「あと私には反抗する生徒を一方的に殺す権力と力があることを忘れずに。では行きましょう。」
と言った
天使の様な笑顔で恐ろしいことを口走ったな…
~高等部 生徒会室~
生徒会室に着いた後は委員の自己紹介から始まった。
とはいっても地味だったので俺の感想を添えて面白く話そう。
まず生徒会室のドアの付近に立っていた高身長でスタイルの良いお兄さん。
彼の名は『右崎烈』。2年DE組で能力は『召喚』だそうだ。
カリスマ感あふれていたが中等部時代はパシリだったらしい。しかもオネェの。どんな経歴だよ。
次は窓際にいた少女だ。
青い髪に焦点が絞られていない目。これでも正常らしい。
彼女の名は『月夜己筑紫』。一人称が『つくつく』。セミかな?
今年入ってきたらしいが中東部でも結構生徒会長とは仲が良かったらしい。
能力の方だが『加圧』で、硬さを変更できる。
そして最後に生徒会長。
三年AA組で、能力は『破壊』。触れた物を粉砕し、分解し、消滅させるらしい。手の通過した部分はまるで紙をパンチャーでくり抜いたように手の形の穴が開く
そして本人曰く「生徒に人権はない!覇道こそ真の支配者の道!正義は強き者にあり!」がモットーらしい。ああ恐ろしい。
「まあそれで生徒会の仕事なんだけど、つくつく。説明しなさい。」
「仕方ないな~分かったよ~あ、そこの辛マヨは好きに飲んでいいからね~それでね~仕事のことなんだけどね~あ~そういえばさ~(以下中略)でね~何の話してたんだっけ~?」
「ブッコロしますよ?」
「ごめんなさい許してください何でもしまむら。」
「まぁ何やればいいか分かったし大丈夫ですよ。」
「じゃあそれでいいわ。ったく…生徒会も色物だらけになったわね…」
どうやらつくつくちゃんは不思議ちゃんらしい。話だけで3時間潰せるのは凄すぎる。
もう入学式終わっちゃったよ…
で、仕事の内容というのは…
「オラァッ!生徒会長はいるか⁉」
「ったく…何であなた達は目的が一致しただけで仲間と認識するのでしょうか…」
「誰かのために戦うのがいいんだ!正義は優しき者にあり!」
今入ってきた人達を鎮圧することだ。
「待ってましたよ。三対一なら確かに勝利するのは困難ですがあなた達側も一人は失うことになりますよ?私と戦うのであれば『不可視』か『 』ぐらいは連れてきたらどうですか?出ないと私、手加減できませんので。それに…新入生もいるんですからあまり残酷なことは控えましょう。」
話を聞く限りあの三人組はすごい人らしい。
「チッ!手回しが早いな!次来たときがお前の命日だ!」
「そうやってすぐ怒るから新しいメンバーができないんですよ。」
「この絶対悪め!必ずその首を打ち取ってやる!」
最後まで物騒な集団だったな…
しかも生徒会長が戦うのを嫌がったって普通のチンピラじゃないよな…
「あの頭の悪そうな三人組が高等部の反逆組織のリーダーね。覚えておいて。」
「反逆組織⁉」
「そう。最初に怒鳴ったのが自由のための組織『アウトロー』のリーダー。そしてあの落ち着いた感じのが次の支配者の座を狙ってる『ノワールホール』のリーダー。そして最後の「正義は優しき者にあり」とか戯言を言ってたのが誇りのための組織『ヒーローズ』のリーダー。生徒会に歯向かう愚かな集団はこのぐらい。で、個人で活動してる奴らはさっき言った『不可視』と『 』だけね。」
「名前で呼ばないんですか?」
「名簿にそう書かれてるのよ。まあそれは置いといて今日は構内の見回りをしてもらうわ。違反者を見つけたら私がやったみたいに。つくつくも一緒に行きなさい。」
「分かった~やましん行こ~」
「それが俺のあだ名かよ⁉」