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羽月紫苑の短編集。

星降る夜に

作者: 羽月 紫苑

 今日は、ペルセウズ座流星群の日。天文部の僕は、もちろん観察する。

 もっとも、天文部なのは僕一人。流星群の観察をするのは、僕一人。


 「ちぇっ、なんでみんな星の素晴らしさを分からないかなぁ……」


 そんなことを言いながら、草の上に寝転ぶ。

 部員一人の天文部に部費なんて来なくて、望遠鏡は買っていない。でも、今日の流星群は望遠鏡無しでも見られるんだ。


 一人でも別に、寂しくない。

 寧ろ、星を静かに観察出来るから一人はありがたい。

 

 そう思いながら、時々星の流れる夜空を眺めていた。



 ふと、気付いた。


 隣に、白い影があることに。


 頭だけ動かして見ると、そこにはロングヘアの女の子。ゆったりとした白いワンピースが風に靡いている。

 彼女も、星を見ていた。


 何故だろう。星を見るのは、一人が良い。そう思っていたのはこの僕なのに。



 彼女となら、一緒に星を見たかった。

 


 でも、そんなことは言えなくて。



 「……」


 無言で彼女を見つめていると、彼女も僕に視線を移した。

 交わる瞳。頬が赤くなった気がする。


 「……星、好きなの?」


 なんとか、絞り出せたのはそれだけだった。うん、と彼女は頷き、にこっと笑う。


  

 星みたいに綺麗な笑顔だ。


 

 そう、思った。


 「僕も、好きなんだ」


 ああ、何言ってるんだよ、僕。

 僕も星を好き。それが、彼女にとって何になるんだ。


 そう思っても、何かで彼女と繋がっていたくて。 


 僕がおろおろとしているうちに、彼女は隣に寝転んでしまった。


 真剣に星を眺める、彼女の瞳。


 邪魔しない方が良いと思い、僕も横になる。


 ふと、彼女が言った。


 「星を見るのは好きよ。でも――――」


 手に、柔らかいものが絡んだ。

 繋がったところから、伝わってくる体温。


 「誰かと一緒に見るのは、もっと好き」







今日はペルセウス座流星群。ということで、何か書けないかなと思って書いた作品。



もう一つのタイトル候補は、「君となら、一緒に。」でした。


うーむ、どちらが良いか。

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