再会2
「どうして・・。」私はつぶやいた。
「凪?やっぱり知り合い?」
アンさんが首をかしげて私をみる。
「はい。知り合いです。10区に居たときの。」
私は急いで体を起こし、顔をとりつくろった。
「とりあえず、こちらも閉めると思いますし、家に連れてきたいと思うのですが、起こしてみます」
「いや、寝ているというより気を失っている感じだから。難しいと思う。飛行機だろ?俺がそこまでのせてやろう」
「カインさん。すみません。ありがとうございます」
「いや。アン、もう帰れるのか。こいつの荷物はどこだ」
「荷物は下のリュックだけよ。うん。大丈夫。戸締りもしてあるし、鞄だけ」
アンさんはクローゼットから、鞄をとりだし、肩にかけると
「いきましょうか」
と私を振り返る。カインさんが海を背負った。それでも海が目を覚ます様子はなかった。
20分歩き、発着所に着く。
「おう戻ったか?あっ?アンにカインひさしぶりだな。だれだそいつは?大丈夫なのか」
交代で顔見知りの人にかわっていて、あいさつをすると問いかけられた。
「私の知り合いです。すみません。家に連れていきたいのです」
「意識ないだろ。大丈夫か」
「5分なんでなんとか」
「まあ、すぐだしな。どれ、カインそいつをよこせ」
「ああ頼んだ」
カインさんから海が受け渡され、操縦席の後ろが開けられ、シートベルトで止められた。
「にゃーう」
「しろか。まて、こいつをのせてからな。向こうではだれかに連絡してあるのか」
「はい。ジャンさんに」
「じいさんか。なら大丈夫だな。しばりつけておいたから大丈夫だろう」
「ありがとうございます」
「じゃあ、凪。私たちも行くわね。何かあったら連絡してね」
「アンさん、カインさんありがとうございました」
私は乗り込むと二人に手をあげてあいさつを返し、夜の空へと再び飛び乗った。
発着所へはスムーズに到着した。そこにはジャンさんが待っていた。
「凪どうだった?ってやっぱり知り合いか」
私の後ろをみて、納得する声をだす。
「はい。すみません。わざわざ来ていただいて。知り合いでした。意識がなくて家まで連れて行きたいのですが、何かで運べますか?」
「馬できているからそれに乗せよう。わしらは歩くから問題ない。怪我しているのか」
「本当に申し訳ありません。起きていないからわからないのですが、体力的にも限界のようで」
「10区からきたんだろう。馬がダメになって途中から歩いたのかのう。どれそこをのけ」
「じいさん、俺がのせてやろう」
それまで、飛行機を戻していた若いお兄さんがこちらにきて、海をもちあげ、馬に乗せた。
「軽いな。大丈夫かこいつ」
座らせることはできず、積荷のようにつまれる。
「にゃーう、みゃーう」
下でしろがのせろといわんばかりにジャンプするのをみたお兄さんは
「ああ。しろものるか」
とひょいっとそのうえにしろをのせた。
「いや、けが人の上にのせるのは・・。」
さすがにそれはどうだろう。と思いしろをみるが、しろはバランスをとり、海の背中でのびをする。
「しろなんぞ軽い軽い。大丈夫だろ」
手をパタパタとふり、
「気を付けてな」
というとさっさと持ち場に戻って行った。
「ほれマリーが準備してまっておる。帰るぞ」
ジャンさんは手綱をひくと歩き始めた。私もそのあとを追うようにして、荷物を背負った。
暗闇を薄暗いカンテラのようなもので照らしながら歩く。
「前にいっていた、仲間か」
「はい。そのうちの一人です。でもなんで私を訪ねてきたのかわかりません」
そういいながら、私は黙りこくった。残りの二人はどうしたのだろうか。帰れる方法がみつかって帰ったのか。それとも、あの二人に何かあったのか。なぜ、海だけ。
私は10区を離れるときに特にどこへいくとは言っていなかった。そもそも、10区といっても広いし、この仕事をしてはじめて、区ということを知ったのでどことも言えず、ただ「仕事が見つかったから」そして、「もし帰る方法がみつかったら3人で帰ってよい」と伝えて、別れを告げていた。