FILE3:母の病室と渇いた花瓶
〜三島病院〜
宇宙は唯と別れると、母の病室に向かった。
階段を上がり、三階の角の病室に目をむけ、歩き出す。
母の病室に向かい歩いていると、『佐藤隆司』という名札が見えた。
(たしかに、お隣さんみたいだな。
あとで顔を出してみるか。
一応、彼女とは知り合いになったからな。
まあ、近所関係ではないが母はこれからもあの病室にいるし、あいさつしておいて損はないだろう。)
宇宙は母の病室につくと、コンコンとノックした。
『……………』
もちろん返事はない。眠っているのだ。宇宙は微笑してドアを開けた。
『母さん、見舞いにきたよ。』
母は昔、女優をしていたのでまるでドラマのワンシーンみたいで、まるで現実味がない。
母は看護婦にちゃんと看護してもらっているので、心配はなかった。
宇宙は羽尾ってきたコートを椅子にかけ、花束を棚のうえにおいた。
棚の上の花瓶をみると、花瓶の中にはなにもない。
大方、看護婦が枯れてしまった花を片付けたのだろう。
空気がこもってる気がするので、窓を開けた。
若干、立てつけが悪かった。
新鮮な空気が空間を新しくした。渇いた空気が宇宙の髪を撫でた。
(気持いい)
『母さんも、そう思うだろ?』
『…………』
宇宙は母の寝顔を見ながら、表情は冷たい。
とりあえず宇宙は花瓶に花を生けようと、花を持ち部屋を後にした。
(母が眠ってからもう三年…か。ながいな………あれから、もう)
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