邪魔をするもの
ざわ、と周りが騒ぎ出した。
星団たちも、何事かと村の入り口に向かいだした。
その上を飛んでいるヴァンたちもそれに向かって飛んでいく。
ふわりとシルキーが星団の隣に降り立った。
「何があったんですか?」
「いや、それが俺らにもわからない。悪いが上から見てきてくれないか?」
「わかりました。」
再び上空に浮かび、ヴァンの隣に飛んだ。
「あの悲鳴は一体なんだったんですか?」
困惑するヴァンに、シルキーも首を傾げて答えた。
「いいえ、それが私たちにもわからないんです。今までは祭りの最中に何かあるなんて、無かったので・・・」
「そうですか・・・」
すん、とヴァンが匂いを嗅いだ。
「―!」
その途端、それまでの穏やかな顔が一変した。
鋭い瞳で辺りを見回している。
「ヴァンさん?」
「シルキーさん。もっと上に上がることは出来ますか?」
「ええ、出来ますが・・・どうされたんです?」
「すいません。今は説明している時間はありません。とにかく、お願いします。」
その真剣さに気圧され、慌ててシルキーは星団に合図を送った。
浮かんでいた体がさらに高みへと上がった。
油断無く辺りを伺いながら、村の入り口に目を凝らす。
真っ暗で見えないはずだが、ヴァンの瞳には見えていた。
町の入り口から再び悲鳴が聞こえた。人々が奥へ奥へと逃げ惑っている。
その先、町に入る手前の森が大仰に揺れていた。
そこから、獰猛な雄叫びも聞こえた。
「まずい、魔物どもか!」
急いできょとんとした顔のシルキーに声をかけた。
「すいません、降ろしてください!」
「え?」
「いいから、早く!」
その声が星団にも聞こえたらしく、慌てた様子でヴァンを地面に下ろした。
「一体、何があったんだ?」
「魔物が来てる。早くあんたらも避難しとけ。」
それだけ言うと、ヴァンは急いで奥へと走っていった。
シルキーが一拍遅れて降りる。
「どうしたの?」
「魔物だ! シルキーちゃんも早く避難するんだ!」
「え、でも、ヴァンさんは?」
「奥へと走っていった。俺たちも近くの奴から知らせておくから、シルキーちゃんは早くどこか建物へ入ってな!」
「あ、うん、わかった。」
そうは言いながらも、ヴァンの後姿を捜してはいたが見つからず、しばらく人ごみに逆らって歩いた後に、仕方なく建物に避難した。