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18,冒険者ギルドに来たよ! トラブルも来たよ!

 冒険者ギルド――それは人類や種族に関係なくお互いが差別せず、平等に手を取り合い協力し合う事を思想を信条に掲げるコミュニティ同士が交流や繋がりを経て、一つの巨大組織に変貌を遂げた宇宙人類連合が運営する企業体である。 このギルド、元々は宇宙人類連合がコミュニティ時代の交易や助け合いの精神で行われていた行為をトラブルを未然に防ぐ目的で設置された運営団体であったのが、それが今や宇宙規模にまで発展した一大産業で宇宙を代表する巨大複合企業までに成ったのであった。


 と、前置きを締めくくり。 やってきました冒険者ギルド! 


 此処は辺境で一番大きな冒険者ギルドらしく、色々な種族がギルドの中を往来している。


 ところで、さっきからソワソワして落ち着かないユリナさん。 以前から心なしそうであったが、此処に来るまでアストラーシュの中では俺に対してその円な大きな一眼の瞳で以前より熱っぽい視線を向けられていたような気がするがきっと気の所為だ。 俺は今でこそちょっと――ほんのちょっぴりフツメンからイケメンにクラスチェンジしたけど、その程度のイケメン度で調子に乗るなんて出来ない。 俺には齢四十過ぎだが何故か二十歳前半の若さを保つ化け物クラスの超絶イケメンの弟が居るのだ。 決して――そう決してユリナさんが俺に惚れたと言う事態なんて起こり得ないのだ。


 なので多分、恐らく、ユリナさんが姉であるイオナさんに久しぶりに会える喜びを隠しきれていないだけなんだ! きっとそうなんだ!


「旦さん、何をそないにキョドってるん?」


 ノアはニヤニヤしながら俺を見ている。


「……何でもない。 ただ、ユリナさんがお姉さんと久しぶりに会えるんで嬉しそうだなと思ってな」


「はあ!? それもあるやろけど、ええ加減気付いてるんとちゃうん?」


「何の事だか俺にはサ~パリだぜ、ハニー! HAHAHA!!」


「……まあ、今はええわ。 それよりイオナさんとはロビーで待ち合わせの筈やけど、何処に居るんやろか?」


 暫く冒険者ギルドのロビーでそれらしい女性を探すが見当たらん。 先に冒険者登録を済まそうかと二人に提案した時、見るからに怪し奴が俺達に近寄って来た。 そいつは丸い二つ眼のゴーグルが付いたガスマスクをかぶり全身厚着で着膨れした体格から男か女か判別しようがない奴だった。 まあ、似たような奴はギルドのロビーにそれなりに居るのだが。



 そいつに警戒しながら様子を伺っているとそいつが俺達に話し掛けて来た。 いや、正確にはユリナさんに、だ。


『ユリナ……貴女が無事で本当に良かった……』


 そう言ってそいつはユリナさんに抱きついた。 え? 何? もしかして、この人がイオナさんなの? イオナさん?がユリナさんから離れ俺達に向き直る。


『貴方々がユリナを助けて下さったアスカ殿とノア殿ですね? 母から連絡を貰っています。 このような無作法な姿で恐縮だが、私の大事な妹であるユリナを助けて頂いて感謝します』


 イオナさん?は俺とノアに頭を下げた。


「あ、いや、偶然そうなっただけで。 大した事ではないです。 それよりどうしてその格好を?」


『ム、そうでした。 出来れば場所を変えたいのですが……』


 辺りを仕切りにチラチラ見て警戒しているイオナさん。 何かあるのだろうか? 


「せやったら、ウチらの船に行こか」


『貴方々の船というと……了解しました。 それでお願いします』



 俺達は冒険者ギルドに係留されているアストラーシュに戻ってきた。 此処、冒険者ギルドはそうは言っても実質、巨大な宇宙ステーションで、冒険者ギルドに関わるギルド員や冒険者以外にも大勢の種族が此処で人工重力の下暮らしている。


 イオナさんをアストラーシュの中に案内するとイオナさんはその顔を覆っていたガスマスクのような被り物を脱いだ。 すると、サキュロス特有の紫系の髪と瞳、白磁のような色肌の顔が顕になった。

豊かで美しい灰紫色が切れ長の眼に少し掛かる位に長い前髪と腰まである後髪、紫水晶のような透明感がある瞳、、ノアにも引けを取らない妖艶な美貌と豊満で美しい曲線を描く肢体。 


「う、美しい……」


 俺は思わず頬染めて見とれて。 つい、そんな言葉を呟いてしまった。 


「えっ!? あ、ありがとう…ござい…ます……」


 漏れた俺のその言葉に照れるイオナさん。 純情な人だ。


「旦さんの初めて合った時の反応がウチとイオナさんとで全然違う!?」


「姉さん……羨ましいです……」


 外野が何か言っているようだが今の俺には聞こえない。 そんな俺にノアが半目でになって言う。


「まあ、しゃあないか。 イオナさんて旦さんの好みドストライクやし……」


「そっ、そんな!? それじゃあ、モノアイの私じゃあ、姉さんに勝てない! ううぅっ!」


 一眼の大きな円な瞳に涙を一杯溜めるユリナさん。


「あ、い、いや!? そういうんじゃないよ、ユリナさん!」


 俺はしどろもどろに成りながら言い訳する。


 何故だ!? 冒険者ギルドに来ただけで何故か修羅場っている俺!! 冒険者ギルドは俺を窮地に陥れている場所なのか!! 恐るべし、冒険者ギルド!!!! 


 テンパっているそんな状態の俺に天の助けか、突如アストラーシュ内に警報が鳴り響く。


「どうしたノア!?」


「係留橋がロックされた!? 警備員が此方に来よる! ん!? オペレータールームからコールや、メインモニターに映すで!」


 冒険者ギルドの制服を着た機械人類――サノスの女性オペレータの無表情な顔がブリッジの前面に浮かぶモニター一杯に映し出された。


”そちらに犯罪疑惑があるサキュロス二名が居る事を確認しました。 至急、当方に引き渡してください”


「しまった! まさかこんなに早く動くとは! しかも、ユリナまで拘束するつもりか!」


「どういう事だ、ユリナさん?」


「……先ごろ、宇宙統一教が所属する艦隊がサキュロスによって一方的に攻撃を受け、全滅したと言う知らせが冒険者ギルドに届いたのです。 それ以降、私に対する冒険者ギルドの対応が可怪しくて少し調べてみたら裏で教団と繋がっている冒険者幹部や上層部がサキュロスに対し秘密裏に協定が結ばれた。 内容はサキュロスを犯罪者とし、捕縛と引き渡し。 それが敵わないなら冒険者にサキュロス殺害も許可すると言うもの。 しかも船団に対しては莫大な賞金を掛けて殲滅依頼が出されるという。 既に幾つかのクランがその情報を得て、他のクランと同盟を結ぶという行動を水面下で起こしています」


「なんだそりゃ! 一方的じゃないか! 他のギルドのお偉いさんは何してんだよ!」


「上層部は教団の息が掛かった者達に殆ど乗っ取られ、それ以外の少数のギルド幹部達は教団を恐れ静観を決め込んでいます」


 おいおい……。 宇宙人類連合の掲げる思想や信条は消え去り、支配するのは権力や資本主義か……。 笑えないな。


『繰り返します。 犯罪疑惑のあるサキュロスを即刻引き渡して下さい。 さもなくは、冒険者ギルドの権限に於いて強行手段を取らせて頂きます』


「どうする、旦さん? 相手の装備からしてアストラーシュの装甲やったら傷一つ付けるんは無理やけど、ウチらも籠城で身動きできひんよ」


「……艦全体に防御シールドを張ってその中から宇宙空間にアストラーシュを転移させるのは可能か?」


 これは転移する時、ステーション内の被害を抑え、関係ない人達を巻き込まないようにする為の処置だ。


「う~ん、戦闘用ドローンにシールドを張らせてその中から転移するんやったら、百km圏内の短距離なら可能やで。 でもな~、かな~り無茶な転移やから十分間のインターバルが必要や。 その間、アスとラーシュは何もできひんようになるけど」


 十分間か。 転移した場所によっては冒険者が居てそいつらが追手に変貌する可能性がある。 かといって籠城は、助けが来ること前提の策だし、時間が経つ事に状況が悪化するのは避けたい。 仕方がない。 此処は多少無茶してでも転移して宇宙に出るか。


「ノア、それで行こう。 アストラーシュが動けない間は俺が出てアスとラーシュを守る」


 こうなってくると俺のボット形態の強化が早急に必要だな。 戻ったら直ぐに強化に掛かろう。


「了解や! そんじゃ行くで!」


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