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黄色い閃光は  作者: 東條 麗羅
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一族

今日も宙へと伸びる閃光が増えた。

今日は…20か…。あっ、赤ちゃんにもなれなかったんだな…。あっ、子供なのに…。あれは…、人生を全うした色だ。


僕には、人の命が消えた時の色が見える。

2117年、大地震からちょうど100年が経った。こととしに起こった、日本中を巻き込んだ大地震があった。その時に、光の塔は1度リセットされた。僕に見えている、宇宙にまっすぐ続く閃光は何年もの月日の間、人の最後を見てきた。この光は普通の人には全て白っぽい黄色にしか見えないらしい。だが、僕の一族には、この光が死んだ時によって違う色に見える特殊な目を持っている。例えば、中絶でお腹の中で成熟せずに死んでいった胎児の色は赤。自殺は藍色。そして、1番綺麗なのが生涯を全うし、寿命に従って亡くなった人の色は金色に近い色を発していた。

このように見えるのは、特別で誰がどこで死んだのかが分かってしまうため、長い間恐れられ続けていた。象徴とも言える、片目がコバルトブルー色の目のオッドアイ。この目が僕は大嫌いだった。イジメの対象になり、ときには、先生にまで軽蔑された。そんな僕の一族の子供は死ぬことが許されなかった。自殺などしようものなら、行動を全てにおいて監視されるだろう。

そんな事がないように、僕のお爺様の一族総帥は、高校までエスカレーター式の学校を設立した。

幼稚園では、一族の歴史を学ぶための絵本の読み聞かせ、一族の家訓の意味を教わったり、一般教養も身につけた。

小学校に入れば、低学年から男子は空手、女子は薙刀の手習いが始まる。また、物事に区別がつくようになると、オッドアイの目が世間でどう見られていたか、また、もっと詳しく一族の歴史を教わる。幼稚園から小学校レベルの勉強をするため、小5になれば中1の問題でも問題ない。

中学校では、自分たちの能力について興味を持ち、調べるための授業も行われる。また、女子は女性らしさを身につけるための授業が組まれる。

高校になれば、一族の繁栄のための見合い話なども出てくる。しかし、ほぼ純血で通っている一族のため、たいていは従姉妹や親戚の子供同士での結婚となる。

僕にも、高校1年のときに許嫁となる従姉妹、初妃(はづき)との婚約が決まった。僕自身は、このまま卒業して、お爺様の会社で働く、この学校の生徒の半数以上がその道だろう。一握りの生徒は大学に進学したり、一般企業に務める。何処に出しても恥ずかしくない一族として育てられた僕らは、どこへいってもまともに働いていた。

しかし、今年の春に1人自殺を図ったという…。

それが、僕の兄だった。

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