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お題小説

竜のパンケーキ

( `・∀・´)ノヨロシク

 昔々あるところに周りを海に囲まれた島国がありました。


 心優しい王様が治める島国です。


 ある時、平和な島国に一匹の若い竜がやって来ました。


 竜は王の元へ飛んでくるやいなやこう言いました。

「30日後にワタクシの元に大きなお菓子を持ってきなさい。」


「ワタクシが満足するような、世界一大きなお菓子でないとだめよ!」

 どうやら竜は女の子で、甘党のようです。

 

 竜は続けて言いました。

「もし、持ってこなかったのなら、ワタクシの炎の息吹でこの国を火の海にして差し上げますわ。

オーッホッホッホッーー」

 竜は島で一番大きな山の麓へと飛び去っていきました。


 竜を恐れた王様は島国中のパティシエを呼び出しました。

「パティシエ達よ、この世で一番大きなお菓子を作るのじゃ!」

 

 呼び出されたパティシエ達は困りました。

 この世界には沢山の種類のお菓子があるからです。

「そうだ!皆が一番好きなお菓子にすればいい!」

 

 そいつはいい考えだ、とパティシエ達は島の人たちに好きなお菓子を聞いて回りました。

 

 何人もの島人たちに聞いて回った結果、皆が一番好きなお菓子は『パンケーキ』だということがわかりました。 

 作るものが決まったことで、パティシエ達は一安心です。

 

 パンケーキを作ると決まったのは、竜との約束の日まであと七日に迫った頃でした。

 

 良かった良かったとパンケーキの材料を集めていた時、一人のパティシエは気が付きました。


「世界一大きなパンケーキを作るには、世界一大きなフライパンが必要だ。」

 そしてそして、世界一大きなフライパンを使うための世界一大きな釜戸が必要だってことに気が付きました。

 

 パティシエ達は王様にお願いしました。

「世界一大きなフライパンと釜戸を作ってください。」


 王様はちょっと待っててと言ってパティシエ達を帰らせると、今度は島中の鍛冶屋さん達を集めてこう言いました。

「世界一大きなフライパンと釜戸を作るのじゃ!」


 鍛冶屋たちは困りました。

 世界一大きなフライパンを作れても、世界一大きな釜戸を作るのには時間が足りないのです。


 その時、これまた一人の鍛冶屋がいいことを思いつきました。

 他の鍛冶屋たちにこしょこしょと耳打ちすると、皆で世界一大きなフライパンだけ、作りました。

 



 さて、世界一大きな釜戸が無いまま、竜が指定した日が来てしまいました。

 

 王様とパティシエ達と鍛冶屋たちは、材料と世界一大きなフライパンを持って竜の待つ山の麓へ行きました。

 待っていた竜は王様を見かけると、空腹のせいか矢継ぎ早にまくしたてました。

「ワタクシのお菓子はどこですの?」

「まさか忘れたと言うわけじゃないでしょうね!?」


 パティシエは竜に向かって言いました。

「今から作るんだ。竜よ、山頂まで来てくれないか?」


 竜は仕方がなかろうと渋々ついて行きました。


 山頂についた鍛冶屋たちは声を張り上げました。

「さあ、我らの世界一大きなフライパンを釜戸におこうではないか!」

 竜の待っていた山の山頂は窪地になっており、そこにはグラグラと紅くなったマグマがあるのです。


 そう、その山は『火山』でした。


 すかさずパティシエ達は油をしいてフライパンが温まったのを確認すると、小麦粉に卵やベーキングパウダー、砂糖、牛乳、水などを混ぜたパンケーキの元を流し込みました。

 すると、しばらくして辺りにはパンケーキの甘い匂いが立ち込めるようになりました。


「よし、焼きあがりましたよ。」

 火口からからフライパンごとパンケーキを竜に渡しました。

「どうぞ、世界一大きなパンケーキでございます。」

じゅるり

「いただきますわ。」

 竜は王様一行が持ってきたハチミツや生クリーム、チョコレートソースをかけて食べ始めました。


モグモグ


ムシャムシャ


パクパク


ゴックン


「はぁー美味しかったですわ!」


 美味しいパンケーキを食べてお腹いっぱいになった竜は言いました。

「美味しいパンケーキのお礼に、ワタクシがこの国を守って差し上げますわ!」


 竜がやってきたその国は、世界一大きなパンケーキが作れる国で、世界一竜と仲のいい国になりました。


 竜は今でもパンケーキを食べながら島の人たちと幸せに暮らしているそうです。



 めでたしめでたし

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― 新着の感想 ―
[一言] ほんわか~してました。 私も竜のパンケーキ、食べたいです!
2017/09/12 19:57 退会済み
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