FILE:母のコエと機械的な医者…そして冷めた青年
とりあえず読んでくれたらうれしいです!『読んだ』とでもいいからメッセージを御願いします!
『片翼の想い』で主人公の母親は植物人間になる結果となった。
宇宙は三島病院の駐車場に車を停めて急いで駆け込んだ。
彼の美しい髪の毛の毛先には汗が玉をつくっていた。
『藤咲です!!あの…母は!?
あー…ええと、藤咲結花は?』
看護婦は宇宙の顔を見上げて、顔を少し赤らめ慌てた。
それほど宇宙の顔は綺麗だった。
彼女はしばらく宇宙のことが好きになるのだが、そんなことは知らない。
『あ、現在は集中治療室で……』
宇宙はもうそこにいなかった。
スニーカーと床の摩擦音が規則的に鳴った。途中別の看護婦が、
『廊下は走らないで下さい!!今いったい何時だ思いなんですか!?』
宇宙は、
『すいません!!』
そして集中治療室のドアを開けて駆け込むと医者達はうつむいていた。
綺麗な女優、そして母は綺麗に眠っていた。
『母さん…?』
医者は隣に立ち、静かにかつ事務的に述べた。
『事故を起こしたとき頭を強く打ったみたいです。病院に着いたときにはもう…懸命な治療は続けましたが、見込みがありません。』
医者はワザと機械のような声を出しているみたいだった。
疲れているのか、はたまたこれが地声なのか…だとしたら彼は抑揚のない声のような人生を送ってきたのだろうか。
医者というレールをただなぞりながら生きる。
それは一番つまらない生き方のような気がするが、今の時代一番多い人種なのだ。
『そうですか…。』
宇宙はしばらく母親の顔を眺めあと…
『それでは入院という形で母をお願いできますか?』
『え…??』
医者は驚いたのだろうか。
医者が宇宙の顔を見ると不思議と冷めた目で母親を見下ろしていたのだ。医者は機械的な咳払いをし、
『かしこまりました…それでは後日、事務手続きをいたしますので。』
『わかりました。』
宇宙は部屋から出ようとしたとき、
『宇宙………!わかってね…これが母さんの…』
ハッとして後ろを見ると母は涙を流していた。
そして、ゆっくりと
『ごめんなさい。宇宙……』
頭に聴こえた、、気がした。宇宙は前を見て帰路についた。