32話『一回コドクになってみて』―1
久々の投稿になりまする<(_ _)>
かなり悩んだのですが、やはりこの路線で進めていきます。
ご感想やポイントなど、歓迎します。
◇――数週間前――
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『幸せって、他人がいるから感じるんだよね!? 他人からモラうんだね、幸せって。でも思うの。他人からウバうのは、チガうんじゃない。それをわかってホしいの。一回コドクになってみて。人のいないセカイで、ね』
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「恵津子さん、変わっちまったなぁ」
「しょうがないわよ。あんなことありゃ~」
「何とか立ち直って欲しいけど」
「ほんと心配。あのまま居なくなっちゃんじゃないかって。……なんか、助けてあげることあればねぇ」
職場の昼食時間。
並べられた長細テーブルのある部屋の端っこで、独り寂しく食べている女性を見ながら、3人の男女が哀れんでいた。
――『昨日午後十時頃、○○町のパチンコ店駐車場で、倒れている女性が発見されました。病院に運ばれましたが、間もなく死亡が確認されました。死因は、背中と胸に刺し傷があり、出血多量によるショック死ということです。警察などによりますと、被害の女性は生活保護の受給者であることが判っており、一連の事件との繋がりを視野に、目撃者がいないか付近の聞き込みを続けております。……』――
テレビに、注目。
「やぁね~またぁ~。これで何人目よ?」
「6人。でも最初の犯人は死んでる。この犯人は3人目だな」
「なんやろうねぇ!? 生活保護の人たちばかり狙ってぇ」
「前の犯人と仲間なのかなぁ?」
「いや、違うって話だ」
「そぉ〜、違うんだぁ」
「だいたい恨みでもあんのかねぇ」
「さぁな。……でも可笑しくねぇか? 生活保護受けてるって、役人か知り合いじゃないと分かんねぇだろう、普通」
「情報漏れてるって噂よ。ほら、何て言ったっけ? サッカーとかハッカ飴とかいうやつでしょ」
ただ行政は、情報漏洩を否定していた。容疑者が『関係者ではないか』と、疑われ始めてもいたが、その線は警察も捜査していた。
テレビ番組に出てくるコメンテーターや専門家と言われる者たちの意見は、分かれていた。先月の『生活保護者連続殺傷事件』の犯人は、快楽的かつ精神異常的というのが、主流だった。しかし、本事件の犯行目的は、生活保護者に対する恨み説、嫉妬説、邪魔者説、快楽説など様々だった。
犯行については、冷静で冷血、かつ残忍な者の仕業、という見解は一致していた。
被害者3人とも、同様の手口。背中と胸の2箇所に一刺しずつ。それも別々の鋭利なモノ。警察の発表では、容疑者は複数人の可能性を視野に捜査している、という。
一番遠い所で座る30歳半ばの女は、聞こえてないのか黙々と箸を動かしていた。
***
「ギャハハハ」
爆笑しているのは、酔っぱらいの女。
「大丈夫か? 子ども待ってるんだろ。そろそろ帰れよ」
肩を貸している男は、嫌そうな顔を見せていた。
「大丈夫よ。もう寝てる頃だから。さぁ、もう一軒行くよ」
一人で歩けそうにないが、声だけはデカい。フラフラに合わせて男もヨタヨタな感じた。
「いや、俺明日あるからこの辺で」
「アホぅ! 明日は皆あるんだよ」
足の踏ん張りがきかないのか、片足から崩れた。男の支えもむなしく、地べたに座り込んだ。肩から腕も外れ解放された男。
「帰れる? じゃ、俺帰るね」
すでに二、三歩下がりながら、そのまま立ち去った。
小言を言いながら、暫く俯いていた。通りすがりの者も、避けて離れていく。
助け舟もない泥酔女は、何度か倒れそうになりながら、歩き始めた。
数十メートル移動したところで、立ち止まり、口に手を当てた。近くの建物へと急ぎ、躊躇なく吐き掛けた。汚物から少し離れて腰を落とし、俯いたまま時を待つ。
夜12時を過ぎていた。皎々たる店もなく、見てくれる通行人も車もいない。飛び飛びの外灯のみが、帰宅路を照らしていた。
トボトボと、フラフラと歩く女は、車道から路地へと入った。大型バイクなら余裕で走れる程度のそこを、進んだ。建物の壁に手を何度もつけながら。灯りは窓から洩れる家庭用の、電灯のみ。
さほど灯りもない狭い路地など気にせず、慣れた道を歩く女。右折し、次は左折。先に白さ目立つ空間が、あった。灯りを目指すその足は、フラフラ感が残るも前へ前へ。
立ち止まった。後ろを振り向いた。何もないことを確認した。すぐに進行方向へ足を動かす。
しかし、再び停止。姿勢を正したが、表情は苦い。途端、会釈姿勢に、息苦しい顔つき。眼球は右に寄せていた。が、上を指したと同時に、細動しながら前屈みに倒れた。
その泥酔女を足下に見下ろす、黒帽子に黒ずくめの者。両手に持つ細長いモノに付いた血を振り払い、片手に持ち直し。歩きながら、ケース状の物に差し込み、リュックへ。
女が歩いてきた反対方向への路地へと、消えた。
***
――『ニュースです。本日未明、○○町の住宅街で血を流し死亡している30歳代女性が発見されました。
警察などによりますと、女性は背中と胸に2箇所の刺し傷があり、出血性ショック死とみられております。帰宅途中に何者かに襲われたとして、付近の聞き込みを重点に捜査を進めているとのことです。
同様の手口で殺害されたのは、これで4人目となります。
大阪府警と奈良県警は、『生活保護者連続殺害事件』として合同捜査本部を設置。さらなる被害者を出さないために、捜査員を増員、容疑者特定へ向け全力で取り組むもようです。各署と密な連携を図り、24時間体制でパトロールを……』――
しかし、捜索は難航。4日後、さらに被害者が増えた。




