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第2話

「スライムがいる」


足を止めて、様子を見る。

青色のスライムは、日光を避けるように木の下にいた。


「どうしよう。武器なんてないよ」

「避けていきましょ。無駄に争って傷つきたくないわ」


そっと木の下を避けて歩く。

スライムは昼寝でもしているのか、動く気配はなかった。


「案外何とかなるものだね」


前の僕がモンスターに殺されたから、過敏になっていたのかもしれない。


「向こうだって死にたくないのは一緒よ」


魔物は死んでもかわりは現れるのだろうか。

もし現れないとしたら、親を亡くした子供たちはどうなってしまうのだろう。

自分たちは病気や老衰でしか消えないから、保護者を失うことは基本的にないけれど。


「あ」

「ん? またスライム?」


彼女は立ち止まり、ゆっくりと指をさす。


「オークだわ」


豚の様な、二足歩行の生き物がそこにいた。

皮膚は泥で汚れていて、黒い瞳の奥にはどろりと残虐性が満ちている。

そしてそいつと、目が合う。


「ストラッ! 逃げようッ!!」


知っている。記憶としてでなく、知識として、その猟奇性を。


腕と足を一本ずつもがれた。そして目の前でその己の体だったものを喰われた。

仲間がいつの間にかやってきて、体中に調味料を塗られた。

傷に滲みて滲みて痛くて、その叫び声を楽しそうに聞かれた。

火の上で焼かれた。転がされ続けて上も下もわからなくて吐いた。


彼女に手を引かれて走る。

膝が笑う。笑う。笑うな。

走れ、僕は、オークに何もされていない。

その光景を知っているだけ。痛くなんてない。何ともない。


「エクッ! しっかり――」


だめだ。

意識が途切れ途切れになって、


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