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15,拠点で開発②

 俺がギフトによりボットに変身した時のボディは全長十m。 修理が完了した今の見た目は某アニメ変形ロボの外国製実写版にそっくりだ。 駆動部のギアが剥き出しなので大きいゴミでも入ればギアに挟まって不具合を起こしそう。 流石に自分の体で試す気は無いけどね。  HES連盟のボットの外観デザインはガソリン動力でハンドル操縦のウォー○ーマシンだったが、サキュロスのボットは日本人がデザインした感じのパワーローダーだ。 これはコストとメンテナンス性を重視したものと、性能を追求したものとの違いだ。 正直、サキュロスのボットはデザインが凄くカッコ良いので乗ってみたくなる。 今度ユリナさんに頼んでみよう。


 動力と推進力はマナ。 だけど推進力をマナのまま使うのは消費が激しく燃費が悪いとユリナさんに指摘された。 もっと燃費の良い推進機を開発する必要がある。


 そして開発開始。 ノアとリンクして開発ツール――ファクトリーを起動。 開発するのは機動兵器のVやV2の様な三体の航空機が変形、分離合体する人型ボット。


 先ずはフレーム……の前に最重要部品の開発が必要だった。 それは、真ゲッ○ーロボの如く高速機動に於いて正確且つ円滑に合体・分離作業を行えるジョイントユニットの開発。 これが一番の問題だった。


 何故なら――


「あかんわ。 旦さんの開発制限まだ開放されへん」


 そう、俺のギフト《ボット》の熟練度が低くて開発出来ないのだ。 試しにユリナさんが設計してくれた高性能ジョイントを使って俺のボットの性能データと合わせてノアがシミュレーションして弾き出した結果、99,94%の確率で大失敗すると回答が出た。


「そ、そんな! 此処まできて殺生な……」


 非情な結果に膝が折れて蹲る俺。 しくしくしく……


「ま、まあ、しゃあないやん! それに熟練度上げれば解決する問題なんやし!」


「そ、そうですよ! ギフトの熟練度を上げれば作れるんですから頑張りましょう!」


「う、うん……。 ぐすっ……」


 思わず久しぶりにマジ泣きしてしまった俺を慰めてくれるノアとユリナさん。 二人の言う通り仕方なので現状のボットの熟練度でギリギリ開発できる最低限の機能――極低速域での合体、分離が可能なジョイントで妥協した。


 次にフレームと内部構造体。 人間で言えば骨格に相当するフレームは変形、分離・合体を想定した機構を開発。 筋肉、筋、神経に当たる内部構造体は変形や合体の時に部品同士が干渉しない様に位置を調節。 後、宇宙空間なら兎も角、大気圏内だと重量が重くならないように注意する。 内蔵兵装に関しては使用に慣れているスラッシャーのみを選択。


 推進機は初歩の重力制御装置を採用。 なんでも構造が単純で操作や制御も簡単で信頼性が高いらしい。


 装甲はサキュロスの一般仕様ボットに採用されているものを使用する。 軍仕様にしたかったがこれも開発制限で使用不可。 残念。 だだ、今の装甲より性能は良いのが救いだ。


 最後に変形、合体・分離プログラム……と思ったら俺と同化したクアルーンが自動で組んでくれるので必要がなかった。


 後はこれら開発データと既にノアのデータベースに登録されている俺が制作した外観のデザインデータと一緒にファクトリーに放り込んで機体を設計。 更にその出来上がった設計データを生産ツール――プラントを起動して俺のマナを材料に機体の製造を開始する。


 3Dプリンターで形作らていくフィギュアの如く作業空間に下から像が徐々に作られていく。 そして十五分後、俺が待ち望んでいた俺のボットのボディが完成した。



 サキュロス船団から離れた場所で俺達はアストラーシュと俺の新しいボットのボディの稼働試験を行う予定だったのだが――


『俺、変形してるうぅぅぅーーー! 俺、分離してるうぅぅぅーーー! 俺、合体してるうぅぅぅーーー!』


 ちょっと我慢できなくてボットに変身して先に目的の場所に行きテストを開始しちゃった。 だって長年の夢がかなったのだから。 しかし、一々制動掛けてゆっくり変形、分離・合体するのは隙きが大きすぎる。 しかも変形に至ってはボット形態とと航空機形態で速度や機動性に差異が無い。 早く熟練度上げなくては。 俺の新ボディの外観は機動兵器なメ○スとズ○を足した感じのぽっちゃり体型で上半身、腹と背部、下半身のそれぞれが独立して航空機に変形する三つのユニットで構成されている。 合体時はボットと航空機の二形態に変形が可能。 俺の意識と言うか本体は合体時は三つのユニットそれぞれにあるみたいで分離した時は三つのユニットのうちどれか一つに集約されるみたいだ。 一応腹と背部ユニットは俺的に機動兵器な主役機のコア的戦闘機と同じで本体は腹部と背部ユニットの方と決めてある。 なので、大破していない限りは此処を本体に定める。 因みにこの新ボディは今後開発する俺のボディの雛形になる予定です。


”旦さーん! 気持ちは分からんでもないけどちょっと落ち着きー!”


”アスカさん、よっぽど嬉しいかったんですねー”


 テンションアゲアゲの俺は何度も変形、分離・合体を繰り返している所に拡張ユニットを接続したアストラーシュが追い付いてきた。 アストラーシュにはノアの他にユリナさんがアストラーシュの各種パラメータの微調整やデータ取りやらで乗り込んで居た。


 アストラーシュの拡張ユニットは軽巡洋艦クラスの船体ユニットを中心に両舷に小型駆逐艦クラスのユニットが接続されていて戦闘や緊急時には分離し独立航行が可能で他にサブブースター兼バトルユニットとしての機能を持つ。 で、肝心のアストラーシュは船体ユニットの上部後方に接続。 主に艦橋と探査レーダー、生産設備としての役割を果たす。 船体には他にボットが六機と偵察や戦闘、作業用など性能がスペシャル仕様の各種ドローンが十二機搭載され、格納庫や倉庫には十分な空間を確保している。


”先ずはデータ収集せな……へっ!? ちょちょっ!?”


”どうしました、ノアさん?”


 ノアが俺のボディデータを取ろうとして何かに気付いたみたいで動揺している。 なにか問題が発生したのだろうか?


『どうしたノア? 俺のボディにトラブルか?』


”……旦さんのギフト《ボット》の熟練度がもの凄い速さでもりもり上昇してる。 あっ、また上がった!? 旦さん、一体何したん?”


『え? ただ単に変形、分離・合体をずっと繰り返してるだけだけど?』


”あ、ホンマや。 変形や分離、合体のたんびに熟練度が上昇しよる……。 今まで、こんな異常な上がり方せえへんかったのに……。 なんでやろ?”


”もしかしてアスカさんのボットのボディの動きが想定外の負荷を与えているのでは? ギフトの熟練度を上げる時、負荷を掛け続けると熟練度が上昇し易いと、そうした事例はいくつも報告されていますし”


”せやかて、熟練度の上昇が普段の時の十倍近い上がり方やで。 こんなん普通やったら体壊して死んでるよ”


”な!? 十倍っ!? そ、それは確かに異常ですね……”


『げ、原因はわからないのか?』


 ちょっ!? 俺、死ぬの!? 死んじゃうの!?


”考えられるんは旦さんが持つもう一つのギフト《マナ生成》やけど、こっちの方には変化はないから考えられへん。 そうなると、他に考えられるんは旦さんのマナ器官やね。 プラネットイーターから膨大な量のマナ吸収した所為で容量が拡張しただけやのうてマナ器官が変質しとるかも知れへん。 ウチのデータベースにも載ってないから、ホームに帰ったらちょっと調べてみるわ”


『お、応。 頼む……』


”それはそれとして、これで旦さんのボットの開発制限がある程度まで解除されたけど、どうする? また一から作り直す?”


『いや、データを取りながら様子を見よう』


 短期間で高性能なボディに変更したら何か異常が出るかもしれない。 それこそ今度は命の危険があるかもしれないし。 今はこのボディをゆっくり慣らしながら様子を見た方が良い。


”せやな、旦さん”


 それから俺のボットのボディのデータを一通り取り終えてからアストラーシュとその拡張ユニットの試験に移行した。


 各種ユニットを切り離したり合体したり、バトルユニットの各種兵装の威力や性能、使用状況を確認したりとユリナさんは大忙しだ。 肝心の俺は今、その邪魔にならないようアストラーシュの上で体育座りしてそれを見学している。


”ふむ、予想以上の性能やわ。 使い勝手もかなり良いし。 これは他の拡張ユニットも楽しみやわ”


『……』


 あれ? 可笑しいな? 地球の衛生の月位ある大きさの岩塊がバトルユニットの砲撃一発で粉々になったよ? しかもあれ、一番口径が小さい奴だよね? しかも対空機関砲なんてデブリになったそれらを当たった端から塵に還してない? 俺の目、ボットになってから悪くなったのかな?


”安心しい、旦さん。 ちゃんとリミッター掛けてセーブするから。 でないと威力がデカ過ぎて流石に使えんわ”


『……其処はしっかり管理してね? お願いだよ?』


 これで俺とアストラーシュの整備と試験が完了した。 準備が出来次第、冒険者ギルドに向かおう。


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