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配達と喫茶店

 「方角よし。高度はこのまま保って。風は確かに向かい風かあ」

「しろ。このまま1時間かな。」

「にゃーん」

猫を乗せるなんて前の世界ではないが、こちらではまず一機に一匹相棒がいる。

起源はわからないが、祖先からそうだったといわれるとそうかとなるし、各村で生まれた猫たちはこの高度を全く怖がらないしまあかわいいので問題はないが。

配達の仕事を知ったのは偶然だ。

薬草をとりに山へ行ったときに休憩しているジャンさんにあったのだ。前にいた町は国が違うため、違う区の人が担当しているそうだが、年齢的にも以前ほど仕事をしていなかったジャンさんが頼まれてたまたま応援で来ていたのと、発着所は町の中心から離れたところにあり、今まできづいていなかったため初めてそういう仕事があることを知った。

こちらの世界独特の小型飛行機に興味深々であったため、思わず話しかけてしまい、航空知識で話が弾み、1か月ほどこちら側に回ってきていて景色が良いので配達終わりに休憩していると聞いて、話のお礼に次にコーヒーに似たもの(たんぽぽ珈琲に近いものを見つけたため)とサンドイッチを持って行ったところ、かなり気に入ったらしくよく話すようになった。

異世界から来たとはいわなかったが、悩んでいることや、資料を読みたいということをぼかして思わず話してしまったところ、色々な場所に行けるため、また配達の人たちには各国からパスポートのようなものがあり、配達したらそこから配達がなければ、休憩してそこの町や国を歩けること、もちろん図書館のようなところにも行けることなども聞きだし、なんとかその仕事に就けないかお願いをした。

「うーん。まあ知識や操縦とかは訓練すれば問題なさそうな感じだがのう。そうだな。あと1回交代でくるのでな。来月か再来月にくるときまでに確認してみるから、まてや」

「本当ですか。お願いします」

「おう。今度はこの間話してたビーエルテーとかいうサンドイッチをもってこいよ」

「BLTですね。OKです。今日のはいまいちでしたか?」

「いやうまかった。だが話を聞くにいろいろありそうだからいろいろ食べたい。このコーヒーとかいうのもいいな。あの甘いまふぃんとかいう菓子もなかなか。他にもありそうだな。うーん。うちのもんも気に入りそうだ。そうか。うちの村にくればいいのか」

ジャンさんはぶつぶついいながら「じゃあまたな」といって滑らかに発進させて帰って行った。


その間、私は通常の仕事をしながらも、お金を貯めるため仕事を突発で増やし、荷造りを始めていた。

ぎりぎりまで働くため疲れて夕食をまかないでもらい、帰って家事をした後すぐ寝る日々が続き、3人と

話すことはなくなっていた。


「許可とったぞ」

そんな日々のなか約束どうりジャンさんが仕事ついでに伝えてくれた。

「ほんとうですか。ありがとうございます!」

「まあ一応試験はあるがの。」

「はい」

「それとお前さん、パンとか調理とかできるんだよな」

「はい?」

「いやな、うちの村ちーと不便でな。パンとかも各家庭で作るんだが種類があまりなくてな。もらったやつスゲーうまかったから、そっちもちょっとやらないかと思っての。」

「そちらがメインになりますか」

「いや各自配達のほかに仕事をしていてな。自給自足に近いからな。配達だけでは受け入れられないのじゃ。お前さんだったら他にもいろいろできそうだからといって許可とったのじゃ」

「そうなんですね。私で役に立つことでしたらぜひ」

「うむ。あとは一応わしが試験を見て、まあ大丈夫だと思うが、それからだから、最短で2~3か月以内に

引っ越すことになるがそれでよいか」

「はい。試験はどういったことで」

「運転技術と突発的な対処方法だな。運転はとりあえず、教えてから実際に飛んでみる。二人乗りな。それから方角や風、地図のみかたといった基本的なことな。あとは上空での突発的な対処方法をみる」

「わかりました。」

「来月二人乗りでくるから、それからだな。」

「はい」

「うむ。ではまた来月な」

そして次の月、「まあいいだろう」と試験に合格し、わたしは現在の村、前にいた村の隣の隣の国の山にあるジャンさんのところに住まいと職を得た。取りあえず住める状態の家となんと整備すれば家に温泉が使える(これを聞いたときは小躍りしてしまい、不審がられた)状態をなんとか訓練の合間に直しながら家を整えた。そして半年後、ジャンさんが待ちに待ったパン屋兼喫茶店兼食事処の仮オープンにもこぎつけた。ジャンさんはこの日のために一人暮らしにしては、大きい家とやけに積極的に店舗改装を手伝ってくれた。仮なのはまだ材料の流通とか私の家の整備や配達の仕事との兼ね合いとかが先で週に1度しか開けないからだ。しかし、ジャンさんの期待が膨らんでおり、とりあえず週1で勘弁してもらいはじめた。ジャンさんの宣伝のおかげか、なかなか評判もよく、喫茶店はジャンさんご夫婦は常連、他の方たちも休みと開いている日があうと来てくれている。また、軽食も配達に持っていきたいという方もいて、お弁当も作ることになった。これがなかなか評判よく、予約制だが、結構な量をつくる。米がないのでサンドイッチBOXにおかず入りみたいな感じだがバゲットバージョンも腹持ちがよいと評判がよい。他の区からの配達の方からも評判を聞いたと帰りに寄ってくれることもあり、人を雇おうかなと考えはじめていた。


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