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文芸部の日常  作者: 太一
はじめまして、そして、よろしく。
5/8

要、日記をつけられる

遅筆なもので・・・・・・

また少し間をあけてしまいました。

申し訳ないです (;一_一)



さて、新入部員です。

今回は誰でしょうか?

では、どうぞ

 週が明けて月曜日、また憂鬱な一週間が始まる。どうしてこうも月曜日というのはテンションが下がるのだろうか。この感覚だけは全世界共通のものだろう。

週末に出された宿題はその日のうちに終わらせておいた。よって、この土日は有意義に、いや正確には無意味に怠惰な休みを満喫できたのだが、また平日になればいつも通りの日常しかない。ああ、非常にめんどうだ。中庸を自称する俺は頑張ることなどなく、また適当に流しすぎるわけでもない生活を送らねばならない。しかし、どういうわけか高校に入学してからというもの、その主義を全く果たせていない気がする。理由は、まあ、あれだ。ことさら話すまでのことでもない。





 現在授業は四時間目、昼ということもあり、俺の集中力はマックスに低下していた。まあ、もともと胸を張って集中していると言えるわけではないのだが。窓の外を見る。窓際一番後ろの席であるここは先生の目からも遠い。ボーっと外を眺めていることはしょっちゅうだ。窓枠から見える景色はもうほとんど濃い緑で埋め尽くされている。新緑の季節、というやつだろうか?いずれにしろ、夏は近い、時間が時間だけに太陽もかなり暑く照っている。おかげでますます集中力が減退した。少し後悔。

 「えー、じゃあこの問題を、日ノ紅。答えてみろ。」

 ギクッ。俺の動きが硬直する。と、ちょっと離れた席に座っている涼太がそれはもう形容しがたいほどの悪い笑みを浮かべてこっちを見ていた。一部始終を覗き見ていたのだろう。この人でなしめ!

 「どうした?早く答えろ」

 ギクギクッ。くそ、仕方ない。

 「すいません。わかりません」

 「なに?ふぅ、少し気が抜けてるんじゃないか?日ノ紅。じゃあ、次、夜守」

 「はい」

 さらさらと受け答えをする夜守。さすが優等生は違うな。俺とは比べるまでもない。隣で涼太が教科書で顔を隠して必死に笑いをこらえている。その顔教科書ごと一発ぶん殴ってやろうかと思った。

 と、こんな感じで四時間目の授業は進んでいく。やる気のない俺に残された手段は・・・・・・寝るだけだ。





 授業の終了を告げるチャイムで目が覚めた。やっと終わりか。ふと時計を見る。わお、計20分の睡眠。爆睡もいいところだ、授業中の睡眠量とは思えない。ぐっと、体を伸ばす。寝ていたときに変な体勢にあなったのだろうか、首回りが地味に痛い。こういう痛みというのはなんだかんだで辛い、やる気を失う原因の一つだ。

 さて、四時間目も終わったことだし、昼飯でも食べるか。む、隣から忍び寄る影が、

 「要、弁当食おうぜ」

 やっぱりこいつだ。

 「黙れ、人の失態を見て高笑いするようなやつといっしょに食う弁当はない」

 「そんなこと言わないでさ、早く食おうぜ」

 強引に手近にあった机をくっつけ席に座る。こいつ二秒前に言ったこと聞いてないのか?はあ、まあ、いい。これ以上言い争うのはエネルギーの無駄だ。浪費は抑えなければ、一週間はまだ始まったばかりなのだ。

 「で、どうなのさ」

 「どうって、何がだ」

 「とぼけても無駄だよ。なんせ聞いた話だと、部員が増えたんだって?」

 「ああ、まあな。夜守が大層喜んでたぞ」

 「なんかその言い方だと要は嬉しくないみたいだね。夜守さんと二人きりの時間を邪魔されるのがそんなに嫌?」

 大げさな演技付きで平然と言ってのけやがった。こいつには羞恥心ってものがないのか。

 「バカバカしい。何を言ってるんだお前は。俺の主義を忘れたのか?」

 そう、俺の主義は、

 「黒ではなく白でもない、熱血ではあらず冷徹でもない、努力家な訳ではなく堕落家な訳でもない、だったね?」

 「ひとつ忘れてるぞ、俺は中庸だ」

 「ははっ、そっかそっか」

 これだ。これこそ俺の理想、無駄なエネルギー消費を完璧に抑え、かつ安穏たる日々を何不自由なく暮らすことのできるこのモットー。素晴らしい。何度聞いてもほれぼれする。この主義から考えれば、涼太の言ったことなど実践できる訳がない。二人きりの甘い時間を過ごす余裕など俺にはないのだ。

 「んー、いやでも実際最近要は楽しそうにしてるよ。なんとなく色が出てきたんじゃないですか?」

 出てません。

 「これもひとえに夜守さんのおかげかな。彼女が誘ってくれなかったら、今頃要は何してたんだろうね」

 普通の人生を送っていました。

 「何が言いたい?」

 「いやあ、別に。今日記付けてるんだ」

 「ほお、お前が日記か、で、なんの日記なんだ?」

 「要の成長日記!」

 スパァン。快音一発。そんな事だろうと思った。

 「要、いくらなんでも暴力に頼るのはいけないと思うよ」

 「やかましい。人を植物扱いしてるやつに言われる筋合いはない」

 「ごめんごめん、冗談だよ」

 笑いながらごまかす涼太。が、俺は騙されない、今度涼太の家に遊びに行く機会があったら徹底的に家宅捜索してやる。

 「いや、でも実際要は少し変ってると思うよ」

 聞き捨てならない。

 「お前は俺を日頃どんな目で見てるんだ。俺ほど普通な人間もいない」

 「違う違う。現在進行形の話。言い方が悪かったね、変わってきている、だ」

 そういう意味か。最初からそう言えばいいものを。ん?

 「涼太、俺の変化したところなんてどこを探っても出てこないぞ。簡単だ。俺は変わってなんかいないからな。」

 「いやいや、案外本人は気付かないもんなんだね。まあ、そのうち分かるよ、僕の言いたいことがね」

 遠慮しておきます。こいつの言いたいことなんて理解してもきっと碌なことがないだろう。そもそも俺はテレパスになるつもりもない。相手の考えてることが分かったとしたら、たまったものじゃない。いつも相手のことにびくびくして生きていくなんてごめんだ。

 「まさか、そこまでは言ってないよ。それじゃ本当に漫画の中の話じゃないか」

 その漫画の話を体現してるのはどこのどいつだ。テレパスめ。

 「んー、でもやっぱ興味あるなぁ。要に変化をもたらすほどの部活か。よっぽど文芸部の活動が気に入ってるのかい?」

 「別に気に入っちゃいないさ。そもそも活動自体あやふやだしな、部長は真面目なんだが俺がこれだ。だがまぁ、悪い気はしない。居心地が良いか悪いの二極で考えるならば間違いなく前者だろうな」

 「ほー、要がそこまで言うなら僕も入ろうかな」

 どこまでだ。・・・・・・は?

 「僕ちょっと職員室行ってくるね」

 俺は今日人間の神経伝達速度の限界を叩き出した、間違いなく。まさに瞬間、刹那の動きだ。涼太の腕をしっかり掴む。

 「どうしたの、要」

 「待て、待て待て待て、お前今なんて言った?」

 「え?いや入部届けをもらいに職員室に行こうと・・・・・・それがどうかした?」

 それがどうした?じゃねえだろうが!だいたいお前はバスケ部に入ってるだろうが。

 「掛け持ちなんかしていいのか?」

 「問題ないよ、先輩方も結構やってるしね」

 大丈夫なのか?竜山高校バスケ部。

 「一応確認しておこう、何部だ?」

 「文芸部」

 はい、即答。清々しい。普段の俺なら歓喜する簡潔な回答だが、今回ばかりは違う。なにせ内容が内容だ、洒落にならない。こいつがあの場に加わることを想像するだけでもぞっとする。俺の負担が倍増どころか二乗されてもおかしくない。平穏を望む俺にとってあの部活は居心地がいい。それをまさか思いもよらない刺客によって破壊されようとは、かつてない大ピンチである。

 「考え直せ」

 「無理だね、思い立ったら即行動だよ、時間は待ってくれないんだ。先手必勝さ」

 何なんだ、お前のそのフットワークの軽さは。時間は待ってくれなくてもいいから、お前は待ってくれ。

 「お前はそんなに俺に嫌がらせがしたいのか?」

 「やだなぁ、僕は別に要をからかうために文芸部に入るつもりはないよ。そこまで僕も暇じゃない。純粋に気になるんだ、要がいる部活っていうものがね。ただの研究心だと思ってくれていいよ」

 なにが研究だ。やはり家宅捜索が必要らしい、成長日記を探さねば。

 はぁ、長い溜息を吐く。本日最長である。手遅れだ、いくら俺が横から口を出そうと涼太はやると言ったら聞かないのだ。また俺の日常が変わる、変な方向に転がらなければいいが、その考えはいつも裏切られる。全く、どうしてこう俺の周りにはイレギュラーが多いのか。しかし、類は友を呼ぶと言う。とすれば、俺もイレギュラーなのか。

 ふん、あり得ない。俺は中庸、誰よりも平均で、平坦で、平凡だ。俺をイレギュラーと呼ぶのなら、俺以上の中庸を連れてきてもらいたい。そのくらいの俺の主義に対する自負は持っている、いや持っていたはずなのだが・・・・・・どうも調子が狂いっぱなしだ。

 「・・・・・・夜守がまた、喜ぶな」

 「そうかもしれないね、でも実は要が一番嬉しいんじゃない?親友が同じ部活に入ってくれてさ」

 「言ってろ。人の観察日記をつけるようなやつを親友に持った覚えはない」

 「手厳しいね、まだ根に持ってんのか」

 そう言い残し、笑いながら涼太は教室を出て行った。ついでに残しておいた最後の卵焼きを奪って。後でなんか奢らせよう。






 空になった弁当箱を見つめ、ふと呟く。いや、でも実際要は変わってると思うよ。

 変わってる、か。俺は割と自分を理解している人間だと思っている。性格、主義、性質。説明するほどのものなど持ち合わせていないが、話せと言われれば話せると思う。その俺が自分の変化に気づかないことがあるだろうか。変わったところを見逃すだろうか。答えは、否、だ。気付かないはずがない。

 しかし、世の中主観だけでは生きていけない。客観的に見てもらうことも必要だったりする。そして発見というものは意外と客観的に見てもらわないと起こらないものだ。そう考えれば、自分では分からない、些細な、それこそ本当に小さな部分が他人に見抜けてもおかしくはないのかもしれない。俺にもあったのだろうか、涼太にしか見抜けない、俺自身の変化、というやつが。

 考えすぎかもな。涼太がそこまで意味深な言葉を残してるとも思えない。やめよう、エネルギーの無駄だ。思考停止。

 窓の外の新緑はそよ風に揺れていて、かすかに音が聞こえる。気持ちいい、こういうのもたまには悪くない。弁当箱をしまうと、机の上には何もなくなる。俺は机の上に身を伏せ、静かに目を閉じた。昼休みが終わるまで、あと十分くらいある。ちょっとひと眠りしようか。

涼太くんでした。

さて、これで四人ですね (^^ゞ


あと一人出てきますよ!

よろしくお願いします (^u^)

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